お盆といえばお墓参り。今年は、コロナ禍の影響でリモート帰省という方もいらっしゃると思います。そこで気になるのはお墓参り。今回は、民法が定めるお墓の引継ぎについてご紹介します。

お墓は相続とは「別ルート」で引き継がれる

民法は、神や祖先をまつるための祭祀財産、たとえば、系譜(家系図など)、祭具(位牌、仏壇仏具、神棚、十字架など)、墳墓(敷地としての墓地を含む)を、一般の相続とは別ルートで、次の順序で承継させると定めています(民法897条)

第1順位~被相続人の指定

第2順位~指定がない場合には、慣習

第3順位~慣習が明らかでない場合には、家庭裁判所の審判に従う

民法897条(祭祀に関する権利の承継)

1.系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条(896条)の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。

2.前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。

お墓が「別ルート」で承継される理由

民法がお墓を一般の相続とは別ルートで承継させるとした理由の一つとして、お墓などの祭祀財産が、「家」や「姓」と密接に結びついた「特殊」な性格を帯びていることが挙げられます。

お墓を引き継ぐ者は「指定」できる~「遺言」の活用

前述のように、民法は、祭祀承継者(祭祀財産を引き継ぐ者)は、「被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する」(民法897条1項)としています。したがって、お墓をはじめとした祭祀財産は引き継がせる者を指定することができます

指定方法に規定はない

では、祭祀財産を引き継ぐ者はどのようにして指定するのでしょうか。実は、民法は指定の方法については何らの規定も設けていません。したがって、生前に口頭でしてもかまいません。

「遺言」で指定するのがベスト

しかし、口頭では証拠が残りません。しかも、被相続人(お墓を所有している人)の死後に効力を生じるものです。したがって、一般の意思表示より慎重にするべきでしょう。そこで遺言で残すことをお勧めします。次に、遺言による祭祀承継者の指定の例を挙げておきますので参考にしてください。

第○条 遺言者は、祖先の祭祀を主宰すべき者として遺言者の長男 山田太郎を指定する。

なお、2019年1月に施行された相続法改正による「自筆証書遺言の方式緩和」と先月施行された「遺言書保管法」によって遺言が残しやすくなりました。お墓を引き継ぐ人を決めておきたい方は、祭祀承継者を指定することをきっかけに遺言を残してみてはいかがでしょうか。

お墓の承継をめぐって争いになってしまうこともあります。紛争を未然に防ぐためにも、お盆のこの時期に祭祀財産の引継ぎを家族や親族の間で話題にしてみてはいかがでしょうか。きっとご先祖様も安心されるでしょう。