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宇都宮ブレックスの1試合1ターンオーバーは激レア。NBAやNCAAを含めても2010年以降では最少

青木崇Basketball Writer
ピークは3日の名古屋戦でチーム最多の5アシストを記録 写真提供/B.LEAGUE

 今季のBリーグで最高成績を残している宇都宮ブレックスは、4月3日の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦で“ターンオーバー1本”という数字を残した。ターンオーバーとはシュートを打つ前にボールを失うことだが、少なければ少ないほど勝利する可能性を増すのがバスケットボールというスポーツ。世界的に見ても珍しい記録であるという認識を持って調べ始めると、スタッツとして残っていないものが多すぎることもあり、史上最少と断言することはできない。ただし、ここ2010年以降では世界最少タイと言っていいかもしれない。

 宇都宮に関してはバスケットLIVEで実況を行っている篠田和之アナウンサーがリサーチしており、3本という記録が過去に3度あった。ちなみに、宇都宮が1本という数字を残す以前におけるB1レギュラーシーズン・ゲームでの最少ターンオーバーは2本。2018年3月28日にアルバルク東京が栃木(当時)戦、2019年4月6日に新潟アルビレックスBBがシーホース三河戦で記録している。

 NBAで調べてみると、デンバー・ナゲッツが今シーズンの2月23日にポートランド・トレイルブレイザーズ戦で記録した1本が史上最少。NBAはBリーグが採用しているFIBAルールの試合よりも8分長い48分間で行われていることを考慮すれば、ナゲッツの1本というのは驚異でしかない。ちなみに、ターンオーバーのスタッツが出始めたのは1983−84シーズンからだが、これまでの36シーズンにおける最少が2本。直近はフェニックス・サンズが今年の1月9日にインディアナ・ペイサーズ戦で記録している。

 NCAAに関しては、公式記録の文書に1試合における最少ターンオーバーの記載がなかった。そのため、Sports Referenceというウェブサイトで検索してみたところ、2015年1月20日にウィスコンシン大がアイオワ大で0本という結果が出た。しかし、ウィスコンシン大の公式チームサイトで改めて確認したところ、選手のターンオーバーはなかったものの、チームとして1本が後半の18分55秒に記録されている。NCAAディビジョン1全体を見てもトップレベルのカンファレンスであり、非常にフィジカルな攻防が多いことで有名なビッグテンの試合において、選手のターンオーバーが0本というのは奇跡的な出来事と言ってもいい。

 なお、Sports Referenceの場合は、選手のターンオーバーのみでチームによるものが含まれていないと判明。そのため、検索すると1本という結果が19試合出てきたものの、チームのターンオーバーは除外されているものと理解したほうがいいだろう。また、2010-11シーズン以前のデータがないため、0本の試合があった可能性は否定できない。

 ユーロリーグでは2000-01シーズン以降のデータとして、スペインのレアル・マドリードが2014年3月20日にロシアのCSKAモスクワ戦で記録した2本が最少。これらはゲームメイクのうまい司令塔として知られるスペイン代表のセルヒオ・ロドリゲスによるものだったが、ゲーム最多の8アシストでしっかり勝利に貢献したことは記しておく。

 他国のリーグも調べるべきなのだが、莫大な時間を必要とするため、ここではNBA、NCAA、ユーロリーグの3つを対象にした。Bリーグもシーズンを重ねるごとに競争レベルが着実に上がっている。その中でも優勝を狙えるチームであり続ける宇都宮ブレックスが成し遂げた1試合1ターンオーバーというスタッツは、改めてすごい記録であると強調したい。

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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