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選挙パフォーマンスとして「カジノ反対」する人達・大阪

木曽崇国際カジノ研究所・所長
(提供:イメージマート)

さて、MBSが以下のように報じています。

『夢洲のIR誘致賛否を問う住民投票』求める署名活動を市民団体が開始 5月25日まで

https://www.mbs.jp/news/kansainews/20220325/GE00043099.shtml

3月25日、IR(カジノを含む統合型リゾート)の住民投票を求める署名活動が始まりました。大阪府と市は此花区にある夢洲でIRの2029年開業を目指しています。一方、市民団体は「巨額の公費負担への懸念や府民の合意が得られていない」などとして住民投票の必要性を訴えています。

大阪のカジノ反対派が中止を求める反対署名活動を始めたというニュースですが、正直、この人達、ただの選挙向けのパフォーマンスしているだけですよ。自治体から国へ提出が行われる統合型リゾートの整備区域申請の〆切は来月4月28日まで。その前に整備計画の地方議会での議決が要件となっていますので、大阪府議会では既に今月の24日に賛同決議がなされ、そして大阪市議会では来週の29日に議決が行われる予定となっています。

もしカジノ反対派がこの動きを本気で止めたいのであれば、議会決議の「前に」請願を挙げなければいけない。大阪と同様に統合型リゾート誘致の進んでいる和歌山や長崎では、当然のように地方議会での計画の議決の前に署名運動を開始し(残念ながら数は全然足りませんでしたが)既にそれを行政に向かって提出し終わっています。以下参照。

昨年12月3日報道:

IR誘致反対派 誘致中止を求める請願書を県議会に提出 長崎県

https://www.asgam.jp/index.php/2021/12/03/anti-ir-group-submits-request-to-halt-nagasaki-bid-jp/

今年1月17日報道:

IR誘致の賛否問う住民投票、和歌山市長が実施に反対 直接請求に

https://www.asahi.com/articles/ASQ1K5QZVQ1JPXLB00H.html

ところが大阪の反対派は、なぜか今頃になって署名運動を開始し、既に自治体から国へ向かっての申請が終わっている5月25日までそれを続けた上で、それらを行政に向かって提出するそうです。この人達、本気でカジノを止める気はないですよ。ただのポーズです。

じゃあ何で、そんな意味のない署名運動をやっているのかというと、完全に今年7月に予定されている参院選のためです。今年の参院選は6月22日公示の、7月10日投開票になる公算が高いとされていますが、5月25日まで署名運動を続けるとすると、それを取りまとめて行政に提出できるのが6月に入ってから。なんと奇遇なことに、ちょうどそこから参院選のキャンペーンが始まるんですね。いやあ、ホント偶然ですねー(棒

ということで、全く止める気のない大阪カジノ構想にファイティングポーズだけ取って、そのまま選挙戦になだれ込もうという下心が丸見えの大阪カジノ反対派でありました。大阪の有権者の方々、気をつけて。この人達ニセモノですよー。

国際カジノ研究所・所長

日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者グループでの内部監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長へ就任。9月26日に新刊「日本版カジノのすべて」を発売。

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