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女子韓国代表が直前キャンセルも次世代カーラーが緊急参戦、どうぎんカーリングクラシック2019

竹田聡一郎スポーツライター
昨年は韓国代表のM.Kimが優勝、中部電力が準優勝、3位が北海道銀行(著者撮影)

 8月1日から札幌市のどうぎんカーリングスタジアムで、どうぎんカーリングクラシック2019が開幕する。

 国内の開幕戦の位置付けであると同時に、ワールドカーリングツアー(以下WCT)のタイトルの一つでもあるこの大会は、今季からWCTランキングが日本選手権出場や2022年の北京五輪の選考にかかわってくることもあり、例年以上に国内の有力チームが揃うことになった。

 男子Aブロックの注目カードは初戦の札幌国際大学(Kamada)とTM軽井沢(Morozumi)だ。

 札幌国際大学は2月の日本選手権を岩井真幸、青木豪、宿谷涼太郎、荻原功暉、鎌田渓という5人で戦い3位入賞を果たしたが、今季は青木や鎌田らと同世代で共にジュニアの日本代表チームである新野和志と佐々木彩斗が新たに入学してきた。それと前後するように、平昌五輪代表の両角友佑が新チームTM軽井沢を結成。岩井と宿谷はこのチームに加入する。

「前のチーム(札幌国際大)で世界選手権を経験させてもらってから、もっと上に行きたいという気持ちが強くなった。世界を目指してプレーしたい」(岩井)

「カーリングを始めてから5年間、自分を育ててくれた札幌のみなさん、札幌国際大学に感謝しつつ、さらに上手くなりたい」(宿谷)

 それぞれが向上心を持って決断したように、岩井は7年勤続した北海道庁を退職し、宿谷は大学院を中退して軽井沢に新天地を求めた。今大会がチームとして初戦となるが、「チーム内でお互いの良いところ、伸びしろを確認しながらのゲームになるが、噛み合えばかなりいいところまで行くんじゃないかなと思っています」とスキップ両角友は抱負を語る。新チームが噛み合うか、次世代カーラーの勢いが勝るか。縁のある両チームがまずは火花を散らすことになる。さらに新体制の両チームは2日以降、オンタリオ州王者で昨季のWCTランキング15位のチーム・マクドナルド(Mcdonald)と対戦する。世界への距離を測る機会としてこちらも大切なゲームになりそうだ。

 男子Bブロックはパシフィック・アジア選手権(以下PACC)で初優勝しアジア王者となり世界選手権でも4位と躍進したコンサドーレ(Matsumura)、PACC準優勝で中国代表のチーム・ゾウ(Zou)、PACC3位のチーム・キム(S.Kim)、日本選手権準優勝のチーム神田(Kanda)らアジアトップチームに加え、カナダからはWCTランキング17位の強豪チーム・ガンナクソン(Gunnlaugson)が参戦する。

 コンサドーレのスキップ・松村雄太は「シーズン序盤の難しい時期のゲームですが、勝ちを意識しながら課題を見つけられるようなゲームにしたい」と新シーズンへの意気込みを語ってくれたが、どのチームも今大会をきっかけに一気にWCT上位にランクされてもおかしくない。アジアトップチームと王国カナダからの刺客が入り乱れる激戦区を制すのはどのチームだろうか。

 女子はCブロックのPACC王者で世界選手権銅メダルのチーム・キム(M.Kim)と、Dブロックのチーム・キム(Gim)の韓国勢が大会エントリー後、直前で不参加を表明した。

 理由はチーム事情によるものとされ、経済的、政治的背景があるかどうかは不明だが、代替チームとしてCブロックには北海道ジュニア選手権の優勝経験もある札幌協会(Tabata)、Dブロックにはロコ・ソラーレのセカンドチームであるロコ・ステラ(Hayashi)の、次世代を担うチームがそれぞれエントリーした。

 Cブロックの注目カードは北海道銀行フォルティウス(Yoshimura)ロコ・ソラーレ(Fujisawa)の北海道ダービーだろう。日本選手権準決勝の再戦であり、国内チームでグランドスラムに出場しているチーム同士、ハイレベルなゲームが期待される。

「いいチームが多い中で強さを見せたい。『自分たちは強いんだ』と観ている人も、自分たちも感じられる大会にしたいです」(吉村紗也香)

「今年もいいチームがたくさん出るので、それぞれのいいところをうまく盗むことができれば。いい結果を出して、いいシーズンの入り方をしたいと思っています」(藤澤五月)

 Dブロックでは日本選手権優勝の中部電力(Nakajima)と、同4位の富士急(Koana)、カナダ・マニトバ州王者のチーム・フルーリー(Fleury)、さらに中国代表で世界選手権6位のチーム・メイ(Mei)で星の奪い合いになりそうだ。前述のロコ・ステラがその中でどこまで抗えるかも含め、どれも興味深いカードになりそうだ。

 5回目を迎えた同大会だが、特に今大会は女子のチケットが開幕前にほぼ完売し、テレビ中継も決定するなど年々、注目度が増している。

 カーリングが少しづつ認知されている中で、選手がそれに呼応するようなハイパフォーマンスで会場を盛り上げて欲しい。いよいよ今季、19/20年シーズンのカーリングが始まる。

スポーツライター

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。 カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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