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JTBの税金吸い上げプラットフォーム「バーチャル・ジャパン」の裏側

木曽崇国際カジノ研究所・所長
(写真:西村尚己/アフロ)

私のYouTubeチャンネル側でも解説動画を挙げましたが、あまりに低いクオリティで引き続き絶賛大炎上中の「バーチャル・ジャパン・プラットフォーム」に関して、なぜあの様な企画が世の中に出てきたのか、の裏側が見えてきました。以下、私のYouTubeチャンネルから。

要はJTBのこの企画、政府の観光DX補助金や各自治体予算を吸い上げるための「税金喰い」の為のプラットフォームなんですよ。その事は、ネット媒体「ITメディアが」本炎上に際して行ったJTBへの取材の中に現れています。以下、ITメディアからの転載。

グラフィックスが“初代プレステ”レベルと話題のJTB製バーチャル空間 サービスの意図を聞く

https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2104/12/news115.html

このグラフィックスでもビジネス上問題がないという認識か、という問いには「誰でもデバイスを選ばずコンテンツを楽しめるよう、ブラウザベースでアクセスできるものを作った。クオリティーに批判があることは承知しており、問題がないとは言わない。しかし、目指すのはきれいなグラフィックスではなく、自治体などと一緒に作るユーザー体験。公開したのは開発中のデモで、今後クラウド上での画像処理などブラッシュアップもしていきたい」と回答した。

今日び、ブラウザベースのコンテンツでも、あんな低クオリティのCGは稀に見ないワケで、JTBのいう「誰でもデバイスを選ばずコンテンツを楽しめるよう」などというのは言い訳にすらなっていないですが、それよりも更に重要なのは上記で太字をかけた部分。このプラットフォームが目指しているのは「自治体などと一緒に作るユーザー体験」であると解説された部分であります。

この言葉の背後にあるのは、要はこのJTBによる「バーチャル・ジャパン・プラットフォーム」なる企画がお客様として見ているのは実は一般消費者ではなく、自治体やそれに準ずる組織(全国各地のDMO/観光地域づくり法人など)であるということ。彼らが、このあまりに低クオリティの「バーチャル・ジャパン」を立ち上げた暁には、各自治体等に対して営業を行い、地域の観光振興予算を獲得しようとしているという意図が、そのコメントに透けて見えているわけです。

要はなぜこんな低クオリティなコンテンツが、まかりなりにも日本を代表する観光業界の巨人JTBの社内会議を経て世にリリース予告されたのかというと、そもそもこの企画は最初から一般消費者の方向なんて向いておらず、行政予算の獲得を前提として企図されているものだから。予算獲得の為の最低限の理屈を整えることが最優先であり、その先にプラットフォーム上でどの様な成果が出るかなどというのは二の次である。とどのつまり当該JTBによる企画は、自治体やそれに準ずる団体から行政予算を吸い上げるための「税金吸い上げプラットフォーム」であるということであります。

逆に言うのならば納税者たる我々市民側としては、あんな低クオリティのバーチャル空間の構築のために多額の行政予算がそこに投入されないように、今後注意深く彼らの動向を見守ってゆく必要があるということ。かのプラットフォーム上にご自身がお住まいの地域のバーチャル観光地が登場した場合には注意が必要。自治体や地域のDMOから、オカシナな支出が行われていないかをチェックする必要があるでしょう。

私のYouTubeチャンネルではこの他、レジャー・エンタメ産業に関連する様々な独自調査や解説を行っております。各産業の従事者の方、そしてそれら産業にご関心のある方はぜひその他動画もご覧頂いた上でチャンネル登録をお願いできれば幸いです。

「大人の遊び」研究所―木曽崇

https://www.youtube.com/channel/UC0UueKrYPGueHItKNUthRWw

国際カジノ研究所・所長

日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者グループでの内部監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長へ就任。9月26日に新刊「日本版カジノのすべて」を発売。

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