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赤ちゃん名前ランキング発表! 男の子「蓮」・女の子「陽葵」が連続1位、「凪」急上昇~「命名」のルール

竹内豊行政書士
今年の赤ちゃんの名前調査が発表され、「蓮」・「陽葵」が連続1位、「凪」急上昇です(写真:アフロ)

ベネッセは4日、今年1月から9月に生まれた同社「たまひよ」を利用した顧客のあかちゃん約19万8千人を対象とした赤ちゃんの名前の調査「たまひよ名前ランキング」を発表しました。

1位は、男の子が3年連続で「蓮(れん=主な読み方)」、女の子が5年連続で「陽葵(ひまり)」でした。

以下にベスト10をご紹介します(括弧内は前年順位)。

男の子

1位 蓮れん(前年1位)

2位 陽翔はると(6位)

3位 蒼あおい(5位)

4位 樹いつき(4位)

5位 湊みなと(3位)

6位 悠真ゆうま(6位)

7位 大翔ひろと(8位)

8位 律りつ(2位)

9位 朝陽あさひ(12位)

10位 結翔ゆいと(13位)

女の子

1位 陽葵ひまり(前年1位)

2位 結菜ゆいな(4位)

3位 莉子りこ(7位)

4位 芽依めい(3位)

5位 紬つむぎ(5位)

6位 葵あおい(8位)

7位 陽菜ひな(11位)

8位 凛りん(2位)

9位 結月ゆづき(10位)

10位 澪みお(9位)

子に名前を付ける「命名」は、親としての最初の大仕事の一つです。そこで今回は、「命名」について法がどのように規定しているか見てみたいと思います。

命名義務者

実は、民法には命名行為についての規定はありません。戸籍法は、父母その他を出生届出義務者と規定するので(戸籍法52・56条)、事実上、この義務者が命名したものが、その子の名前となります。

戸籍法52条

1.嫡出子出生の届出は、父又は母がこれをし、子の出生前に父母が離婚をした場合には、母がこれをしなければならない。

2.嫡出でない子の出生の届出は、母がこれをしなければならない。

3.前二項の規定によつて届出をすべき者が届出をすることができない場合には、左の者は、その順序に従つて、届出をしなければならない。

第一 同居者

第二 出産に立ち会つた医師、助産師又はその他の者

4.第一項又は第二項の規定によつて届出をすべき者が届出をすることができない場合には、その者以外の法定代理人も、届出をすることができる。

戸籍法56条

病院、刑事施設その他の公設所で出生があつた場合に、父母が共に届出をすることができないときは、公設所の長又は管理人が、届出をしなければならない。

このように、戸籍法は、嫡出子(妻が婚姻中に懐胎した子および妻が婚姻後に出生した子)の出生届は、父または母がしなければならないと規定しています。また、子が生まれる前に父母が離婚をした場合には、母が届出をしなければならないとしています。一方、嫡出でない子の出生届の届出義務者は母と規定しています。

そして、これらの届出義務者が届出ができない場合は、「同居者」「出産に立ち会った医師、助産師又はその他の者」の順に届出義務を課しています。

また、病院、刑事施設その他の公設所(国または公共団体等が設置した公の施設)で出産して、父母共に届出をすることができない場合は、公設所の長または管理人を届出義務者としています。

子の名に使用できる文字

子の名に使用できる文字は、戸籍法で、子の名には、常用平易な文字を用いなければならない(戸籍法50条1項)とし、常用平易な文字の範囲は、法務省令でこれを定める(同条2項)としています。

戸籍法50条(出生)

1.子の名には、常用平易な文字を用いなければならない。

2.常用平易な文字の範囲は、法務省令でこれを定める。

「常用平易な文字」を、戸籍法施行規則で、「常用漢字表」「別表第二に掲げる漢字」「片仮名又は平仮名(変体仮名を除く)」と具体的に規定しています(戸籍法施行規則60条)。子の名に使用できる文字について、詳しくは、法務省ホームページをご覧ください。

戸籍法施行規則60条

戸籍法第50条第2項の常用平易な文字は、次に掲げるものとする。

一 常用漢字表(平成二十二年内閣告示第二号)に掲げる漢字(括弧書きが添えられているものについては、括弧の外のものに限る。)

二 別表第二に掲げる漢字

三 片仮名又は平仮名(変体仮名を除く。)

「読み方」「振り仮名」に制限がない

このように、子の名前に使用できる「文字」は「常用平易な文字」と制限がありますが、読み方には制限は設けられていません。そのため、たとえば、前掲の女の子の名前1位の「陽葵」は「ひまり」の他に「ひなた」「ひより」と読むこともありますし、同じく9位の「結月」は「ゆづき」の他に「ゆずき」「ゆつき」といったように同じ漢字でも複数の読み方が可能になるのです。また、「結月」においては、「ユヅキ」「ユズキ」のように読み方は同じでも「ヅ」と「ズ」の違いがあります。

なお、出生届には「よみかた」の記載欄がありますが、戸籍には名前に振り仮名は付されていません。

命名の自由

以上のとおり、出生届出義務者(多くは子の父母)には、事実上、子の命名の自由が認められています。読み方に迷うことが多々ありますが、命名の自由が、読み方や振り仮名に迷う名前の一因になっていると考えられます。

だだし、名には、氏(姓)と結合して個人を他者と識別するという機械的な機能があります。多くの命名する者は、子に対する思いやりや期待などを込めて命名すると思いますが、名の機械的な機能も考慮して命名することも考慮してみることも大切ではないでしょうか。

子どもの育つ社会環境への願い

さて、今回の調査で男女ともに順位が最も急上昇した名前は「凪」(なぎ)でした。ベネッセは「コロナ禍で、平穏を意味する凪が多くの人選ばれたのでは」と分析しています。命名には子どもが育つ環境をよりよくしたいという親の願いも込められているようですね。

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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