【四国リーグ/徳島】『試行錯誤の4日間』JABA四国大会、佐藤靖剛と徳島インディゴソックスの3試合

今大会10打数5安打の大活躍を見せた徳島の主将、佐藤靖剛(写真/佐藤友美)

『試行錯誤の4日間』

 

 予選リーグ3試合が、すべて終わった。

 室内練習場で行われていた自主練習を終え、主将の佐藤靖剛(ミキハウス)がホッとしたような表情を見せる。

「すごくいい経験だったなって」

 この3試合、徳島インディゴソックスは崖っぷちに立たされていた。

 4月7日に開幕した第49回JABA四国大会に、四国アイランドリーグplusから、ただ1球団出場している。予選リーグ第1試合(7日、JAアグリあなんスタジアム)は、NTT西日本を相手に0‐7(7回コールド)で敗れた。

 実力差よりも、この大会に臨む気持ちに差がありすぎる。徳島・吉田篤史監督(元ロッテほか)は「姿勢の差が出た」と話す。

「ただ勝ちを目指しているのと、日本選手権が掛かって、是が非でも勝ちたいっていう、その執念じみた勝利への執着心。あの辺の違いが出て」

 試合後、野手陣は一塁側のダッグアウト裏に残り、佐藤を中心にミーティングを開いていた。第2戦は、あさって9日である。

「これくらい練習やっといたらええやろ」

 だが第2戦、対三菱自動車岡崎戦(9日、オロナミンC球場)でも、再び1‐9(7回コールドゲーム)と大敗を喫し、決勝トーナメントから姿を消すことになった。第1戦では1つだった失策数が、この試合では4つも記録されている。明らかに守備のミスが足を引っ張っていた。

 選手たちは試合後、すぐさま鳴門市内にある練習グラウンドに移動し、練習を行っている。一体、何が足りないのか? 佐藤は再び野手を集め、話し合う機会を持った。

 主将として重く感じていることは、選手たちの中に温度差を感じる部分があることだ。「これくらい練習やっといたらええやろ」と考えている選手がいる。チームが1つになっていない。そこに隙が生まれてしまうことに気が付いていた。

 自身も昨年7月まで、ミキハウスに所属していた経緯がある。社会人野球の世界では、たった1つのエラーがチームの1年間を終わらせてしまうことだってある。それを意識していれば、普段の練習から自分が何をすればいいのかは、自然と分かる。

 彼らが簡単に崩れないのは、各々が高い意識を持って、この大会に臨んでいるからだ。大会に入る姿勢、試合前の準備、ここに懸ける意気込みが違う。

「自分たちも『これぐらい練習しといたらいいわ』というのじゃなくて。自分がいま何を求められとって、自分がどういうふうに練習しないといけないかっていうのを、もっと各自で意識して、というようなことを話させてもらいました」

 選手同士で切磋琢磨して、競争していかないと、このまま終わってしまう。それを伝えることで精いっぱいだった。

第3戦、対シティライト岡山戦

 4月10日、第3戦となるシティライト岡山戦(JAアグリあなんスタジアム)に、吉田監督は先発メンバーの打順とポジションを入れ替えてきた。さらに八番・三塁手として、リーグ公式戦でも出場経験のないルーキーの平尾蒼凱(明桜高)を抜てきする。

 3回裏には、代打として送った古市尊(高松南高)を、そのまま左翼手として起用した。古市も同じく1年目のルーキーである。

 2人が躍動する。平尾は3安打を放ち、古市も2つの四球を選ぶ。左翼手としても好捕を見せるなど、大きく役割を果たしている。失策の数は3つを数えたものの、ここまでの2試合とは違う積極的な試合運びができている。

 1点差まで追い上げられた直後の8回裏、徳島の攻撃。先頭の一番・坪井悠太(大阪偕星学園高)が左中間への二塁打で出塁した。二番・宇佐美真太(大阪偕星学園高)が打席に入る。その前に、三番・佐藤の頭の中で、イメージはもう出来上がっていた。

「宇佐美がバントして、ワンアウト三塁で回ってくる。その打席に入る前から想定していたので」

 バントが決まり、一死三塁となった。6回からマウンドに登っているシティライト岡山の四番手・金津知泰(拓殖大)は、右のサイドスローである。前の打席で捕邪飛に打ち取られている。

 佐藤はストレートがシュート気味に内角へ食い込んでくると感じていた。そのストレートを左中間に運びたいと考え、ホームベースとの距離を少し開けた。4球目を捉えた打球が、遊撃手の頭上高くを越えていく。6点目を奪った適時二塁打が、シティライト岡山を再び突き放した。

試行錯誤の4日間

 高卒1年目の若い選手たちが期待に応えてくれたことが、チームにとって大きなプラスになったと、佐藤は感じている。

「落ちて、ただ単に勝ったのじゃなくて、新しい血が入ってきても、そいつらが活躍して勝てたっていうのは、僕の中ですごく良かった。これからのリーグ戦にも生きるような勝ち方やと思ったので」

 平尾も古市も、なんとか成果を挙げようと必死だったはずだ。レギュラーメンバーの中に、少し緩んでいた空気感があったのを、彼らが吹き飛ばしてくれた。それが良い結果につながったことが、素直にうれしい。

 10打数5安打1打点と、佐藤1人が孤軍奮闘していた3試合だった。しかし、3試合目にようやくチームとして勝利することができた。これでいい流れに乗って、再びリーグ戦に臨むことができる。

 主将として強い自信があるわけではない。リーダーを任せられたのは小学校のとき以来だ。あれこれ試行錯誤しながら、いかにしてチームを引っ張るべきか、考え続けている。

 この3試合の経験が、また新たな糧となる。

「球史さん(橋本球史コーチ)にも聞きつつ、どうしていったらいいか? っていうのを相談し合って、この4日間やれたので。負けてましたけど、チームの雰囲気を下げずに、同じ方向を向かせるために行動できたのが、きょうの結果になったのかな。このままリーグ戦に入れたらな、っていうふうに思ってます」

 試合後、佐藤を含む選手数人は、室内練習場に移動して自主練習を行っている。橋本球史コーチからノックを受ける者、ネットに向かってティー・バッティングを続ける者、それぞれの姿があった。

佐藤靖剛(さとう・やすたか)

1997年1月14日生まれ、24歳。内野手。175センチ、76キロ。大阪府出身。石見智翠館高‐横浜商科大‐ミキハウス‐徳島IS(2020年8月~)2年目。昨季は57試合に出場、打率.211、24打点、2本塁打、5盗塁。今季は2年目ながら主将を務める。昨季までの三塁手から遊撃手にコンバートされた。今季はここまで3試合に出場、打率.455(2位)5打点(1位タイ)1本塁打(1位タイ、4月12日終了時)

第49回JABA四国大会 徳島インディゴソックス戦績

予選Dブロック

第1戦 4月7日 徳島IS ● 0-7 ○ NTT西日本(JAアグリあなんスタジアム、7回コールド)

第2戦 4月9日 徳島IS ● 1-9 ○ 三菱自動車岡崎(オロナミンC球場。7回コールド)

第3戦 4月10日 シティライト岡山 ● 4-6 ○ 徳島IS(JAアグリあなんスタジアム)

3試合1勝2敗(予選敗退)