【四国リーグ/徳島】2019シーズン開幕戦、逆転勝利を呼び込んだ徳島・岸潤一郎の「読む力」

7回裏、徳島・岸が勝ち越しの2点適時三塁打を放つ(写真/高田博史)

2019.3.31 四国アイランドリーグplus 2019前期公式戦

徳島インディゴソックス 7‐4 香川オリーブガイナーズ(JAバンク徳島スタジアム)

香川 003 010 000|4 H8、E2

徳島 100 021 30x|7 H9、E0

勝 箭内1勝

S 石本1セーブ

敗 谷口1敗

バッテリー

香川 四戸、石田、谷口、又吉、青柳 ‐ 三好

徳島 竹内、伊藤、箭内、石本 ‐ 横溝

本塁打

香川

徳島 岸(1号ソロ、1回四戸)

 30日に行われる予定だった開幕戦2試合が共に雨天中止となったため、四国アイランドリーグplusの前期シーズンは31日に開幕した。舞台を高松から徳島に移し、徳島インディゴソックス対香川オリーブガイナーズ前期1回戦がJAバンク徳島スタジアムで行われている。

 1回裏、香川先発・四戸洋明(国士館高)から三番・岸潤一郎(拓殖大中退)が左翼へ1号ソロ本塁打を放ち、徳島が先制する。

 しかし、香川も3回表、徳島先発の竹内裕太(鶴見大)を捉える。一番・岡村瑞希(クラーク記念国際高)の適時左中間二塁打、四番・クリス(稲垣将幸/中央学院大)の適時左前打などで3点を奪い逆転に成功した。

 4対4の同点で迎えた7回裏、徳島は一死二、三塁と勝ち越しのチャンスを迎える。三番・岸の左中間を破る2点適時三塁打で勝ち越しに成功すると、四番・服部真琴(吉備国際大)も適時右前打で続き、三塁から岸が生還。7対4と香川を突き放した。

 徳島が3点のリードを守って香川を下し、開幕戦白星発進を決めている。

読む力

 カウントが2ボールになった。1回裏二死、三番・岸潤一郎(拓殖大中退)は、香川先発の四戸洋明(国士館高)が投げる次の3球目をストレートに絞った。四戸には140キロ台後半のストレートがある。

「開幕の最初、ああいうピッチャーって『真っすぐで押したい』みたいなのあるじゃないですか。イメージで。真っすぐの力もあるし。あいつ自身が(ストライクを)獲りに行ったのか、わかんないですけど。とりあえず球種は真っすぐかな? って」

 かつて自身が投手だったことよりも、これまで多くの場数を踏んできた経験からだろう。「力で押して来る」と読んだ。

 徳島は新チームになってから橋本球史コーチの号令の下、野手全員が「バッティングカウントで強く振る」ことに取り組んでいる。カウント2‐0から強く振り、もし自分が二塁打でも打てば、続く四番・服部真琴(吉備国際大)のシングルヒットで生還できる。そんなイメージで強くスイングした打球は、左翼スタンドのポール際に突き刺さった。前夜、敵地での開幕戦が降雨ノーゲームとなり、ホームで迎えることになった開幕戦の第1打席で、いきなり今季第1号を放っている。

 4対4の同点で迎えた7回裏、一死二、三塁のチャンスで岸に打順が回った。香川ベンチはここで投手を代え、サイドスローの又吉亮文(環太平洋大)を送る。

 バックホームに備えた外野手が、やや前よりの守備位置を取っていることには気付いていた。第2打席で遊ゴロ、第3打席で三ゴロと、いずれもチャンスで凡退している。

「ホームランの残像が消えんかったんですよ、自分のなかで。勝手に意識が“引っ張り”の感じやったんで。去年までなら、あのショートゴロも、サードゴロ打ったんも、全部ライト前に打てたのになと思って……」

 左中間から右中間方向を意識して強く打てば、外野手の頭を越すことができる。犠牲フライにすることもできるだろう。4回目の打席を前に、頭のイメージと体のズレを修正していた。

 ここでもカウント2‐0とボールが先行する。3球目、外角へのストレートは「低い」と感じ、手を出さなかった。又吉がコントロールに不安を抱えているように感じる。もし次の球にスライダーが来るのであれば、すでに3球目までにそれを使ってストライクを獲りに来ているはずだ。

 その読みが4球目をストレート一本に絞らせた。打球は左中間を深く破り、走者2人が生還する。二塁を回ったところで「暴走かな?」と思ったが、一気に三塁を陥れてみせた。

 いまから5カ月前の昨年10月23日、みやざきフェニックス・リーグでの対DeNA戦(アイビースタジアム)で打球を追ってフェンスに激突した。左手首を骨折、右手親指を脱臼するなどの大けがを負い救急車で運ばれている。

 だが、宮崎の病院での処置が素晴らしく、手術を回避できたことで、当初考えていた時期よりも早く復帰にこぎ着けることができた。

「自分も間に合わんと思ってましたね」

 それが本音だろう。開幕に間に合うどころか、今季最初のヒーローインタビューに登場するシーンまでは岸自身も想像していなかったはずだ。

「最高じゃないですか? チームとしてもホント、最高やったと思いますよ。途中、逆転も経験できた。やれるんだ、みたいな」

 ドラフト解禁の2019シーズンが、最高の形で幕を開けた。