【四国リーグ】徳島・牧野塁新監督、監督就任会見で語った指導者の姿勢

監督就任会見で抱負を述べる牧野塁新監督(写真/高田博史)

 29日、四国アイランドリーグplus、徳島インディゴソックスの新監督となる牧野塁氏(元オリックスほか)の会見が徳島市内で行われた。2月1日付けで正式に監督として就任する。

 会見には牧野新監督、南啓介球団代表の2人が出席した。

牧野塁新監督

「こういうチャンスをいただいたことをすごくうれしく思いまして、チャレンジさせていただきたいなと思いました。とにかく1年間、全力を尽くして頑張って行こうと思いますので、みなさん本当によろしくお願いします」

南啓介球団代表

「我々、球団としてチームとして、一番大事にしていることが、人間教育という部分に一番重きを置いて監督を選んでいます。教育をしっかりして下さる方が、監督としてふさわしいという判断をしています。そんななか、楽天関係者のお薦めもありまして、牧野さんをお招きするという運びになりました。我々としてベストな選択ができたと思い、今シーズン楽しみなチームができるんじゃないかなと思っております」

「同じことを教えるにしても、いろんな教え方をしないといけない」

 1993年から計17年間、NPB4球団を渡り歩きながらプレーした。その経験が貴重であることはもちろん、引退後は横浜で打撃投手を(2010~11年)昨年まで7年間、東北楽天のベースボールスクールで小中学生を指導していた経験を持つ(2012~18年)。

 実はこの楽天ベースボールスクールでの経験が、これから徳島で大きく生きて来るのではないだろうか。牧野新監督に「小中学生を指導したことで得たものは何でしょうか?」と尋ねた。

「最初に思ったのが『教えるよりも、自分がやったほうがホント楽だな』っていうのが第一印象だったんですけれども、教えるってことに対して、自分の1つの言葉で伝えて分かる選手っていうのは、いるかもしれないですけど、全員とは限らない。例えば同じことを教えるにしても、いろんな教え方をしないといけないなっていうことを学びました。結論的には一緒なんですけど、そこまでのアプローチの仕方というか、その伝え方っていうのをうまくやっていくことが、その子に理解をしてもらったり、納得してもらったりにつながる。多分、これってどの世界でも一緒で、高校生だろうが、大学生、社会人、独立リーグ、プロ野球でも全部一緒だと思うんですよ。なので、そういうところの部分はすごく勉強になりました」

「そうは言っても、まだまだ勉強不足なところはあるので、日々勉強しなきゃいけないかなと思ってるんですけれども……」と謙遜してみせる。

 今季の投手陣は、既存選手10人、新人選手9人の計19人という大所帯だ。彼らを指導するために意識することは「よく話をしていくこと」と語る。

「僕らが現役のころというのは、最初のころは『言わなくても分かるだろ』と。そんな指導の仕方というか。あとは『完全強制』みたいなことが多くあったので。納得するまで時間がかかったりとか、嫌々やっているとケガをしたりとかっていうことは自分の経験上でもあったので。ある程度、こういうふうにやらせたいと思ったんだったら、まず話をしていって、とにかく理解を得ないとダメだなと思っています。どういう選手にしてもそうですけど、しっかりと対話していきたい。雑談も大いにするし、しっかりと向き合って。お互いの考え方を縮めていく。そういうこともやりながら指導していかないと、なかなか難しいかなと。相手も心を開いてもらわないと、言ってることを素直に受け止めてくれなかったりすると思うので、そこを大事に。自分の経験を元にですけど、そういうところを大事にやっていったほうがいいなと思ってます」

重なる養父監督の指導論

 会見を聞いていて思い出していたものがある。17年11月、当時の養父鐵監督(現・徳島球団国際部)が勇退する前のインタビューで語っていた言葉だ。養父には徳島に来る以前、すでに8年間、自身が経営する『ルーツベースボールアカデミー』で小中学生を指導している素地があった。

「独立リーグに来て、そんなに難しくなかったんですよ、正直。何が難しくないかって言ったら、もっと難しい子たちを教えてるんですよ。小学生、中学生を教えるって、もっと難しいんですよ。だって、まず言葉が通じないから。(中略)意図、やる意味を分かって行動できるのか。聞くほうも意味を分かってやらないとうまくならないです。小学生は話しても分からない。分からないから、もっともっと話していかないといけなくなる。コミュニケーションで」

 小中学生を教える難しさを経験している。教えるために大切なのは会話すること。

 初めての監督という大役を背負い、前期優勝から独立リーグ日本一まで上り詰め、さらに伊藤翔(西武)と大藏彰人(中日育成)の2人をNPBに送り込んだ、あの養父の語っていた哲学と重なる。

 石井貴前監督(現・楽天二軍投手コーチ)の退任以降、監督の人選は非常に難航し、年が明けてからの発表、キャンプイン3日前の会見となった。だが、ギリギリまで粘っただけのことはあったのではないか。

さっそくユニフォームにも袖を通した(写真/高田博史)
さっそくユニフォームにも袖を通した(写真/高田博史)

牧野塁(まきの・るい)監督プロフィール

1974年7月17日生まれ。44歳。182センチ、86キロ。神奈川県出身(生誕地は東京都)。O型。山梨学院大学附属高から92年ドラフト3位でオリックス・ブルーウェーブ入団。オリックス(93~03年)‐阪神(04~06)‐楽天(06~08)‐広島(08~09)。09年に現役引退。現役通算222試合に登板、13勝23敗2セーブ、防御率4・33。引退後、横浜打撃投手(10~11)‐楽天ベースボールスクール(12~18年/ジュニアチームコーチ《16》ジュニアチーム監督《17~18》)19年2月1日より徳島インディゴソックスの監督に就任する。背番号79。家族は妻と2女。