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ネットカジノ問題の報道直後にネットカジノCMが流れる問題について

木曽崇国際カジノ研究所・所長
(写真:アフロ)

先程放送が終了したばかりのワイドなショー(フジテレビ毎週日曜日10:00~)に一連の4630万円を流用したネットカジノ問題の解説で出演していました。あいにく私自身はオフィスに在居しており、テレビがないことから番組そのものを自分で見ることは出来なかったのですが、twitter側のフォロワーの皆様から「木曽さんが出てた直後にネットカジノのCM流れてましたけども」というご報告を複数頂きました次第です。

私自身も愕然とせざるを得ないわけですが、番組内でも申し上げた通り日本の領域内から海外のネットカジノでギャンブルをすることは違法です。一方で、上記の通り既に大手マスメディアにまでも既に海外ネットカジノのCMは入りこんで来ているのが実情で、彼らは自サービスの無料プレイ部分だけを別サービスとして切り出したいわゆる「お試し版」のようなサービスを「無料版」と称して日本国内で大規模CM展開し出しているのが実情。

民放ラジオ番組ではおそらく日本で最も有名な番組の一つであるニッポン放送の「オールナイトニッポン」は長らくネットカジノ業者がスポンサーをやっていることで知られていますし、CSやDAZNのスポーツ放送などでも大々的に広告をやっています。それがいよいよ地上波テレビに、しかも一連のネットカジノ問題を報じている番組そのものに広告が流れるなどというのは、上記の方が仰っているとおりブラックユーモア以外のナニモノでもないでしょう。

この不可思議な状況は、刑法賭博罪は日本領域内にしか適用がない為、ネットカジノで遊ぶプレイヤーには罪が適用されても、完全に海外に拠点を置くネットカジノ業者にはそれが及ばない。それどころか、寧ろネットカジノを合法とする国や地域の中では、外貨獲得のために積極的に(日本を含む)自国以外の国々からベットを集めることを政策的に推進しているところもあるわけで、この問題は日本国側が積極的にアクションを起こさない限り、どんどん拡散してゆく以外はないわけです。

その辺の詳細な解説に関しては、数日前に私のYouTubeチャンネル側で相当深く掘り下げて解説をしておりますので、この問題に対してご関心のある皆様はぜひ一度以下動画をご覧頂ければ幸いです。

国際カジノ研究所・所長

日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者グループでの内部監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長へ就任。9月26日に新刊「日本版カジノのすべて」を発売。

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