企業がiOS6を捨てiOS7専用アプリを出すべき3つの理由 - fladdictレポート

iOS7のリリースは、アプリに関わる企業や開発者にはビッグインパクトとなった。フラットデザインに一新されたiOSに対し、どのような開発戦略をとるべきか。率直に言えばiOS6をサポートすべきか、あるいはいっそiOS7専用アプリを作るべきか。この問題に頭を抱えている担当者は多いだろう。

多くの企業は条件反射的に、「1世代前のバージョンはサポートすべき」と保守的な安全策を考える。だが本当にその選択は安全策なのだろうか? 見えていないコストやリスクはないのだろうか?

本記事では、mixpanel.com が公開するiOS推移の統計データと過去のiOS移行をベースに、iOS7のサポートとどう向き合うべきか考える。

iOS7は史上最速で普及している

Chitika.comの統計データによれば、iOS7への移行は、前年のiOS6時よりも急ピッチで推移してる。

リリース7日間におけるiOS6とiOS7の普及速度比較
リリース7日間におけるiOS6とiOS7の普及速度比較

引用:http://chitika.com/insights/2013/ios-7-adoption

次の図は、2013年2月時のiOSのシェアである。このデータによれば、iOS6公開から半年でiOS5以下のユーザーはほとんど存在していない(6%以下)。

2013年3~4月のiOSの普及率
2013年3~4月のiOSの普及率

この2つのデータを組み合わせれば、、今後のiOS7の普及率を推測することは難しくない。

iOS7がiOS6より高速に普及している以上、2014年度のiOS7のシェアは、2013年度のiOS6のシェアよりは大きくなる。つまり、グラフの推移を見る限り、iOS6以下のユーザーは来年の三月には6%以下。1年後には3%以下になると考えてよい。

つまりiOS6に注力するかどうかは、「最大で市場の5%」のユーザーを獲得する為に、どれだけのコストと開発リソースを割り振るか・・・ということである。

iOS7に対応しなければ露出しなくなる

今後AppStoreではiOS7対応アプリしか紹介されなくなる
今後AppStoreではiOS7対応アプリしか紹介されなくなる

では逆に、iOS7に対応しないリスクはなにか? 単純に考えればiOS6アプリはiOS7で動く。積極的にiOS7対応する必要はなさそうにみえる。だが、これは大きな誤りである。

現在Appleは、iOS7対応アプリをAppStore上で積極的に紹介している。逆をいえば、iOS7に対応しなければ今後AppStoreでバナーや専用コーナーに掲載される可能性はない・・・ということを意味する。

同様にAppStoreでの検索の優先順位で、iOS7対応アプリが優先的に表示されるようになる。おそらくは半年以内に、iOS7未対応アプリは検索に表示されなくなるのは想像に難くない。

iOS6対応は競争力を削る

さらに致命的なのがiOS6対応が、プロジェクト進行において想像以上の重荷になることだ。このコストは、カスタマイズしたUIや、アクロバティックな実装をしていた場合、さらに辛くなる。実質2重実装といってよい。今回の変更ではグラフィックが一新されたため、今後のアップデートでは、iOS6とiOS7で異なったデザインを並行で作成しつづけなければならない・・・といったことも多々発生する。

またiOS6をサポートするということは、iOS7の新機能(AirDropやiBeaconなど)を捨てるということでもある。必然、移行のタイミングを間違えれば、新しいiPhoneの新機能の大半をキャッチアップし損ねる。これにより新興アプリに対して、大きなハンディキャップを背負うことになる。

iOS6のサポートは、分散された戦力で、余分なデバッグを求められ、新OSで搭載された開発工数を減らす機能達も封印を強いられることを意味する。当たり前のことであるが「5%のユーザー層の為に、95%のユーザー層に対する品質と利便性を落とす」ことになるので、当然失う機械損失は数%ではすまない。本末転倒である。

【結論】 労あって益少なし。数パーセントのシェアに予算の半分を使うのはリスク

結局のところ、iOS6の市場シェアはダウントレンドであり、この流れが覆ることは決してない。企業担当者や開発者としては、目先の数字に捕らわれずに、将来の市場シェアを見据えた施策が重要となるだろう。

開発者として、また経営者としての自分個人の判断としては、半年後に5%まで縮小が予想されるターゲット層に、開発費の30%~50%を投入するのは愚策に他ならない。その上、この投資は、来年のiOS8の登場時には、負債になることが約束されている投資なのである。

iOS7による大変更は、既存アプリのシェアをひっくり返すに足るビッグチェンジになりうる。大企業ほど、成功したアプリほど、無数のしがらみに囚われ、iOS7への移行に二の足を踏んでいる。それは新興プレイヤーからみれば、大きなチャンスに他ならない。競合がシェア数%のiOS6対応にリソースを割いているうちに、速やかに洗練されたiOS7アプリを出す・・・というのが最も合理的なアプローチとなるだろう。特に、最近になってAppStoreから旧アプリのダウンロードが可能となったため、iOS7専用へのアップデートを出すことも、直近でのiOS6ユーザーの切り捨てにはならなくなっている。

もし貴方が企業担当者ならば、今すぐ開発者にiOS6のサポートを辞めさせ、iOS7に注力させるべきである。

<追記>

はてぶで、「iOS7が載らない端末数を考慮していない」と書いている人がいるが、iPhone4未満の端末シェアは2.2%なので、配慮する必要は特にないと思われる。