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小室圭さん「眞子さまとの結婚の意思は変わらない」~「結婚」はどうしたら成立するのか

竹内豊行政書士
婚約内定会見から3年。小室圭さんが「結婚の意思は変わらない」と報道されました。(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

小室圭さんが、秋篠宮家の長女眞子さまとの結婚について「結婚の意思が変わらない」と考えていることがテレビ番組で報じられました。

フジテレビ系「直撃LIVE グッディ!」は11日、秋篠宮家の長女眞子さまと小室圭さんについて報じた。小室さんの代理人に独自で取材し、小室さんが「結婚の意思が変わらない」と考えていることを伝えた。

出典:小室圭さん 眞子さまとの結婚の意思「変わらない」…「グッディ!」報道

お二人のご結婚については、多くの方が今後の展開に注目されていると思います。そこで、今回は、結婚はそもそもどのようにして成立するのか考えてみたいと思います。

結婚が成立するための要件

憲法24条は、第一に、結婚が両性の合意のみに基づいて成立することを要求しています。結婚をする者に自由な独立した人格を認め、結婚はそれを基礎とする一種の契約であるという結婚観を表明しています。

憲法24条

1.婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

2.配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

結婚の成立方式

しかし、お互いに結婚に合意しただけでは、結婚は成立しません。「婚姻届」を役所に提出して受理されることが必要です。この届出(成立方式)の目的は、次のようなものです。

・当事者に結婚の意思があることを確認すること

・重婚や近親婚の禁止など婚姻障害事由が存在していないかどうかを確認すること

・結婚関係を公示して人の家族関係を明らかにすること

多くの国々では、行政の係官の面前において一定の法律が定める手続を行うことで結婚の意思を表明する法律婚主義を採用しています。しかし、日本では、戸籍係へ「婚姻届」を提出し、それが受理されることによって結婚が成立するという届出婚主義を採用しています(民法739条1項)。これは明治民法によって確立した日本独特の制度です。

届出は、当事者双方および成年の証人2人以上から、口頭または署名した書面(婚姻届書)をもってしなければなりません(民法739条2項)

なお、婚姻届は当事者が届け出なくても、郵送でも他人に委託してもかまいません。

民法739条(婚姻の届出)

1.婚姻は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。

2.前項の届出は、当事者双方及び成年の証人二人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない。

届出婚主義の問題点

届出の受理にあたっては、戸籍係は法令通達違反の有無を確認します。しかし、形式的な審査があるにすぎないので、当事者の合意を実質的に審査したり、自書かどうかの確認もできません。したがって他人が勝手に届け出たり、何らかの目的で偽装結婚などの仮装の届出がなされるなどの事態を防ぐことはできません。

そのため、婚姻届が提出された場合、戸籍係は、運転免許証、パスポートなどで本人確認をし、確認できなかった場合には、受理した後、遅滞なく本人に通知しています(戸籍法27条の2第1項・2項)。なお、これは婚姻届以外の、離婚届、養子縁組届、養子離縁届、認知届を受理した場合でも同様に行われます。

婚姻障害

当事者同士が結婚に合意していても、次の事項に該当する場合は、結婚が取り消されることがあります。また、戸籍係がこれらの事項を確認した場合、婚姻届の受理を拒むことができます。

婚姻適齢

男性は満18歳、女性は満16歳に達しなければ結婚することができません(民法731条)

民法731条(婚姻適齢)

男は、18歳に、女は、16歳にならなければ、婚姻をすることができない。

重婚の禁止

配偶者(夫または妻)のある者は、重ねて結婚することができません(民法732条)

民法732条(重婚の禁止)

配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。

近親婚の禁止

優生学上の理由から、直系の自然血族および3親等内の傍系自然血族間の結婚は禁止されています(民法734条)

また、倫理的な理由から、直系姻族間の結婚(民法735条)、養親または養親の直系尊属と、養子もしくはその配偶者、養子の直系卑属もしくはその配偶者との間の結婚は禁止されます(民法736条)

なお、離婚・離縁や死亡によって結婚や縁組が解消され、婚姻関係が終了した後も、かつてこのような関係にあった者の間では、結婚は禁止されます。

女性の再婚禁止期間

女性は、前婚の解消または取消の日から6か月間は、再婚をすることができませんでした。しかし、平成28年6月1日、民法の一部を改正する法律が成立し、女性の再婚禁止期間が6か月から100日に短縮されました。また、この改正により、女性が前婚の解消若しくは取消しの時に懐胎(妊娠)していなかった場合または女性が前婚の解消若しくは取消しの後に出産した場合には再婚禁止期間の規定を適用しないこととしました。

以上のように、結婚はまず、両性の合意が前提となります。そして、その証として婚姻届を役所に届け出て受理されることが必要です。ただし、婚姻障害に該当する事項がある場合は、婚姻届が受理されても結婚が取り消されることがあり、また、戸籍係がこれらの事項を確認した場合、婚姻届の受理を拒むことができます。

眞子さまのお気持ちは

さて、紀子さまは、今月11日に54歳の誕生日を迎えた談話の中で、次のように眞子さまのご結婚について、「長女の気持ちをできる限り尊重したい」と述べられています。

お2人の婚約内定会見は17年9月。紀子さまは11日に54歳の誕生日を迎え、3年がたった現在の思いを談話で発表。番組では紀子さまの心境について、「長女の結婚については対話を重ねながら親として娘の気持ちを受け止め、一緒に考えていくことが大切と考えています。共感したり意見が違ったりすることもありますが、お互いに必要だと思うことを伝えあいつつ長女の気持ちをできる限り尊重したい」と紹介した。

出典:小室圭さん 眞子さまとの結婚の意思「変わらない」…「グッディ!」報道

冒頭でご紹介した、憲法が要求する、結婚が両性の合意のみに基づいて成立することに基づいたお考えともとらえることもできます。また、秋篠宮さまは昨年11月の会見で、「(結婚延期から)2年たつわけですね。なんらかのことを発表する必要があると思っています」と述られています。

ただし、この記事では、眞子さまのご結婚に対するお考えはうかがい知ることはできません。

今後は、当事者であるお二人、特に眞子さまの言動にますます注目が集まりそうです。

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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