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第25エンド「世界選手権4日目。ノルウェーに勝ち、アメリカに負ける。通算4勝3敗で4位タイをキープ」

竹田聡一郎スポーツライター
逆転勝利をしたノルウェー戦を終えて。清水は開口一番、「疲れました」とコメント。

カナダ・エドモントンで開催中の男子カーリング世界選手権は4日目を終え、ラウンドロビンも後半に突入。日本代表のSC軽井沢はドロー10で世界ランク3位のノルウェー、ドロー11で同5位のアメリカと対戦した。

まずノルウェー戦だが、ハンマースタートながら3エンド連続スティールされ、残り7エンドで4点を追う展開を強いられる。「アイスを読むのが相手より完全に遅れた」とサードの清水徹郎は振り返る一方で、「あと7エンドもある」とチーム全員が開き直り、後攻で2点を取り、先攻で相手に1点を取らせるというカーリングの基本に立ち返った。

以後はショットやラインコールの乱れもなく、4&6エンドで2点を取り、5&7エンドで1点を取らせるという、粘りのゲームを見せる。追うプレッシャーを与え続けた成果か、第8エンドに起きた相手のミスに付け込み、一挙4得点を獲得。メンバーも「記憶にない」という4点差を跳ね返す逆転劇で4勝目を挙げた。

続くアメリカ戦では「調子が上がっている」というセカンドのセカンド山口剛史の言葉どおり、セットアップの部分である程度の形を作ってはいたが、プラスαを生む好ショット、あるいはフィニッシュの部分でハウス内に強い石を送り込む決定力に欠けた。ショットの精度、リスクマネジメントも大きな問題はないように見えたが、あるいは世界戦のステージでは、無難なショットでは確実に星を稼げないのかもしれない。

本日のキーショットはノルウェー戦、2点差で迎えた先攻の5エンド、スキップ両角友佑の2投目だ。

ハウス内にはノルウェーの黄色が2つ残っている厳しい状況だったが、両角友と清水は迷わずフリーズを選択。結果的にはナンバー1の石を少し押す形になったが、相手にプレッシャーショットを残した。対してノルウェーのスキップは、フリーズがタップとなった石半個の隙間を付いてピールにいくが、わずかに叶わず。日本としては1点を結果的にはうまく取らせたエンドとなったが、フリーズが石半分開いてしまうと狙われる、という世界レベルの怖さも同時に感じるラストロックとなった。

これで通算成績は4勝3敗。4試合を残して、アメリカと並んで4位タイの位置につけているが、明日の5日目には全7勝で1位のカナダと、予選最終日には2位タイのスイスとの対戦がそれぞれ控えている。スキップの両角友佑、目標としているクオリファイについて尋ねられ「上がるためには金星を挙げるしかない。カナダにもスイスにも勝つつもりで攻めて行きます」と必勝を誓った。

特に明日のカナダ戦は全選手がポジションバイポジションで上回るパフォーマンスを見せ、さらに1投で2手、3手のロールを果たすショットが求められる。

五輪がかかった大舞台で最強の相手を迎える、SC軽井沢クラブ創部以来、最大の挑戦といっても過言ではない。エドモントンの奇跡、アルバータの歓喜なるか。必見だ。

スポーツライター

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。 カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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