公平性の担保はどこへ?:大阪のIR事業者選定委員会

(写真:アフロ)

さて、大阪府市が構想している夢洲IR計画に関連して、その開発を担当する事業者の選定を担う委員リストが開示されました。以下、大阪府市の公式サイトより。

大阪府市IR事業者選定委員会について

http://www.pref.osaka.lg.jp/irs-suishin/ir_sentei/index.html

○西澤良記 公立大学法人大阪 理事長

 溝畑宏 公益財団法人大阪観光局 理事長

 井上幸紀 大阪市立大学大学院医学研究科 教授

 内薗仁美 PwCあらた有限責任監査法人 パートナー

 嘉名光市 大阪市立大学大学院工学研究科 教授

 高橋徹 大阪市副市長

 田中清剛 大阪府副知事

(○は委員長)

この顔ぶれを見て色々言いたいことは有るのですが、今回、特に注目をしたいのがPwCあらた有限責任監査法人から委員へと選出された内薗仁美さんであります。PwCは言わずと知れたグローバルで事業を展開する4大会計監査法人の一角。この顔ぶれを見る限り、商業サイドに立つ専門家は彼女独りでありますから、恐らく各事業者の提出する計画の中で主にマーケットや経営に関連する分析を担当する専門家としての採用のだろうということは想像に難くありません。

勿論、天下のPwCのパートナーですから、その能力に関しては一切の不足はないと思うのですが、一方で私が気になるのは彼女のIR事業者選定委員としての「中立性」と「公平性」であります。繰り返しとなりますがPwCは世界を代表する会計監査のグローバルネットワーク事業体であり、多くの国際企業の監査を担当しています。その中には当然ながら国際カジノ企業も含まれており、彼らが監査を担当している企業が大阪のIR開発者募集に入札してくる可能性は当然のようにあるわけです。

もっと具体的にいうのならば、現時点で大阪の事業者入札に参加意欲を示しているカジノ企業としてMGM社、Genting社、Galaxy社の3社が残っていますが、このうち実はGenting社とGalaxy社は共にPwCが会計監査を受任している法人です。以下、その証拠。

Genting社のAnnual Repor

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Galaxy社のAnnual Report

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要は、現在大阪のIR事業者入札への参加を表明している3社のうち2社が、当該入札の選定側の委員として任命されている内薗仁美氏の所属するPwC社のグローバルクライアントなのであって、果たして同氏がその選定委員の職務にあたって中立性のある立場であると言えるのでしょうか。

もっと言えば実は業界慣習上、多くの場合、グローバルで展開する国際企業というのは国を跨って同一の監査法人を監査人として選任するのが一般的であり、もし大阪のIR事業者入札においてGenting社、もしくはGalaxy社が開発事業者として選定された場合、各事業者の本国での契約に準ずる形でPwCグローバルネットワークの一員であるPwCあらた有限責任監査法人が日本側の監査人として選任される可能性が高い。そうなった場合、完全にIR事業者選定委員である内薗仁美さんは、受益者サイドに居る人間ということになってしまうわけであります。

今回、大阪府市が指名をしたIR事業者選定委員ですが、それぞれの実績や能力面での適格性とは別に、選定側にいる者として最も重要な「中立性/公平性」の観点から今一度、見直しが必要なのではないかな、と個人的には感じておるところです。