【四国リーグ/香川】Wヘッダー第2試合、逆転サヨナラ勝利につなげた香川・中村と木村の闘志

殊勲打の木村(左)が中村主将(中)らと共に歓喜の渦のなかへ(写真/高田博史)

2019.4.22 四国アイランドリーグplus前期公式戦

ダブルヘッダー第1試合(7イニング制)

香川オリーブガイナーズ 2‐7 徳島インディゴソックス前期5回戦(レクザムスタジアム)

徳島 200 000 5|7 H8、E4

香川 000 001 1|2 H5、E3

勝 河野 1勝

敗 谷口 2敗

バッテリー

徳島 河野、パイシェン、箭内 ‐ 川端

香川 谷口、畝、喜屋武、鈴木 ‐ 直野

本塁打

徳島

香川

 22日、香川オリーブガイナーズが徳島インディゴソックスをホーム・レクザムスタジアムに迎えて行われる前期5、6回戦は、雨天中止となった開幕戦(3月30日)の代替試合を組み込む形でのダブルヘッダーとして行われた。この試合はリーグ公式戦として初となる、7イニング制が採用されている。

 第1試合、徳島は香川先発・谷口魁星(新日鐵住金かずさマジック)の立ち上がりを捉える。四番・川端晃希(JFE東日本)、五番・服部真琴(吉備国際大)の連続適時打により2点を先制した。

 徳島先発左腕・河野成季(鳴門渦潮高)は5回を無失点に抑えるが6回裏、無死一、三塁のピンチに陥る。四番・クリス(稲垣将幸/中央学院大)の右犠飛により香川が1点を返し、試合は2対1と、徳島リードで最終回の7回に突入した。

 7回表、4回からリリーフしている香川の3番手、喜屋武一輝(近畿大)を徳島打線が捉える。三番・岸潤一郎(拓殖大中退)の2点適時右越え二塁打、五番・服部の左中間を破る二塁打などで一挙5点を加え、リードを6点に広げた。

 7回裏のマウンドに登ったパイシェン(台湾)が1点を失ったが、徳島が7対2で香川を下している。

第1試合で徳島先発の左腕・河野成季(鳴門渦潮高)が初勝利を挙げた
第1試合で徳島先発の左腕・河野成季(鳴門渦潮高)が初勝利を挙げた

ダブルヘッダー第2試合(7イニング制)

香川オリーブガイナーズ 3x‐2 徳島インディゴソックス前期6回戦(レクザムスタジアム)

徳島 001 001 0|2 H9、E1

香川 000 000 3x|3 H4、E0

勝 四戸 2勝

敗 森 1勝1敗

バッテリー

徳島 森、箭内 ‐ 横溝

香川 大高、青柳、四戸 ‐ 三好

本塁打

徳島

香川

 第2試合、徳島の先発・森祐樹(日本経済大)が香川打線を5回までパーフェクトに封じ込める見事な投球を披露する。打線もこれに応え、2回に二番・球斗(森田球斗/白山高)の適時中前打で先制すると、6回にも六番・平間隼人(鳴門渦潮高)の適時中前打により2点をリードした。

 だが、最終回(7回裏)香川打線が森を捉える。一死から安打と2つの四球で二死満塁とすると、七番・白方克弥(松山商)の二遊間へのゴロが大きく跳ね上がり中前へ。二者が還り、土壇場で香川が2対2の同点に追い着いた。

 徳島ベンチは森に代え、第1試合に続いて箭内翔太(東京国際大中退)をマウンドに送るが、八番・中村道大郎(日体大)を四球で歩かせ、再び二死満塁に。途中出場の九番・木村健太(東北学院大中退)の打球は左前へのサヨナラ安打となり、香川が3対2と劇的な逆転勝利で徳島を下した。

「オレが打つしかないな。多分、打つだろうな」

 徳島先発・森祐樹(日本経済大)の前に、香川打線は5回までパーフェクトに抑えられていた。6回裏、ようやく七番・白方克弥(松山商)に中前打が飛び出したが、得点には至っていない。

 だが、2点を追う最終回(7回裏)香川の反撃ムードが徐々に森をのみ込んで行く。二死満塁となり、七番・白方の打った二遊間へのゴロが、遊撃手・岸潤一郎(拓殖大中退)の前で大きく跳ね上がった。2対2の同点となり、徳島・牧野塁監督(元オリックスほか)は森に代えて、マウンドに箭内翔太(東京国際大中退)を送った。

 香川・西田真二監督(元広島)は、打席へ向かう八番・中村道大郎(日体大)に声を掛けている。

「鬼になれ!」

 6試合を終え1勝と一向に波に乗れず、どん底の状態にあった香川の流れを変えたのは2日前、対徳島前期4回戦(20日、JAバンク徳島スタジアム)9回表に中村が放った逆転の2点適時二塁打だった。抑えとしてマウンドに登った箭内のストレートを、左中間に弾き返している。

 再び箭内と対戦する。「オラァ!」と声を上げて投げた初球のストレートを空振りした。これで中村の気持ちにスイッチが入った。

「監督にも『鬼になれ!』って言われて。だから、ケンカ腰で行ったんですよ。普段、あんまりスイッチ入れないんですけど、きょうめちゃめちゃスイッチ入って。空振り獲られたときに『オラァ!』って言ってきたんで、僕のほうも気持ち出して、にらみつけて」

 カウントがフルカウントになった。オレに打たれたストレートで来いよ。力でねじ伏せてみろや。そんな気持ちで最後のボールを待っている。

「キャッチャーも『腕振って来い!』って言ったんで。『これ絶対、真っすぐだ』と思って。気持ちいいじゃないですか、そういう勝負したら」

 だから6球目、外角低目にスライダーが来たとき、バットが止まった。

 四球を選び二死満塁と、香川に一打サヨナラの場面が訪れる。続く打者は途中出場の木村健太(東北学院大中退)である。

なんとかしなくちゃいけない

 昨年、肉体改造で体重を14キロ増やし、打撃練習でフェンスオーバーを連発する光景も珍しくなくなった。西田監督は開幕前、期待する野手の1人として木村の名前を挙げており「今年はシーズンを通して使う」と明言している。

 だが、開幕から調子が上がらず、対愛媛前期1回戦(17日、レクザムBP丸亀)で初めてスタメン落ちした。ここまで打率・130と不振が続いている。代打として登場した6回裏の打席でも、空振り三振に倒れていた。

 木村のことを特に気に掛けているのが主将である中村だ。最近、グラウンドへの行き帰りを共にするなど、意識して一緒に行動するようにしている。そんななか、変わろうとしている姿に気付いていた。

「あいつだけは見逃さないというか、キーポイントはあいつだって。あいつ、最近いろいろ変わり始めたというか。『何かをしよう』というところが見え始めたので」

 なんとかしなくちゃいけない――。焦りのなかで、当の木村自身が一番そう思っている。

「打ってなくて、なかなか試合もスタートで出られない。それはもちろん当然の結果だったんですけど、悔しい思いももちろんあって。なんとかしなきゃいけないなって、ずっと思ってました。その気持ちもあったので、最後は『オレが打つしかないな』って。もう前向きにというか『多分、打つだろうな』ぐらいの気持ちでいきました」

 打席に入り、木村は落ち着いていた。箭内の表情に余裕がない。直感で「これはいけるな」と感じた。真芯に当たった打球がファールとなって一塁側スタンドに消えて行く。さらにカウントが3‐1になる。5球目のストレートを左前に弾き返した瞬間、グラウンドに飛び込んで来た選手たちとスタンドが、一気に喜びを爆発させた。

 ただ、外角へのストレートだけを待っていた。四球を選ぶことなど、これっぽっちも考えていなかった。

「普通、3‐1から打つ? よぉ振ったなあ!」

 歓喜のなかで木村の肩を抱きながら、中村が笑っていた。

四国アイランドリーグplus前期リーグ戦成績(4月22日終了時)

 1.徳島 12試合7勝5敗0分け、勝率.583

 2.高知 11試合5勝4敗2分け、勝率.556、0.5差

 3.香川 10試合4勝5敗1分け、勝率.444、1.0差

 4.愛媛 9試合2勝6敗1分け、勝率.250、1.5差