【四国リーグ・高知】吉田豊彦(元南海ほか)新監督就任。「監督として。変わる立場、変えないスタンス」

左から山本裕司社長、吉田豊彦新監督、江本孟紀総監督(写真/高田博史)

 9日、四国アイランドリーグplus、高知ファイティングドッグスは、高知市内のホテルで吉田豊彦新監督(元南海ほか)の就任会見を行った。会見には山本裕司球団社長、江本孟紀総監督も出席し、新監督決定までの経緯などについて語った。

山本裕司球団社長

「駒田監督退任を公表した後、江本総監督に今後の監督の人選について、ご相談をさせていただきました。そのなかで、ファイティングドッグスで8年間、コーチとして指導していただき、独立リーグも熟知し、また地元に密着して生活しておられる吉田氏が適任ではないかということで、2人のなかで結論に至りました」

江本孟紀総監督

「新監督を吉田豊彦さんにやっていただくことになりました。4年前ですか。最初に相談を受けて、駒田監督にやっていただきました。それなりに成果もあり、高知ではいろんな意味で皆さまにお世話になりました。高知ファイティングドッグスという存在が非常に注目されるようになったことですし、チームの成績自体は優勝できませんでしたけれども、着実に進歩している(中略)。次の監督さんは一応、新体制にもなったことだし、慣れてる、またチームのこともよく分かってるし、土地柄もよくご存じだということで(吉田コーチに)やっていただくのが適任ではないかということで」

吉田豊彦新監督

「8年間、お世話になってきまして、そのなかでこういう大役をやらせていただくことに、すごく意気に感じております。そのなかで、8年間以外にもプロの世界でダイエー、そして阪神と、この地で本当にお世話になってまして、野球がすごく盛んで、県民性も豊かで、野球が大好きな地だというのを感じておりました。最初、この話をもらったときにすごく迷いましたが、現在私も高知・越知町民であります。そのなかで、日ごろからすごくいろんな方に声を掛けていただいて、すごくバックアップをしていただけるという、そういう思いもありまして、今回やらせていただくことになりました。前監督ほど力を発揮できるかどうか分かりませんが、精一杯頑張っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します」

『監督として。変わる立場、変えないスタンス』

 あれは2015年10月、弘田澄男監督の退任が決定した後に行われた『アイランドリーグAWARD(表彰式、懇親会)』でのことだった。

 次の監督の人選は難航していると聞いていた。当時、コーチとして4シーズン目を終えた吉田豊彦コーチ(元南海ほか)に「吉田さんが監督をされたらいかがですか?」と尋ねてみたことがある。

「とんでもない! 監督っていうのはね、違うんだよ。僕なんかがやっちゃいけない。そういうもんじゃないんだよ」

 笑ってごまかすのではなく、全力でそれを否定する吉田コーチに逆に面食らった。

 あれから4年が経ち、高知ファイティングドッグスの5代目監督として就任することを受諾した理由は、山本社長、江本総監督からの「君の経験を生かしてほしい」という熱烈なプッシュと、自らも生活の拠点を置く高知・越知町の人たちの応援があったからだ。

「やっぱり会社を含めて、そういうふうなことで考えてくれたってことですよね。周りの方々は監督にならなくてもすごく応援してくれていますので、よりいっそう強くなるってことにはなるとは思いますけど、やはり恩返しができる。ま、いままでもその気持ちでやっていましたけど。そう言っていただいた以上はですね。それを断る理由がなかったので。でも『いいのかな?』、『オレでいいのかな?』とは常に思っていましたけど」

 引き受けることを悩んだ理由の最たるものは、監督としてのキャリアがないことである。現役を引退後、楽天でも2軍投手コーチを4年間経験しているが、育成担当だった。首脳陣が監督とコーチ2人とトレーナーという、たった4人の体制で構成される独立リーグとは言え、やはり監督としての責任は別格なものがある。

 オファーを受けたあと、駒田徳広前監督(元巨人ほか)に相談している。返って来た答えは「絶対やるべきだ」だった。監督をやらない理由は見つからなかった。

「『勝つための』っていう野球は、これから自分のテーマでもあります。ゆっくり戦略を考えて、まず、選手をしっかり把握すること。新戦力も入ってきて。まず、どういう選手か分からないので。既存のメンバーは知ってますけど、それ以外は来春、来てからになりますから。そのなかで実戦を踏まえてどうやって行くか? っていくことはそこからです」

 投手陣の育成中心だった、コーチとしてのこれまでから、ゲーム・マネジメントや野手とのコミュニケーション、またNPBを含め、対外的にアピールしていく球団の顔としての役目も含め、立ち位置は大きく変わる。責任はもちろん増える。「背負うものは重いですよ」と苦笑した。

 だが、スタンスはこれまでと同じ。変えたくはない。

「監督になったからどうのこうのだとかじゃなくて、より幅広く選手と知り合えるのかな、という気はします。いままではピッチャーのことしか、それ以外のところでは口出ししてなかったので。自分の思っていることもなかなか、あんまり出しゃばっちゃいけないって。そういう思いから、こういう立場になって、初めてコミュニケーションが取れるのかな。特に変わることはないと思います」

 会見中、何度も「しっかり選手と対話して」と言った。これまでは投手陣と密に対話してきた部分を、監督としてチーム全体と対話していく。

 秋季練習が行われているなか、選手には正式に「吉田監督」としての訓話はまだしていない。だが、一言だけ伝えてある。

「あいさつのときに『もう来季は始まってる』ってことだけは伝えました。このリーグの環境としては、長々とやるところではないし、そういうなかで毎年、十何名が入れ替わる。そういうシステムのなかで、いま残っているメンバーには『来季は始まってる』と。そういう部分だけは伝えました」

 正式な監督としての第一声は11月1日、シーズン終了報告会として行われる恒例の『I LOVE DOGS会2019~秋~』の席上で放たれることとなる。

吉田豊彦(よしだ・とよひこ)

1966年9月4日生まれ、53歳。大分県出身。国東-本田技研熊本-南海・ダイエー(88~98年)‐阪神(98~01年)‐大阪近鉄(02~04年)‐楽天(05~07年)‐楽天2軍投手コーチ(08~11年)‐高知ファイティングドッグスコーチ(12~19年)

高知ファイティングドッグス5代目監督として就任。

高知ファイティングドッグス歴代監督

藤城和明(05~07年)

定岡智明(08~13年)

弘田澄男(14~15年)

駒田徳広(16~19年)