【四国リーグ】『走る高知』対阪神戦で通用した2020年仕様の攻撃力

3回表、二塁から松尾が生還。高知が同点に追い着く。捕手・岡崎(写真/高田博史)

2020.2.24 四国アイランドリーグplus 2020 交流戦

阪神タイガース二軍 6x‐4 高知ファイティングドッグス(安芸タイガース球場)

高知 003 001 000|4 H5、E1

阪神 010 000 014x|6 H8、E3

バッテリー

高知 道原、山崎、今田、岡部、高橋、竹内、石井、平間 ‐ 大原、大田

阪神 呂、小川、福永、川原、齋藤 ‐ 岡崎、長坂

本塁打

高知 

阪神 中谷ソロ(8回、石井)、伊藤隼ソロ(9回、平間)、板山サヨナラ3ラン(9回、平間)

 24日、高知ファイティングドッグスは、安芸タイガース球場で阪神二軍との交流戦に臨んだ。阪神1点リードで迎えた3回表、高知は阪神先発・呂彦青から二番・勝岡静也(関西大)の適時中前テキサス安打などで3点を奪い、逆転に成功する。6回にも1点を追加し、リードを3点に広げた高知だったが8回裏、7番手・石井大智(秋田工業高専)が四番・中谷将大にソロ本塁打を浴び、2点差に。9回裏には8人目の平間凛太郎(日本製鉄東海REX)が、途中出場の伊藤隼太に右翼へソロ本塁打を、三番・板山祐太郎に右翼へサヨナラ3ランを浴び、阪神が6対4で高知を下した。

走る高知

 投手陣が3点のリードを守り切ることができず、阪神二軍の前に逆転サヨナラ負けを喫したが、高知は「今年は一味違う」という攻撃力を見せつけた。

 3回表、一死一、二塁の場面。二塁走者、松尾康平(YBC柏)は、中堅手と二塁ベースの間に打ち上げられた浅い飛球に、ためらうことなくスタートを切った。

 外野手の位置が少し深い。「あとは打球判断だ」と思っていた。

「(中堅手が)ちょっと下がってました。『いける!』と思って走って。勝呂コーチ(勝呂壽統コーチ/元巨人ほか)も回してくれていたので、思い切りホームに走って」

 一気に三塁を蹴り、1対1の同点に追い着いている。

 6回表、阪神三番手・福永春吾から、五番・安田寿明(九州国際大)が福永の足元を抜く中前安打で出塁したあと、続いて二盗を成功させる。一死一、二塁となり、八番・松尾の打席でエバース(バントの構えからバットを引くプレー)に反応した三塁手がベースを空けた。安田は一瞬の隙を見逃さず、三盗を成功させる。この進塁が生きた。続く二ゴロ併殺崩れの間に安田が生還、4点目を奪った。

 格上の阪神を相手に、連打を続けることはそう簡単ではない。1本のヒット、1つのチャンスでいかに点を奪うか。それはいま、野手全員が練習で力を入れていることの1つでもある。安田が言う。

「でも、まだ『リードがちっちゃい』だったり、『帰塁が遅い』だったり、まだまだ課題がいっぱいあるんですけど。NPBを相手にここまで出せたら、少しは成長かなあと思いますね」

 このプレーのあと、二死一、三塁から重盗を敢行したが、三塁走者が本塁でタッチアウトとなり、失敗に終わっている。だが、「走る高知」を体現する積極的なトライだった。

 7回表、二番・勝岡静也(関西大)がこの日、2回目の盗塁に成功したとき、イラついた阪神ファンから「1カ月、何練習してきたんや!」とヤジが飛んだ。9回表、山本卓磨(高知工科大)の二盗は失敗に終わったが、この試合を通じて高知の盗塁企画数は「6」。そのうち4回を成功させている。

 昨シーズン、高知は84回の盗塁企画数に対し、48回成功(4位)。盗塁成功率は・571だった(4位)。チーム盗塁数1位の徳島は、199回の盗塁企画数に対し、141回を成功させている。盗塁成功率は・709(1位)だ。高知の倍以上の盗塁を試み、そして約3倍の数を成功させた計算になる。

「機動力」は今季、守備の強化と共に、吉田豊彦新監督(元南海ほか)が掲げるテーマだ。

「いま、そういうところで取り組んでます。走塁っていうのは勇気がいることですし、失敗しても全然構わない。失敗のなかから何か1つ、感覚をつかんでくれていい。そういうところでやってます。思い切ってやってくれてますよね」

 変化球がワンバウンドした際のスタート練習など、走塁技術を磨くなかで、次の塁を狙おうとする意識が野手全員に高まっている。三塁ベースコーチャーとして立つ勝呂コーチの指導が大きいと、選手たちは口をそろえる。

 帰り際、勝呂コーチに走塁の話を聞こうとした。「まだまだです!」と一言だけ言い残し、バスが待つ方向へと消えて行った。