【四国リーグ/愛媛】『産みの苦しみを乗り越えて』小田幸平、白根尚貴。2人が愛媛を選んだ理由

写真左から小田幸平コーチ、薬師神績愛媛球団代表、白根尚貴コーチ(写真/高田博史)

 6日、今シーズンから四国アイランドリーグplus・愛媛マンダリンパイレーツでコーチを務めることになった小田幸平コーチ(元巨人ほか)、白根尚貴コーチ(元ソフトバンクほか)の就任会見が、松山市内の球団事務所で行われた。

小田幸平コーチ(元巨人ほか)

「河原さん(純一監督)の存在が大きかったというのが一番ですね。河原さんとはこれで3球団(巨人、中日、愛媛)で一緒になるので。今回はコーチですけど。ワクワクしております。いろんな方から熱い、心温まるコメントをいただいて、それで(コーチ就任を)決めました。選手がすごく素直で『オレは絶対プロ野球に行きたいんだ!』という人ばっかりの集まりだと、今年すごく感じました。抱負としては勝つことと、プロ野球に1人でも多く選手を送り出すことが自分の目標です。あと、僕のキャラはこんな感じなので、楽しく。そういう野球を見てもらいたいなと、河原さんの元でやっていきたいなと思います」

白根尚貴コーチ(元ソフトバンクほか)

「歳も今年まだ26歳で、チームのなかに年上の選手もいるなかで、ほとんどの選手との年齢差が2つ3つと近いので、そこをプラスに捉えて。コーチと選手っていう線は引いてしまいがちですけど、そこを取っ払うとまではいかなくても、より近い存在として。自分の体もまだまだ動くので、実演も交えながら選手にいい影響を与えて、1人でも多くプロの世界に送り込んでいけるように指導していきたいと思っております」

産みの苦しみを乗り越えて

 2月に入り、各球団がキャンプイン(合同自主トレ)しても、まだ愛媛は今シーズンの体制を決められないでいた。1月24日に一足早く、河原純一監督(元巨人ほか)の続投と白根尚貴新コーチ(元ソフトバンクほか)の就任を発表している。だが、もう1人のコーチが見つかっていなかった。

 難航したコーチ選考について、薬師神績球団代表が述懐する。

「いろんな方にご紹介をお願いしたのですが、なかなか愛媛に来てくれる方が見つからない。出会うことができない。そんな状況でした」

 小田幸平(元巨人ほか)は、かつて巨人、中日時代に河原監督とバッテリーを組んでいた縁もあり、河原が監督に就任した2017年以降、毎年臨時コーチとして愛媛を訪れている。今年も松山市内の練習グラウンドに足を運び、選手たちの指導に当たっていた。薬師神代表が言葉を続ける。

「小田さんとコミュニケーションを取るなかで『今年のチームは野球が好きで、素直な選手が多いので、非常に教えがいがあります』というコメントをいただきました。本当に『灯台下暗し』だったんですけども、小田さんご自身にコーチの就任をお願いしたことがなかったんですね。小田さんの人脈で『コーチを探して下さい』と、いろんな方に当たってはいただいたんですけども、小田さん自身にはお願いしておりませんでした。……と言いますのがご承知のように、非常に球界でも人気のある方なので、ご本人にはお願いできないだろうというふうに勝手に思い込んでおりました。そのコメントを聞いて、ぜひ小田さんご自身にお願いしてみようと。『コーチとして選手たちの面倒を見てほしい』と誠意をもって、情熱をもってお願いしました」

 愛媛を訪れるようになって3年、来るたびに人の温かさ、街の温かさを感じる。愛媛の人たちと交わす何気ない会話のなかに、小田の気持ちを引き付けるものがあった。

「普通の会話なんですけども。温かいと思うのがそれだったんでしょうね、僕にとっては何がっていうわけじゃないんですけど。臨時コーチのときとかでもそうなんですけど、忙しいなか食事とかみんなで、GM、会長、社長もそう、ざっくばらんに食べて。そのなかでの話が温かいなと思ったこともあるし。選手のことをすごく思っているなっていう温かい言葉とか。例えば、街に出ると店のおじさん、おばさんが温かく声掛けてくれて。『こんな温かいところでやれたらいいな』と思っていた」

 決まっていた今年の予定を調整し直し、コーチの要請を受諾した。愛媛の街と、球団と、河原監督との縁でつながったコーチ就任である。

 白根コーチもそうだ。「同郷のいい人材がいる。ぜひ会って話をされてみては?」と球団に白根を紹介したのは、かつて愛媛でコーチを務めた森山一人(現・長崎国際大硬式野球部監督)だった。マンダリンパイレーツの歴史がつないだ縁と言ってもいいだろう。

 小田コーチのサービストークで、記者との質疑応答は非常に和やかな雰囲気で進んだ。

「でも、空港で(蛇口を)キュッとひねったときに、みかんジュースが出てきたのはね。僕の感動と、まずそこからスタートだったので、そこからあったかいなあと。空港でジュースが出て来る。おかしいですよね! 空港でジュースなんか出て来る……ねえ。そこからあったかいなという感じはしましたけど(笑)」

 新体制を固めるための、産みの苦しみは乗り越えた。小田コーチの明るさと、白根コーチの熱意に、選手たちはどう応えるか。また、これまでとは違ったマンダリンパイレーツになりそうな予感がある。