「不倫」の先に待ち受けていること

不倫に対して法はどのような規定を用意しているのでしょうか。(写真:アフロ)

配偶者(夫または妻)がいる人が、不倫、すなわち不貞行為をしてしばしばマスコミを賑わすことがあります。中には、社会的に制裁を受けてしまう人もいます。

法は、不貞行為を、離婚の理由の一つに挙げています。今回は、不貞行為について深掘りしてみます。不倫に対して法はどのような規定を用意しているのか見てみましょう。

離婚の二つの形

まず、民法が定める離婚は、次の協議離婚裁判離婚の二つがあります。

1.協議離婚

夫婦の間に離婚の合意がまとまり、それを戸籍法の定めるところに従い離婚届を届出人の本籍地又は所在地の市役所,区役所又は町村役場に届け出ることによって成立します(民法763条、戸籍法76条)。

民法763条(協議上の離婚)

夫婦は、その協議で、離婚をすることができる。

戸籍法76条(離婚)

離婚をしようとする者は、左の事項を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。

一 親権者と定められる当事者の氏名及びその親権に服する子の氏名

二 その他法務省令で定める事項

協議離婚については、「協議離婚」で後悔しないための「心得」と「知識」~離婚するのは簡単、十分な話合いが大事をご参照ください。

2.裁判離婚

民法の定める一定の離婚原因がある場合に離婚の訴えが認められ、判決によって成立します(民法770条)。

裁判離婚は、夫婦の一方が離婚に同意しないにもかかわらず、一方が離婚請求するものです。したがって、これを認めてもよいだけの離婚を正当化しうる理由(=離婚原因)が必要になります。民法は、770条1項で5つの離婚原因をあげています。

民法770条(裁判上の離婚)

夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。

二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。

三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

「配偶者に不貞な行為があったとき」とは

不倫とは、「配偶者に不貞な行為があったとき」(以下「1号」といいます)に該当します。そして、不貞とは、夫婦間の貞操義務に違反する行為を意味します。

貞操義務とは

実は、貞操義務は民法の条文に規定されていません。しかし、重婚が禁止され(民法732条)、同居協力扶養義務が規定され(民法752条)、前述のように不貞行為が離婚原因になるから(民法770条1項1号)、また一夫一婦制という婚姻の本質から、夫婦は相互に貞操義務負うとされます。

民法732(重婚の禁止)

配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。

民法752条(同居、協力及び扶助の義務)

夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

不貞とは

法は人間の内面まで拘束することはできません。配偶者(夫または妻)以外の人に愛情を持つことはあっても、それだけで、不貞行為ということはできないでしょう。

したがって、1号でいう不貞とは、具体的な離婚原因であり、それだけで離婚が正当化されるものなのだから、裁判官の主観に左右されないように、できるだけ厳格に解釈された方が望ましいでしょう。

以上から、不貞とは、夫婦の一方が、自分の意思で配偶者以外の者と性的関係を持つことと解すことができます。

このように、結婚をすると、貞操義務が課せられます。夫や妻以外の人に関心を抱くことはあっても、「一線」を越えることは、貞操義務に違反し、離婚原因になることを覚えておいてください。