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政府税調は、消費税増税についてどう議論したか

土居丈朗慶應義塾大学経済学部教授・東京財団政策研究所研究主幹(客員)
8月5日に開催された政府税制調査会第2回総会の議事次第

政府税制調査会(総理大臣の諮問機関)は、8月5日に、今年度第2回の総会を開催した。新型コロナウイルス感染症の影響で、初のWeb会議形式での開催となった。

例年、8月に政府税制調査会が開催されることはほぼない。というのも、7月に関係部局の人事異動が行われることが多く、人事異動直後の総会開催となると、その準備に手間取る恐れがあるというのも一つの要因である。ただ、今回は、今年1月10日に第1回総会が開催されて以降、新型コロナウイルス感染症の影響で一度も開催できなかったこともあって、異例の8月の開催となった。

政府税制調査会は、2019年9月に中期答申「経済社会の構造変化を踏まえた令和時代の税制のあり方」を取りまとめ、安倍晋三首相に手交している。

この中期答申は、前の任期の委員が取りまとめたもので、その後に新型コロナウイルス感染症が発生したことから、今後のわが国の税制についてどう検討してゆけばよいか、各委員からの意見表明が行われた。

その総会の模様については、

「消費増税中核に」 政府税調、財政悪化を懸念(時事通信)

などのような報道がなされた。

ただ、一委員として出席した筆者からみると、総会の議論について妙な切り取り方をしているように感じられた。それは、

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慶應義塾大学経済学部教授・東京財団政策研究所研究主幹(客員)

1970年生。大阪大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)。慶應義塾大学准教授等を経て2009年4月から現職。主著に『地方債改革の経済学』日本経済新聞出版社(日経・経済図書文化賞とサントリー学芸賞受賞)、『平成の経済政策はどう決められたか』中央公論新社、『入門財政学(第2版)』日本評論社、『入門公共経済学(第2版)』日本評論社。行政改革推進会議議員、全世代型社会保障構築会議構成員、政府税制調査会委員、国税審議会委員(会長代理)、財政制度等審議会委員(部会長代理)、産業構造審議会臨時委員、経済財政諮問会議経済・財政一体改革推進会議WG委員なども兼務。

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