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第36エンド「激動と希望の16/17シーズン総括。男女五輪出場決定とミックスという新たな挑戦」

竹田聡一郎スポーツライター
今季、チームJAPANとして活動し日の丸を背負った2チーム。

4月上旬のエドモントンの男子世界戦、下旬のレスブリッジのミックスとシニア世界戦、カルガリーのグランドスラムも全て終わり、これで今季のカーリングは終わりだ。

良い意味で本当に長いシーズンだった。

男子はアジア・パシフィック選手権(PACC)でSC軽井沢クラブが初優勝を果たし、全日本も5連覇を達成した。そして20年ぶりの五輪出場と、快挙が続いた実りある一年だった。同時に、世界戦での負け越しやグランドスラム全敗など、さらなる高みに向けて課題を見つけた世界との連戦だった。

女子は昨季を、ロコ・ソラーレ北見の世界2位という歴史に名を残す偉業で閉じ、五輪出場は濃厚という状態で今季を過ごした。ただ、そのロコ・ソラーレが苦しんだ。国内カップ戦は表彰台に上がれず、PACCと冬季アジアでは期待されている色と違うメダルを首にかけた。日本選手権では若返った中部電力が磐石のカーリングで3年ぶりの優勝を果たし、ロコ・ソラーレが世界戦で稼いできたポイントのおかげで日本女子は6大会連続の五輪出場が決まったが、平昌行きの切符は来季に持ち越しだ。ただ、ロコ・ソラーレは今季、チームとして最後に挑んだボンスピル「CCT City of Perth Ladies International」の予選でチェルシー・キャリーら強豪相手に5戦5勝でクオリファイするなど、復調の光が差し込んでいる。技術やスイープ力では世界でもトップクラスであることは疑いがないので、9月に常呂で開催される五輪トライアルに向けて、ロコと中電の両チームがピーキングに成功し、その先にある五輪につながる好ゲームを期待したい。

さらに平昌の新種目であるミックスダブルス協奏曲も今季は奏でられた。協会推薦の3ペアがこちらも良い意味でミックスの全日本を荒らし、「狙った場所に投げる、運ぶ」というカーリングの基礎中の基礎の重要性をプレーで説いた。阿部晋也、小笠原歩が挑んだ世界戦では惜しくもクオリファイを逃したが、底上げ、普及、選手任せのサポート企業獲得、トップチームの強化、さらには4人制との風通しなど多くの課題をあぶり出してくれたはずだ。来季以降、カーリングシーンに新たな色が加わる。

また、今季完成した盛岡の24時間営業リンクのほか、青森のみちぎんカーリングスタジアムも来季から通年での営業を始める。田中美咲率いる青森ユースの世界戦出場などのいいニュースあったが、東北からさらなる有力チームの登場が期待される。ぜひ「東北で良かった」のハッシュタグをカーリングでもつけてほしい。

選手はそれぞれ、契約社との話し合いや挨拶回り、家族サービスや身体のメンテナンスなど、つかの間のオフに入る。始動はチームによるが、国内トップチームは7月14日から常呂で開催されるアドヴィックスカップ2017へのエントリーが濃厚だ。逆算すると6月末あるい7月アタマの始動となる見通しだ。

そこで来季の「曲がれ、ストーン」を再開させようと思う。とりあえず今季のような動きの多いシーズンをぐるっと書かせてもらってだいぶ楽しかったし、勉強になった。

ご愛読ありがとうございました。また来季にお目にかかりましょう。カルガリーの空港から失礼します。ごきげんよう。

スポーツライター

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。 カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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