ベルギー当局、「ガチャ」を賭博認定

ガチャ(写真:アフロ)

欧州のゲーム業界に激震が走っております。以下、EUROGAMERからの転載。

ベルギー当局、ルートボックスを賭博認定し「違法」と断言

Now Belgium declares loot boxes gambling and therefore illegal

https://www.techspot.com/news/74321-belgium-finds-loot-box-systems-three-popular-titles.html

先週のオランダのギャンブル規制当局によるルートボックス(海外版ガチャ)規制の報道で激震の走った欧州ゲーム業界でありましたが、今週はベルギー当局がルートボックスに対してそれよりも更に厳しい法的判断を下し、一同唖然の様相です。そこで、ここ数年発生した欧州でのルートボックス論争を以下にまとめてみようと思います。

我が国におけるガチャ論争というのは2012年のコンプガチャ問題に端を発し、世界に先駆ける形で法的論議がなされてきましたが、世界で同様の論議がクローズアップされるようになったのは2016年にCounter Strike: Global Offensive(以下、CS:GO)という人気ゲームタイトルで「アイテムベット」と呼ばれる遊びが流行してからのことです。CS:GOではスキンと呼ばれる自己キャラクターの持つ武器の「見た目」を変えることできるアイテムがルートボックスを通じたランダム制販売で提供されていましたが、その内の排出率の少ない希少アイテムに人気が集中し、それらがゲームのシステム外に設置された第三者マーケットにおいて現金売買されるようになりました。更にはその先に、これまたゲームのシステム外に設置されたサイトにおいてCS:GOのスキンをカジノにおけるチップのように使用しながら、賭けを行うことの出来るサイトが沢山誕生し、それにハマったプレイヤーが大金を投じるという事案が多発したのが2016年のことです。

これら行為は「アイテムベット」などという呼称で、各国で大きく社会問題として報じられることになるわけですが、ここに世界で最初に切り込んだのがイギリスのギャンブル規制当局でありました。イギリスのGambling Commissionは2017年3月に、一連のアイテムベットを巡る問題に関するギャンブル規制当局としての見解を示したポジションペーパーを発表。同文書内で「ゲーム内アイテムを利用して賭けを行なわせる、もしくはそれらを換金するサービスを提供する業者に関してはギャンブル規制当局発行の賭博ライセンスの取得を要する」とのスタンスを示しました。

一方で、このときイギリスのギャンブル規制当局が判断を明確に示さなかったのが、ゲーム内アイテムの「ランダム制販売」(=ルートボックス)に対する法的判断です。ギャンブル規制当局は「ゲーム内のアイテム販売に関しては当局の統制範疇を超える」との姿勢で明確な法的判断を行なわず、ルートボックスそのものに関しては、実質的に「容認」のスタンスを示したこととなりました。

それから時がすぎて、再びルートボックス問題がクローズアップされる事となったのが、Yahoo!ニュース個人において私もご照会したStarWars Battlefront2(以下SWBF2)におけるルートボックス問題です。

ガチャ=賭博?:世界同時多発的なガチャ規制論が勃発

https://news.yahoo.co.jp/byline/takashikiso/20171123-00078470/

世界的な人気SF映画「スターウォーズ」のIPを利用した大型タイトルとして2017年11月に発売されたSWBF2内で提供されていた極悪なルートボックス仕様を巡って世界のゲームファンの間で大炎上が発生し、それに端を発して再びルートボックスを巡る法的論争が再燃することになってしまったわけです。この大炎上は欧州のみならず、米国各州、オーストラリアと世界各国に飛び火し、各地域の規制当局が今年の冒頭辺りからそれぞれ法的検証を始めたワケですが、その中で最初に確定した見解を示したのが、先週発表されたオランダのギャンブル規制当局による裁定でありました。以下、Extream Techからの転載。

オランダ当局、ルートボックスの一部を違法と発表、メーカーに修正を要求

The Netherlands Declares Some Loot Boxes Illegal, Warns Developers to Modify Them

https://www.extremetech.com/extreme/267994-the-netherlands-declares-some-loot-boxes-illegal-warns-developers-to-modify-them

オランダのギャンブル規制当局は、ビデオゲーム内に設置されているルートボックスに対して「外部マーケットでのアイテム取引を可能としている場合は」その提供がギャンブルにあたるとの判断を下しました。当局説明によれば、ゲーム内アイテムを自社サービスとして現金取引させて居ないとしても、それが第三者の提供する外部マーケットで取引が可能とな仕組みになっている限り、各ゲームアイテムには市場での現金価値がヒモ付く。それら現金価値がヒモ付いた各アイテムを、偶然性をもって顧客に提供しその獲得を争わせることは賭博を規制する同国のBetting and Gaming Actに抵触するとの見解でありました。

タイトル名こそ正式に公表されていませんが、オランダ規制当局はDOTA2、Rocket League、FIFA 18、PUBGと世界的に人気のある4タイトルを発売するメーカーに対して8週間以内の改善命令を出しており、改善が行なわれない場合には法的執行もあり得るとされています。一方で、オランダ規制当局が指導の対象としなかったのが、ルートボックスは搭載しているものの、そこで獲得したアイテムの売買を可能としてないタイプのゲームでありました。オランダ規制当局は、それらのゲームに対しては現段階で違法性はないとの判断を示しています。

この先週行なわれたオランダの規制当局の発表時点で既に世界のゲーム業界は騒然としていたわけですが、それがさらに大騒ぎになったのが今回のベルギー規制当局の発表であります。ベルギー規制当局が今回、ゲーム内で提供されているルートボックスが賭博規制に抵触するとして改善命令を発したゲームタイトルはFIFA 18、Overwatch、CS:GOの3タイトルでありますが、このうちOverwatchはルートボックスは搭載されているものの、ゲーム内でのアイテム取引を許容していないタイプのゲームです。これは先週、オランダ規制当局によって示された基準では少なくとも同国においては賭博に当たらないとの判断が下されたものであり、今回、ベルギー規制当局は先週のオランダ当局よりも更に厳しい法的判断をルートボックスに対して行なったということになります。今回のベルギー規制当局の判断に基づけば、原則的にベルギー内ではルートボックス全般がNGであるということになるのでしょう。

そして問題はこれからです。今回、ルートボックスに対して厳しい裁定を行ったオランダとベルギーは両国ともEU加盟国であります。EUは、殊に経済に関する制度においては域内共通制度化を目指しており、今回のルートボックスを巡る法的判断も例外ではありません。現時点で少なくともオランダ規制当局は、今回オランダが行なったルートボックスに対する法的裁定を欧州連合共通のものとするように欧州議会に向かって働きかける意志を既に表明しており、現在欧州各国で起こっている一連のルートボックスに関する法的論争は今後、欧州全体に広がってゆく可能性があるということ。

ガチャシステムが世界に先駆けて席巻した日本のゲーム産業みならず、ルートボックスは既に世界のゲーム産業全体におけるビジネスモデルとして組み込まれつつあるだけに、今後のルートボックスを巡る欧州での論争には注視が必要であるといえます。