「いぶき」「いぶき2号」で温室効果ガスを測定するためにはPM2.5や黄砂の情報が必要

(提供:アフロ)

2018年10月29日に、日本の温室効果ガス観測衛星「いぶき2号」が種子島宇宙センターからH2Aロケットを使って打ち上げられました。そして、あまり報道はされなかったようですが、いぶき2号による初画像が11月9日に公開されました(JAXAからのプレスリリースの内容は少し専門的ですが…)。ここで注目したいのは、「いぶき2号」は温室効果ガス観測衛星であるはずなのに、初画像の公開は温室効果ガスのデータではなく、「エアロゾル」のデータであることです。エアロゾルとは、空気中に浮かんでいる微粒子の総称で、PM2.5や黄砂はエアロゾルの一種です。ここには、どのような意味が含まれているのでしょうか。

PM2.5や黄砂は邪魔者

「いぶき2号」には、温室効果ガスを測定するためのセンサと、エアロゾルや雲を測定するためのセンサの2種類のセンサが搭載されています。人工衛星からの温室効果ガスの測定は、地球に反射された太陽光や、地球から出てくる赤外線をセンサで受信することで行われます。太陽光や赤外線は電磁波なのですが、二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスには、特定の波長の電磁波を吸収するという性質があり(だから温室効果をもたらすわけですが)、その性質を利用して測定します。

その際、邪魔となるのが、エアロゾル(PM2.5や黄砂など)や雲の存在です。エアロゾルや雲は、太陽光や赤外線をあらゆる波長で散乱したり吸収したりするからです(それによって気候変動が起こります)。したがって、エアロゾルや雲も同時に測定することによって、それらの影響を除外した上で、温室効果ガスの濃度を解析します。

今後のデータ解析に期待

現在は、2009年に打ち上げられた初代「いぶき」により、温室効果ガスの測定が続いています。「いぶき」にも「いぶき2号」と同様に2種類のセンサが搭載されていますが、エアロゾルを測定するためのセンサを上手く使うことができませんでした。そこで、私が中心となり開発したPM2.5・黄砂予測システムの計算結果を利用してエアロゾルの影響を除去し、温室効果ガスの濃度を解析してきたという経緯があります。

「いぶき」での経験を活かして、「いぶき2号」のセンサは高性能になっていて、温室効果ガスの測定の精度向上はもちろんのこと、PM2.5の濃度状況の把握も期待されています。