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北京五輪シーズンのカーリング開幕戦 “どうクラ2021” 出場全チーム紹介 〈女子編〉

竹田聡一郎スポーツライター
2019年大会は中国勢が優勝と3位、ロコ・ソラーレが準優勝(C)どうクラ’19

 8月19日から札幌市のどうぎんカーリングスタジアムでどうぎんカーリングクラシック2021がはじまる。

 北京五輪シーズンを迎える今季、本来なら8月上旬に北見市で開催のアルゴグラフィックスカップが予定されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で残念ながら中止に。スライドする形でこの“どうクラ”が開幕戦となった。

 国内チームのみの参加ながら、2月に稚内で行われた日本選手権の上位4チームに加え、ジュニア世代の有力チームなど、男女各8チーム計16チームが揃った。

 まずは女子の参加チームを、それぞれ今季の目標と併せて紹介したい。

 ラウンドロビン(予選リーグ)Aプールの軸は北海道銀行フォルティウス(Yoshimura)だろう。チームは9月に稚内市みどりスポーツパークで開催予定の五輪代表トライアル「全農2021女子カーリング日本代表決定戦」が控えているため、今季初戦ながら調整の最終段階に入りつつある。

「攻めでも守りでも自分たちの置きたいところに石を正確に置く。勝ちにこだわりながら、そういうショットを増やしていきたい」とはスキップの吉村紗也香だ。悲願の“どうクラ初優勝”を手土産に、稚内へ向かうのが理想の結果だろう。

 9月に北海道銀行とのトライアルを競うロコ・ソラーレは別ブロック、Bプールに入ったが、今大会で北海道銀行が初戦を戦う相手がその妹分のロコ・ステラ(Motohashi)だ。本橋麻里が平昌五輪後に始動させた育成が主目的のチームだったが、昨季から本橋が「チームの中から成長を促したい」とスキップに入り、北海道選手権では準優勝という結果を残した。決勝の相手が北海道銀行であり、両チームはそれ以来の再戦となる。

「トップチームと戦える貴重な機会ですから、自分たちのスキルがどこまで通用するか。また、カーリングとどう向き合っていくか、勉強しながらいいゲームをしたい」と本橋は大会前に語ったが、初戦からハイレベルな攻防が期待できそうだ。

 日本選手権4位の富士急(Koana)も虎視淡々と上位を狙う。スキップの小穴桃里は「とにかく貴重な実戦の場」と捉えたうえで、「(2026年冬季)オリンピックレースとしては最初の年になる」と長期的な強化も見据えている。まずは4年ぶりに世界選手権のアイスに立つことが大きなターゲットだろう。

 SC軽井沢クラブJr.(Yamamoto)も2020年のジュニア国内王者で、世界ジュニアでも4位に入賞したポテンシャルを備えたチームだ。今季は現メンバーでジュニアカテゴリーに挑める最後のシーズンであり、スキップ・山本冴が「目標は世界ジュニアの優勝です」と断言。「トップチームからたくさん学んで、それを活かしていきたいです」と貪欲に学ぶ姿勢を見せ、絶好の力試しの機会として今大会に臨む。史上初の世界ジュニア金メダル獲得に向けての大きな一歩にしたい。

 プールBの主役はやはりロコ・ソラーレ(Fujisawa)だ。北海道銀行同様、稚内決戦を視野に入れながらの最終確認的なゲーム運びになるだろう。今大会のテーマを「新Fujisawaスタイルの確立」としており、詳細や全容は明らかにされていないが、その戦いぶりから、稚内決戦やグランドスラム、五輪への展望が読み取れるだろうか。多くの視線が注がれる。

「出るからにはもちろん優勝を目指しています」と中部電力(Nakajima)のスキップ・中嶋星奈は意気込む。大会2日目、20日13:30からのロコ・ソラーレとの対戦は2019年と2020年の両日本選手権決勝と同カードであり、多くのファンの注目を集めることになりそうだ。実況解説つきの配信も予定されている。

「中嶋は強気なことを言っていますが、今大会はまず自分たちの積み重ねてきたことを確認したいです。結果もついてくれば最高ですが、メンバーのフィーリングを合わせてチームとしていいゲームができれば」とはフォース・北澤育恵のコメントで、今季も中嶋との名コンビが見られそうだ。

 日本選手権準優勝のロコ・ソラーレ、3位の中部電力に割って入りたいのが同5位のSC軽井沢クラブ(Kanai)だ。今季の目標としては日本選手権でのクオリファイ(プレーオフ進出)などが挙げられるが、日本選手権は来年5月に予定されているため、強化のために時間はある程度は割ける。西室雄二コーチは「せっかく強いチームとの対戦があるので、改めて自分たちの実力を試して足りないものを見つけたい」と開幕戦となる今大会でまずは課題を見つけ、焦らずにそれをクリアしていく正攻法を採る構えだ。

 Bプールの次世代チームとしては地元の札幌協会(Nihira)が出場。昨季は日本ジュニア優勝に加え、一般でも北海道選手権で北海道銀行、ロコ・ステラに次ぐ3位という好成績を残した。プレーオフ進出を目標に掲げたスキップの仁平美来が「セカンド、サードで早い石を投げることができる。一投で展開を変えるような楽しい試合をしたいです」とストロングポイントを語ったように、キーショットを決め上位に風穴を開ける可能性は十分だ。

 また、余談になるかもしれないが、日本ジュニアを目指すこのチームに今季、富士急の小谷有理沙が参加することになった。ジュニアの大会限定の加入にはなるが、多カテゴリーでの出場やチーム間での交流で個の力を高めることなどが目的だ。チームの垣根を超える試みもカーリングという競技の特徴かもしれない。

 どちらのプール、どのカードをとっても五輪代表候補や国内トップチーム同士の対戦、ジュニア選手権の前哨戦、世代を超えたゲームなど、物語に富んだゲームが楽しめるのは“どうクラ”ならでは。番狂わせや新星の誕生も期待できる。五輪シーズンの初戦にふさわしい白熱の試合を期待したい。

スポーツライター

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。 カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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