【四国リーグ】香川を退団したエース原田宥希、ルートインBCリーグ・福井入団!

新天地・福井でNPB入りを目指す原田宥希(写真は香川時代、撮影/高田博史)

 9日、香川オリーブガイナーズのエースとして昨年、最優秀防御率、最多セーブの2冠を獲得した原田宥希投手が、BCリーグ・福井ミラクルエレファンツに入団することが正式に発表された。先月24日、香川を自由契約となっており、今シーズンの動向が注目されていた。

「なんとか香川にも恩返しできるように」

 派遣されていたオークランド・トゥアタラ(ABL)での最後の試合を終え、オーストラリア・メルボルンから関西国際空港に着いたのは1月21日、午後9時ごろのことである。その2日後、原田宥希は高松に足を運び、2日間をかけて香川球団、四国リーグ事務局など、お世話になった人々へのあいさつ回りを行った。

 すでに11月の渡航前に引っ越しを終えており、高松に自宅はない。午前中、市内で自主トレ中の香川の選手たちと合流し、練習を手伝っていた。

 練習を終えたあと、香川では最後となるインタビューの機会を作ってもらった。3カ月ぶりに見る顔の鼻の下に、薄い口ひげが蓄えられている。「伸ばすの?」と尋ねた。

「いや、剃りますよ! まだ剃ってないだけです。もう、ニキビできすぎて痛いんですよ。ストレスかもわかんないです。痛すぎて、剃るに剃れなくて。胃が荒れてると思うんですけど。向こうのご飯も合ったり合わなかったりしたので」

オーストラリアから帰国後、高松で自主トレ中のオリーブガイナーズを訪れた原田(写真/高田博史)
オーストラリアから帰国後、高松で自主トレ中のオリーブガイナーズを訪れた原田(写真/高田博史)

 トゥアタラ球団のあるニュージーランド、オークランドに飛び立ったのは、11月1日のことだ。年をまたいで約3カ月間、NPBからも若手が派遣されるオーストラリアン・ベースボール・リーグ(ABL)で腕を磨いた。主にクローザーとして16試合に登板し、3勝2敗1セーブ。前半やや苦労したが、12月中ごろから徐々に本来の投球ができ始めていた。残念ながら、トゥアタラは初めて参入したABLでプレーオフ進出を逃し、メルボルンでの最終戦(1月19日)を最後に解散となった。大きなアクシデントもなく、派遣は終了している。

「まあ、無事に帰って来られたので。それが一番良かったなと思います。何事もなく」

香川を去ることを決めた

 香川を去ることを決意したのは、群馬(BCリーグ)と独立リーグ日本一を賭けて争ったグランドチャンピオンシップ(GC)が終わったころだ。ドラフト会議(10月25日)まで、あと10日ほどとなったこの時点で、NPB球団からの調査書(指名のために必要な調査書類)は届いていなかった。前年は7球団から届いており、スーツ姿で指名を待った。届かなければ指名の可能性はほぼない。

 結局、今回のドラフトにおいて四国リーグからは、ロッテから徳島・鎌田光津希1人が育成指名されたのみに終わり、香川は2年連続で指名を逃す結果に終わっている。

 2017年に8勝(2位タイ)を挙げ、最多奪三振(110奪三振)のタイトルを獲得した。クローザーに転向した18年は、最優秀防御率(1・47)、セーブ王(16セーブ)の2冠を獲得し、年間最優秀選手にも輝いた。奪三振率10・42(1位)は、ただ1人の10点台である。

 2年続けて投手としての力は見せつけた。では一体、何が足りなかったのか。本人も感じているところはある。

「アピール不足だったりとか、絶対的な力をもっと見せなきゃいけなかったのかなとか、いろいろありますね」

 17年後半からウイニングショットに使い始めたタテに落ちるツーシームが、18年に向けてのプラス材料だった。だが、昨年に比べて思ったようにストレートの球速が上がらない。成績は残しているのだが、満足のいかない投球が続く。きっちり3人で抑えてほしい場面で先頭打者に出塁を許してしまい、なんとか抑えたというような、不安定さが見られたケースも少なくなかった。

「ありましたね。そこは自分自身、フォームが崩れてるのを直せなかった自分が悪いっていうのはあります。(調子の)波が激しかったですね」

 10月14日にGCが終了し、ドラフトを終えて渡航する11月1日まで。高松で秋季練習を続けていたこの18日間のうちに、四国を出る決心を固めている。

「西田さん(真二監督/元広島)からは『やったらええやん!』って言葉は掛けていただきましたね。『ウチで』っていうのは多分、考えてはったとは思いますけど。戦力として見ていただいていたので。でも、ドラフト終わってすぐくらい。ずっと練習も出てたので。そのときから『やったらええやんけ』って言われてて。そのときには移籍とかも、自分のなかでは踏ん切りついとったんで。『ああ、はい……』って言いながらやってましたけど。天野さん(浩一コーチ/元広島)もそんな感じです。自分から初めて『移籍したい』っていう旨を伝えたら『ああ、そうか』って。西田さんもそうですし、天野さんも。……どんな感じやったかなあ。思ったよりすんなりいきましたね。『環境、変えたいんか?』みたいな感じでは言われましたね」

 香川を出ることは決めた。次にマウンドに登る場所は、試合数の多さを考えてもBCリーグでプレーすることがベストの選択だと考えた。極秘に交渉した後、福井から入団の内諾を得てニュージーランドへと出発している。

「早く福井で投げたい」

 香川の原田から福井の原田へ。今シーズンの自分自身に期待する気持ちは大きい。

「う~ん。大きい期待っていうか、なんて言うんですかね。確かに楽しみはすごくあります。早く福井で投げたいというか。結果はどうこう、早く投げてみたいっていう楽しみ感はあります」

 ABLへの派遣を通じて、フォームの上積みができた実感をつかんでいる。早く実戦でそれを試してみたい。期待されてマウンドに登り、その期待以上に「すごいぞ!」と言われるような投手になりたい。相手に「うわ! 出てきた」と嫌がられるような投手に。

「すごく緊張もしますし、不安もいっぱいですけど。それ以上に楽しみっていうか、そういう気持ちがあるので。なんとか結果残して、香川にも、場所は違いますけど恩返しできるように頑張っていきたいと思います」

 今季、福井のスローガンは『覚悟』である。

「……覚悟ですか。決めて行きますね。覚悟決めないと、行く意味ないと思うので。もうホントにラストチャンスって言われる年齢まで来てしまったなと思いますし」

「香川の原田」から「福井の原田」として。香川時代を超える活躍で悲願を手にするか(写真/高田博史)
「香川の原田」から「福井の原田」として。香川時代を超える活躍で悲願を手にするか(写真/高田博史)

 今年、10月で25歳になる。4年間、挑戦を続けた四国・香川をあとに、新たな場所で挑戦を続ける。長いようであっという間の4年間だった。

「楽しかったです。いろんなとこ行かせてもらいましたしね。いろいろな経験もできましたし。それこそ、海外併せて4カ国、優勝も前、後期併せて3回。CS(チャンピオンシップ)も行ったし、GCも行かせてもらったし、総合優勝もできたし。やっぱ、いいチームに入れたっていうのは誇りです。それこそ首脳陣もそうですし、チームメートもね。お客さんにも出会って、支えてもらって、ここまで成長できたので。あとはね、ここからNPBに行けなかったっていうのがね……」

 ABL派遣中のため、シーズンお礼報告会にもファン感謝祭にも顔を出せなかった。ファンだけでなく、チームメートにも、ちゃんとさよならを言えなかった心残りがある。

 だが、ますます強くなった気持ちがある。ドラフト指名を受けて、香川に恩返しができるように。そのために旅立つ。

原田宥希(はらだ・ゆうき)

1994年10月29日生まれ。24歳。180cm80kg。右投右打。B型。大阪府出身。大体大浪商‐滋賀・高島ベースボールクラブ‐香川オリーブガイナーズ(2015~2018)‐福井ミラクルエレファンツ(2019~)

通算成績(香川時代)

2015/15試合3勝5敗。防御率4・61(54回2/3)35奪三振。

2016/20試合3勝7敗。防御率2・55(81回1/3)51奪三振。北米遠征MVP。

2017/21試合8勝4敗(2位)防御率2・90(115回)110奪三振(1位)

2018/37試合2勝2敗16セーブ(1位)防御率1・47(61回1/3、1位)71奪三振(5位)奪三振率10・42(1位)WHIP1・03(3位)5・6月度月間MVP、前期最優秀選手、チャンピオンシップ最優秀選手、年間最優秀選手

4年間通算/93試合に登板、16勝18敗16セーブ。5完投、1完封勝利。防御率2・82(312回1/3)奪三振率7・69。WHIP1・16。与四球率2・85。