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第24エンド「世界選手権3日目。スウェーデンに敗れ、ドイツに勝利。通算成績3勝2敗で4位タイ」

竹田聡一郎スポーツライター
世界ランク2位のスウェーデンにラストエンドまで抗ったのはポジティブな要素だ。

日本代表のSC軽井沢クラブはドロー7で、ソチ銀メダルチームで世界王者の実績も持つスウェーデン代表 Niklas Edinに挑んだ。

ハンマーを持ったスウェーデンは1エンド目から好ショットを重ねる。特にセカンドのRasmus WRANAAはランバックトリプルという滅多にお目にかかれないショットで強烈な挨拶をSC軽井沢クラブお見舞いすると、それを足がかりにまず2点を奪った。

それでも、「ショットは上がっているし、アイスにもだいぶ合ってきた」とスキップ両角友佑が口にしたように、SC軽井沢は辛抱強くセットアップを繰り返し反撃の機を待つ。しかし、世界トップチームは簡単に複数得点を与えてくれない。プレッシャーショットを作ってもいなされ、あるいはプレッシャーを跳ね除けて決められ、一度もリードを奪えずに逃げ切られた。火力あるいは手数の差が出た格好となり、両角友も「悔しいけれど、相手の方がうまかった」と認めたが、それでも世界ランク2位のチームにラストロックを投げさせるまで食い下がることができたのは大きな収穫だろう。

「あんなの狙うか!? 決めるか!?って最初は驚いていたけれど、もう考えるのはやめました。世界選手権ってこういう大会ですから」そう覚悟を決めた両角友は、夜のドイツ戦でほとんど迷うことなくブラシを立て続け、他の選手の好ショットを導いた。チームもそれに淡々と確実に応え、平均で85%を超えるショット率を記録し、3勝目を挙げた。通算3勝2敗で5戦全勝のカナダ、4勝1敗のスイス、スウェーデンに次いで4位タイの順位となっている。

本日のキーショットはスウェーデン戦の第6エンド、後攻のスウェーデンのスキップ・Niklas Edinのラストロックだ。

スキップ両角友佑は1投目でダブルを決め、さらに2投目で相手のナンバー1に向けてフリーズを投じるも、理想のウェイトよりは若干、重かった。ナンバー1を石半個ほどレイズしてしまう。それでもショット率はタスクを満たす100%。十分なショットであり、相手にきっちりタフなショットを残した。スティールが狙えると思った観客も多かっただろう。

しかし、そこでNiklas Edinが返したショットは、両角のシューターの内側をさらにレイズし外に追いやり、さらに自身の石をボトムに滑り込ませて2点を奪うものだった。かなりデリケートなショットではあるが、両角公佑は「難しいショットを決められたとは思いますが、あのレベルでは石半分でも付け込まれるのでスキを見せるとああなる」と振り返った。石半個の精度で勝敗が分かれるのはこの舞台では日常茶飯事だ。世界の怖さが凝縮されたドローだった。

明日の大会4日目、現地時間4月4日はラウンドロビンも折り返しを迎える。

日本は14時(日本時間5日早朝5時)からのドロー10で日本と同じ3勝2敗のノルウェーと、続く19時(日本時間5日午前10時)のドロー11では2勝3敗のアメリカとそれぞれ戦う。上位進出のためには連勝しなくてはならない2ゲームだ。

NHK-BSの中継のほか、ワールドカーリングフェデレーションの大会公式HPでは、ショット率などの情報が随時更新されている(ちなみに僕はそれらのスタッツをつける記録員の横に座っている)ので、併せてチェックすればより楽しい観戦になるだろう。

スポーツライター

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。 カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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