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政府税制調査会が、来年1月までが任期の現体制で、今後の税制に関する「中期答申」をどう打ち出すか

土居丈朗慶應義塾大学経済学部教授・東京財団政策研究所研究主幹(客員)
2020年1月に安倍首相(当時)から政府税制調査会が受けた諮問(出所:首相官邸)

参議院選挙が終わり、今後3年間は衆議院を解散しない限り国政選挙がないとされる「黄金の3年」を迎えた。今後のわが国の政策のあり方について、目先の選挙結果に捉われず長期的な視野で検討できるかが問われている。

こうした中、内閣総理大臣の諮問機関である政府税制調査会では、委員の3年間の任期を見据えて、今後の税制に関する「中期答申」を取りまとめる時期を迎えている。任期が切れる直前に、これまでの議論をまとめて首相に答申を手交することを習わしとしている。

政府税制調査会の現体制は、2020年1月10日から始まった。その日に首相官邸で開催された第1回総会で、当時の安倍晋三首相から諮問を受けた(その模様が冒頭の写真である)。

安倍首相から受けたその諮問には、次のように記されている。

「経済社会の構造変化を踏まえた令和時代の税制のあり方」に示された考え方を踏まえ、人口減少・少子高齢化、働き方やライフコースの多様化、グローバル化の進展、経済のデジタル化等の経済社会の構造変化に対応して、各税目が果たすべき役割を見据えつつ、持続的かつ包摂的な経済成長の実現と財政健全化の達成を両立させるため、あるべき税制の具体化に向けた審議を求める。

まさに、この諮問に答えるべく議論を重ね、取りまとめようとしているのが「中期答申」である。

2020年1月10日からの3年間の任期ということは、任期満了は2023年1月9日である。あと半年足らずしか残されていない。

その「中期答申」では、経済社会の構造変化に対応して、各税目が果たすべき役割を明示することが求められている。税目といえば、所得税や法人税だけでなく、消費税も含まれると解すべきである。

政府税制調査会では、今年に入って、4~6月にかけて外部有識者からのヒアリングを5回にわたり重ねてきた。しかし、委員間のディスカッションは行われていない。「中期答申」に向けた審議とはいえ、参議院選挙を7月に控えていた時期で、実質的な審議を先送りしていた面がある。

では、参議院選挙が終わった今、政府税制調査会での審議は、今後どのように進め、どのような内容の「中期答申」となるのだろうか。それは、

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慶應義塾大学経済学部教授・東京財団政策研究所研究主幹(客員)

1970年生。大阪大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)。慶應義塾大学准教授等を経て2009年4月から現職。主著に『地方債改革の経済学』日本経済新聞出版社(日経・経済図書文化賞とサントリー学芸賞受賞)、『平成の経済政策はどう決められたか』中央公論新社、『入門財政学(第2版)』日本評論社、『入門公共経済学(第2版)』日本評論社。行政改革推進会議議員、全世代型社会保障構築会議構成員、政府税制調査会委員、国税審議会委員(会長代理)、財政制度等審議会委員(部会長代理)、産業構造審議会臨時委員、経済財政諮問会議経済・財政一体改革推進会議WG委員なども兼務。

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