【日本独立リーグGC第3戦】「長野とCSで僕だけ勝ちがなかった」徳島・大藏、完封で日本一に王手!

大藏彰人の見事な完封勝利で徳島が日本一に王手を掛けた(写真/高田博史)

2017.10.14 日本独立リーグ日本一決定戦グランドチャンピオンシップ第3戦

徳島インディゴソックス(四国アイランドリーグplus 王者) 3-0 信濃グランセローズ(BCリーグ王者)【JAバンク徳島スタジアム】

信濃 000 000 000|0 H2、E2

徳島 020 001 00x|3 H5、E0

勝 大藏 1勝1敗

敗 高井 1勝1敗

バッテリー

信濃 高井、浅見、仲野、先生、山崎 ‐ 柴田

徳島 大藏 ‐ 生田

本塁打

信濃 

徳島

 14日、徳島インディゴソックス(四国アイランドリーグplus 王者)と信濃グランセローズ(BCリーグ王者)が独立リーグ日本一を争うグランドチャンピオンシップ2017は、1勝1敗のタイで場所を長野から徳島に移し、第3戦が行われた。

 2回裏、一死二三塁のチャンスに七番・久保聖也(東洋大)が右中間を破る2点適時二塁打を放ち、徳島ISが先制する。5回にも五番・生田雄也(旭川大)の右前適時打で追加点を挙げ3対0と、信濃G先発・高井ジュリアンを攻略した。

 しり上がりに調子を上げる徳島IS先発・大藏彰人(愛知学院大)は、6回以降、信濃Gに1本のヒットも許さない。散発2安打、8奪三振の好投で9回を投げ切り、第1戦に敗れた借りを返した。

 徳島ISが3対0で信濃Gを下し、対戦成績2勝1敗、3年ぶりとなる独立リーグ日本一に王手を掛けている。

「長野とCSで僕だけ勝ちがなかった」

 2回裏、徳島が2点を先制する。

 ダグアウトの歓喜を見ながら、先発の大藏彰人(愛知学院大)は自分に言い聞かせていた。

「前は点を獲ってもらったのに、自分が逆転された。きょうは絶対それをしない――」

 登った3回表のマウンド、信濃の攻撃をたった8球で三者凡退に抑える。

 カーブでストライクを獲ることで、うまく緩急が使えている。敵地・長野で行われたグランドチャンピオンシップ(GC)第1戦(10月7日、長野オリンピックスタジアム)では球が高目に浮き、各イニングの先頭打者にヒットを浴び続けた。あのときとはまったく違っている。5回を終えて無失点、ヒットはたったの2本しか許していない。

 香川オリーブガイナーズと年間優勝を争ったチャンピオンシップ(CS)第2戦(9月24日、JAバンク徳島スタジアム)で先発マウンドを託された。だが、8回3分の1を投げ1失点の好投ながら、敗戦投手となっている。都合3人が先発したCSで大藏だけ勝ちが付かず、その分を取り戻そうと気負って臨んだGCの初戦だった。

「自分だけ勝てなかったので、グラチャンで頑張ってチームに貢献しようと思ったら、いきなりあのピッチングだったので。何て言うんですかね。悔しかったというか、自分が情けないというか……」

 1勝1敗のタイに追い付き、ホーム・徳島に戻って来た。第3戦での先発が言い渡されたのは、2日前の木曜日である。大藏自身、第3戦の先発はCS第3戦で好投したエース・松本憲明(東洋大中退)だろうと予想していた。だが、養父鐵監督(元ダイエーほか)は大藏を指名する。

 GCでの負けは、試合後すぐに切り替えている。

「次、またあるから。土日に合わせとけ」

 そう養父監督に言われ、第3戦が行われる土曜日(14日)に照準を合わせて調整を行っていた。準備に抜かりはなかった。

「自分の道を切り開け!」

 腕が振れている――。そう感じ始めたのは、球数が60球を過ぎた6回である。前半、やや抜け気味だったフォークボールが、うまく落ち始めた。二番・代打、船崎星矢を空振り三振に切って獲る。

 7回を終えて球数は90球。養父監督は「(8回も)行くか? どうする?」と確認を取っている。もう1イニングをしのげば、9回は抑えのジェフン(元ヤクルト/韓国)を投入することもできる。

 だが、こういう大事な試合において最後まで投げ切ることができれば、投手にとって大きな自信となる。それは養父監督自身の経験則でもあった。カツを入れるように大藏に言った。

「こういうときに完封しないと上には行けねえぞ。しっかり抑えて、自分の道を切り開け。お前に任せた。やられてんだぞ。やり返して来い」

「声援が一番力になります」

スタンドのファンにメッセージを送る大藏彰人(写真/高田博史)
スタンドのファンにメッセージを送る大藏彰人(写真/高田博史)

 日本一への流れをグッと手繰り寄せる完封勝利だった。8回からの2イニングだけで4奪三振、計8つの三振を奪っている。ヒットは6回以降、1本も打たれていない。後期終盤、養父監督が話していた「安定感はウチのピッチャーのなかで、大藏が一番」という言葉通りの投球を披露してみせた。ようやく欲しかった勝利を手にし、スタンドのファンに向かって思いのたけを叫んでいる。

「長野とチャンピオンシップで両方とも僕だけ勝ちがなかったので、きょうこういう形で勝ててホントに良かったです。あした、まだ残ってるんで。勝って日本一になりたいと思います! 応援ありがとうございました!」

 マイクを譲り受けた鈴木康友コーチ(元巨人ほか)が大藏を称える。

「ホントにね。NPBのスカウトにアピールできた。ナイスピッチング! オレだったらほしい!」

 JAバンク徳島スタジアムのマウンドに登って感じたのは、ホームで戦えることの安心感だった。

「声援がやっぱり一番力になりますね。それはホントに思いました。アウェーとホームって全然違うなって思います。自分に声援が届くと、ここまで違うかって。やっぱり大きいですね、そういうの」

 印象に残った「声」がある。8回表二死、打席に二番・船崎を迎えたときだ。

「声援っていうか、分かんないですけど。船崎のときに2ボール2ストライクで、真っすぐでどんどん押していったときがあったんですけど。スタンドから『真っすぐ行けーっ! キャッチャー! 真っすぐやろーっ!』みたいな感じで声が掛かって。で、フォークのサインが出たんですよ。僕、それに首振って。真っすぐで行ったらファールになって。『おお! いいバッテリーや! いいリードや!』って。そのあと最後、フォーク投げたんです。それは結構、印象的でしたね。ネット裏の真ん中辺の、上のほうで」

 徳島のファンだけでなく、CSで敗れた香川、さらに愛媛、高知からもファンが駆け付けていた。アイランドリーグ4球団の代表として、日本一を獲りに行く。

「これで勢いに乗ればいいかなって感じです。(伊藤)翔が勝ってくれると思います」

 あと1つ、独立リーグ制覇に向け、最高の形で王手を掛けた。第4戦はCSで2勝、GC第2戦でも勝ち投手となった伊藤で勝負に出る。だが、伊藤が打たれないとは限らない。養父監督は「総力戦で勝ちに行く」と話す。

 全員で獲りに行く。3年ぶりの日本一。