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【四国リーグ】『そっちに気持ち動いてんだろ?頑張って来いよ』徳島、谷田成吾氏の新球団代表就任を発表

高田博史スポーツライター
新球団代表に就任した谷田成吾氏(写真/高田博史)

 19日、徳島インディゴソックス球団は、新取締役兼球団代表に球団OBでもある谷田成吾氏が就任することを発表した。

 午後3時から徳島市内で就任記者会見が行われ、徳島球団の運営会社『株式会社パブリック・ベースボールクラブ徳島』の代表取締役、南啓介氏と谷田新代表が会見に臨んでいる。

南啓介・前球団代表

「(新代表就任の経緯として)谷田自身も徳島でプレーし、何か徳島のために貢献したいという熱意を球団として受け止めまして、各オーナー(共同オーナー8社)と会議をし、今回の取締役就任という形になりました」

谷田成吾・新球団代表

「12月19日付けで徳島インディゴソックスの球団代表に就任致しました。お世話になったインディゴソックスの球団代表という、身に余る大役でありますが、球団並びに地域の発展。ファンに支持されるチーム作り。2年連続の日本一。そして、1人でも多くの選手の夢がかなうよう、力の限り努力して参ります」

『そっちに気持ち動いてんだろ? 頑張って来いよ』

 徳島のファンだけでなく、アイランドリーグを見守る四国のファンにとってもビッグ・サプライズだろう。元選手が経営陣として球団運営に携わるのは、高知ファイティングドッグスで10年間、外野手としてプレーした後、球団運営会社『高知ファイティングドッグス球団株式会社』の代表取締役球団社長を務めた梶田宙氏(2019年3月より新運営会社『株式会社高知犬』取締役)に続き、2人目になる。

 今後は、引き続き南氏が代表取締役を務めながら、行政面へのアプローチ、スポンサーの新規獲得などに重きを置いた業務を行う。

 谷田代表は動画配信、SNSなどWebを使ったPR活動。また、球場に足を運んでくれたファンへのサポート、新規ファンの獲得、及び定着を業務として担う。

『開幕1万人プロジェクト』始動

 集まった記者に向けて、プレゼン資料も配布されている。新球団代表の施策として、2つが掲げられた。

 1つは『開幕1万人プロジェクト』だ。3月末に行われる開幕シリーズ(来季の試合カレンダーが未発表のため、ホームゲームとして行われる2試合か3試合)で、合計1万人の来場を目指す。それに向けて、クラウドファンディングプロジェクトを本日から開始した(20年1月30日まで)。目標金額は200万円に設定している。

 昨年、協力者と共に『総額1億円プロジェクト』をぶち上げたが、集まった額は67万2千円と目標にはほど遠く、そのうえ球団には1円も残らなかったという失敗の経験がある。今回は谷田代表が中心となって、目標額達成と開幕シリーズでの1万人動員を目指す。

「クラウドファンディングで『こういうことをやろうと思ってます』っていうことを発信し続けて3月末を迎えたいと思っていて。『いま、こういう状況です』っていうのを一緒に追ってもらえるような見せ方というか、出し方にして。僕たちだけだとなかなか難しい目標だと思っているので、より多くの方々が協力したい、参加したいって思ってもらえるような出し方を続けて。1人でも多くの方々に共感してもらえるような流れが作れれば、と思っています」

 もう1つは『徳島インディゴソックス・サポーターズクラブ』を創設する。ファンクラブを設立することで、ファンとのリレーションをより強化し、球場のコンテンツの拡充や集客増加につなげたい。

南啓介前代表と握手を交わす谷田新代表(写真/高田博史)
南啓介前代表と握手を交わす谷田新代表(写真/高田博史)

再び、徳島の地で

 経営者として、覚悟をもって徳島の地に戻って来た。

「当然、結果は出さなきゃいけない。不安とかプレッシャーも当然あるんですけど、自分がイメージしていた『インディゴソックスはここまで行けるんだ!』っていうところに追い着けるかもしれないっていうのは楽しみですね。やりがいもありますし、好きなチームですし。徳島は好きな場所ですし、好きじゃなかったら戻ってこないので。自分と同じようにNPBを目指してる子たちに関われる。頑張れる要因はたくさんあります」

 7年連続でNPBに選手を送り込み、3回目となる独立リーグ日本一の座も手に入れた。だが、それに相反するように徳島球団の経営状態は、依然として厳しい状況が続いている。野球選手としてのキャリアを終えた球団で、今度は経営の道を歩む。

 東京で就職して、まだ1年も経っていなかった。当然、簡単な決断ではない。それを決めたのは、籍を置いていたIT関連会社、株式会社ショーケースの人たちの後押しがあったことが大きいと話す。

「9月に話をもらって、正式にオファーが来て。会社に申し訳ない気持ちも当然あったので。前職の社長だったり、取締役の方、僕を入社させてくれた方々に話をして。自分自身も行くか行かないか、迷ったんですけど。徳島に行きたいなって思い始めてから、どう会社に納得してもらえるか? というか、後押しもしてもらえないんじゃないか? と思っていたので。悩んで話を聞いてもらってるときに『そっちに気持ち動いてんだろ? 頑張って来いよ』というふうに言ってもらったので。そこで最後、背中を押してもらえた。そこが『じゃあ、頑張ろう』という気持ちになれたポイントでした」

 26歳、谷田成吾。新たな挑戦の始まりである。

谷田成吾(やだ・せいご)

1993年5月25日生まれ。埼玉県川口市出身。慶応義塾大では外野手として大学野球日本代表、JX-ENEOSでも社会人野球日本代表入りを果たす。18年2月に退社後、MLBを目指して渡米。帰国後の同年5月、徳島に入団し、1年間プレーした後、引退した。19年1月、株式会社ショーケースに入社。11月に退職したあと、12月19日より徳島インディゴソックスの運営会社である株式会社パブリック・ベースボールクラブ徳島の取締役球団代表に就任した。

スポーツライター

たかた・ひろふみ/1969年生まれ。徳島県出身。プロ野球独立リーグ、高校野球、ソフトボールなどを取材しながら専門誌、スポーツ紙などに原稿を寄稿している。四国アイランドリーグplus は2005年の開幕年より現場にて取材。「現場取材がすべて」をモットーに四国内を駆け回っている。

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