台風15号接近~災害から遺言書を守る「遺言書保管法」

台風や地震から遺言書を守る「遺言書保管法」をご紹介します。(提供:アフロ)

台風15号が接近しています。災害に対する対策は万全でしょうか。実は、遺言書も自然災害とは無縁ではありません。せっかく残した遺言書が自然災害で滅失してしまったら、法的効力は当然発生しないからです。

このように、自然災害で滅失してしまうリスクをなくすこともつながる、「法務局における遺言書の保管等に関する法律」(以下「遺言書保管法」といいます)が、平成30年7月6日に成立しました。

法務局における遺言書の保管制度創設の趣旨

自筆証書遺言は、自書能力さえ備わっていれば他人の力を借りることなく、どこでも作成することができ、特別の費用もかからず、遺言者にとって、手軽かつ自由度の高い制度です。

他方で、作成や保管について第三者の関与が不要とされているため、遺言者の死亡後、遺言書の真正や遺言内容をめぐって紛争が生じたり、相続人が遺言書の存在に気付かないまま遺産分割を行うリスクがあります。さらに、紛失してしまったり台風や地震など自然災害で滅失してしまうおそれもあります

そこで、冒頭でご紹介したとおり、平成30年7月6日に「法務局における遺言書の保管等に関する法律」(遺言書保管法)が成立しました。この遺言書保管法により、法務局(遺言書保管所)における遺言書の保管制度を創設して、法務局における遺言書の保管及びその画像情報等の記録や、保管の申請の際に遺言書保管官(注)が行う自筆証書遺言の方式に関する遺言書の外形的な確認等により、上記の自筆証書遺言に伴うリスクを軽減することにしました。

(注)遺言書の保管に関する事務を取り扱う法務局に勤務する法務事務官のうち、法務局又は地方法務局の長が指定する者

遺言書に係る情報の管理の方法

遺言書保管所に保管された自筆証書遺言は、遺言書保管官によって情報の管理がされます。具体的には、次のような管理方法が想定されています。

遺言書に係る情報の管理は、磁気ディスクをもって調製する遺言書保管ファイルに次の事項を記録することによって行われます。

1.遺言書の画像情報(遺言書保管官がスキャナ等を用いて画像情報化することを想定している。)

2.遺言書に記載された作成の年月日、遺言者の氏名、出生の年月日、住所及び本籍(外国人にあっては、国籍)、遺言書に受遺者又は遺言執行者の記載がある時はその氏名又は名称及び住所

3.遺言書の保管を開始した年月日

4.遺言書が保管されている遺言書保管所の名称及び保管番号

遺言書に係る情報の管理期間

遺言書に係る情報の管理期間は、遺言者の死亡の日(遺言者の生死が明らかでない場合にあっては、これに相当する日として政令で定める日)から相続に関する紛争を防止する必要があると認められる期間として政令で定めることとしており、この政令で定める期間について、相当長期間とすることを予定しています。

遺言書保管法の施行日

「法務局における遺言書の保管等に関する法律の施行期日を定める政令」(平成30年政令第317号)により、平成32年(2020年)7月10日から施行(開始)されます。したがって、施行日以前に自筆証書遺言を法務局に提出しても受付されません。それまでは、自己責任で厳重に管理しておいてください。

なお、公証役場で作成する公正証書遺言も、災害による滅失の予防対策を講じています。

相続法改正によって、自筆証書遺言が残しやすくなりました(詳しくは、「その遺言で大丈夫?~書く前に知っておきたい注意点」をご覧ください)。また、今回ご紹介した遺言書保管法により、自筆証書遺言のリスクが軽減されることになります。遺言書は死後の紛争防止に役立ちます。これを機会に作成してみてはいかがでしょうか。