【プロ野球独立リーグ】BCリーグ、新生・福島レッドホープスの歩むべき道

来季について抱負を語る、福島レッドホープス・星野おさむGM(写真/高田博史)

『新生・福島レッドホープスの歩むべき道』

 開幕前から球団存続危機の噂や憶測が飛び交い、球団代表と連絡が付かないなど、BCリーグ・福島ホープスを不穏な空気が覆い続けた2018年シーズンだった。球団創設から4年、運営会社である『株式会社福島県民球団』の経営不振が明らかとなった。

 しかし、星野おさむ総合コーチ(元阪神ほか)は、選手への給与支払いが滞ったことはなかったと言い切る。

「そこがなかったし、福島はBCリーグ10球団のなかで、インセンティブ(報奨金)だったり食事のサポート、弁当の支給だったりとかは多分、一番だと思うんですよ。周りから話を聞くとね」

 監督があまりに多忙のため集計が間に合わず、半期で支給される予定のインセンティブが、シーズン終了後に一括で支給された。あえて言えば、それくらいだろうか。

 11月21日に行われた記者会見で、球団の運営は岩村明憲監督(元ヤクルトほか)が代表を務める『株式会社Y.O.A』に委託されることが発表され、球団名も『福島ホープス』から、新たに『福島レッドホープス』として生まれ変わった。来季は心機一転、新体制で臨むことになる。

 岩村監督が引き続き球団代表、そして球団運営会社代表の3役を務める。星野も総合コーチとGMを兼任する。星野GMに福島レッドホープスの「これから」について聞く。

「運営、経営は改善できる」

「僕たちがやってることを、正しくアピールするということが前提ですけど。まず、しっかり自分たちの足元をそろえる。スタッフみんなで足並みをそろえることと、目標、志をそろえることをしっかりしてから、外向きの作業に入れればな、と思います」

 四国アイランドリーグplusとの合同トライアウト、合同ドラフトが終わり、来シーズンの顔ぶれもそろった。新コーチは現在、人選中のため、1月末までかかる見込みだが、来季に向けての準備は着々と進んでいる。

 だが、ファンにとっての心配の種は、新体制となったことで、本当に経営不振から脱却できるのか? だろう。星野GMは「1年しか見ていないので、安易には答えられないですけど……」と前置きしたうえで答える。

「僕の分かる範囲で言えば、良くなるだろうなという予測は立てています。根拠は風通しを良くしようとしている作業がうまくいっていると感じている。『報・連・相』も毎日毎日、職員若いんですけども、監督の岩村としっかり報・連・相がとれているので。このままいけば、運営、経営は改善できるんじゃないかなと感じています」

 星野自身、武蔵ヒートベアーズの監督を退任後、一般企業に勤め、3年ぶりの球界復帰だった。飛び込んだ福島で「決済の責任者は誰なの?」など、あいまいな部分があったと感じている。そこを岩村監督が、一人で責任を取ろうとしていた。

「岩村という監督を長として回っていたんだけど、周囲から見ると『登記上は……』と言ったらおかしいけど、やっぱり親分不在のまま進んでた1年間とも言えるじゃないですか。そこの部分でスタッフに迷いもあっただろうし、実際、人の出入りもあったし。それがスッキリ決められたことによって、誰に言っていいか分からないようなことはないから。それは間違いなく、うまくいくと思う」

星野総合コーチが球団GMを兼任する。※ユニフォームは2018シーズン、福島ホープス時代のもの。写真提供/福島レッドホープス
星野総合コーチが球団GMを兼任する。※ユニフォームは2018シーズン、福島ホープス時代のもの。写真提供/福島レッドホープス

「ウチはとにかく、就職100%にして」

 現場で総合コーチ、球団スタッフとしてGM。その2つの顔を上手に演じられれば、と考えている。GMとしては「チーム編成」の仕事がメーンとなる。だが、同時に福島県内、県外に向けての広報的な動きも積極的にしていきたい。

「広報的なところは大きいですよ。コーディネーター的な仕事が一番大きいかな。チームもそうだし、選手もそうだし。例えば大ざっぱに言うと、選手の売り方、球団の売り方。地元に向けてもそうだし、メディアにもそうだし。あとは地元の人にウチの良さを知ってもらう」

 あらためて、NPBに通用する選手の育成に力を入れる。4年連続プレーオフに進出しているという実績に満足してはいけない。もちろん来年、結果を出したいが、2年後、3年後にNPBへ選手を輩出できるようなチーム編成を毎年続けていく。そのために選手も、球団もアピールしていく。

 四国リーグ・愛媛マンダリンパイレーツで監督、福島で総合コーチとして、多くの野手を育ててきた。過去の実績を見れば、愛媛で3年連続、首位打者を誕生させている(古卿大知(2011)、大井裕喜(2012)、藤長賢司(2013))。今年も岸本竜之輔が打率・393を残し、BCリーグの首位打者を獲得した。やるべきことをやって、首位打者が獲れるように。そこを目指していく。

「『独立リーガー』っていう言葉は、ちょっと違和感があって。NPBを目指すなかで『独立リーガー』っていう職業であったり、カテゴリーを作っちゃうと、そこで止まっちゃうなと思うんです。福島の選手は立派な独立リーガーかもしれないけども、そこがゴールだったり、そこで生活しようと思ったりしないようにしていかないといけないですよね」

 あくまでNPBを目指す集団として鍛える。しかし、ほとんどの選手たちが、ここで夢をあきらめなくてはいけないことも事実だ。その現実をおろそかにしない。

「うちはとにかく就職100%にして。それはプレーヤーだけではなくて、NPBの裏方であったり、通訳であったり。何か野球に携わっていける人間を何人出せるかな? ってところは、来年こだわっていきたい。そこで岩村監督の経験だったり、人脈をもって。例えば、エージェントって仕事も立派な職業だし。プレーヤーだけじゃなくて、野球に携われて、野球に恩返しできる職業に何人送れるか。ちょっとカッコ良く言うと」

3年間、愛媛マンダリンパイレーツの監督を務めた。2013年四国リーグ開幕会見より(右から2人目)写真/高田博史
3年間、愛媛マンダリンパイレーツの監督を務めた。2013年四国リーグ開幕会見より(右から2人目)写真/高田博史

 愛媛で監督を務めた2011年からの3年間で、土田瑞起投手が巨人から育成枠指名を受けた(2012~2017)。日本ハムを退団した金森敬之投手も、愛媛を経てロッテにテスト入団した実例がある(2014~2017)。選手だけではない。そのほかトレーナー、ウグイス嬢。星野が退団した後にもブルペン捕手が採用されるなど、NPB球団を支える裏方が何人も生まれている。

「それを福島でもできればなと。NPB以外の野球でも。独立リーグから巣立って行って、野球には恩返しできてるじゃないですか。それか、地元の人材。市会議員も出したい。愛媛のとき、そこまで考えてました。3年じゃムリだったけど」

 もちろん、選手として上を目指すことがベースとしてある。だが、現実にそれをかなえられるのは、ほんの一握りの人間だけでしかない。

「そこの現実から目を逸らしたら、逆にダメなんです。一応、人材を預かるから。その子らをしっかり、人だけど活用することは考えないと。そうなったらNPBでも、世界中どこでもいいんだけど、プレーヤーだけじゃないなと。もしかしたら、そういうふうに育てる子もいるかもしれないけど、最初から『あなたは通訳ね』なんてふうなことは、やっていかないので。あくまでプレーヤーを目指しながら、何かほかの可能性が見えればいいわけで」

明確な目標をもって、新生・福島レッドホープスは動き出す。写真提供/福島レッドホープス
明確な目標をもって、新生・福島レッドホープスは動き出す。写真提供/福島レッドホープス

福島の球団である『役割』と『使命』

 NPBへの人材輩出、リーグ優勝、独立リーグ日本一、球団の安定経営。すべてにおいて、巻き返しの2019年になる。

「個人的には、いままでの経験をもって、しっかり球団の力になれるようにしたいということと、あとは福島県っていうところ。震災のことをいつまでも言ってもしょうがないのかもしれないけども、やっぱり地元に対する思いだったり、復興に対する役割だったり。役割というのは、福島県のいいことであったり『福島県にこんなことあるよ!』ということを。僕らには、もっともっと福島県以外で発信できることは多いと思うので、そこをもうちょっと頑張る。そこは使命としてやる。それと同時に、やっぱり地元に対して、同じように発信していくことが大切かなと。地域貢献活動なんかはやってるので、いいことアピールじゃないけども、もっともっとアピールすることが大切かな」

 課題は多いが、やるべきことは明確だ。新体制として、あとは実行するのみである。

 インタビューしていて、リーグ優勝も独立リーグ日本一も経験していなかった愛媛を、初めて監督として率いた2011年の状況に似ているのではないか? と感じた。

「そう、ちょっと被るとこあるんですよ。入ったタイミングは一緒かなあ、なんて思いましたね。ちょっと運命かなあ、みたいな。だから逆に言うと、愛媛はちょっと突っ走った3年間のなかで『もうちょっと、こういうことをやっとけばうまくいったかな』ってのは、後々あったから。多少は成長してるかもわかんない」

 そのころからいまも変わらず、福島の選手たちに言い続けていることがある。

「1年間を通して、目標だったり目的を継続できる人間になりなさい」

 そういう人材を育てて行く。