NCAAで初の日系人ヘッドコーチとなったデイブ・ヤナイが「コーチングの伝説」として表彰される!

キャンプで指導を受けたヤナイコーチを囲む東海大の選手たち 写真提供/陸川章

 10月19日の午後、東海大学の陸川章ヘッドコーチから「メチャクチャうれしいニュースです」というメッセージが届いた。それは、コーチとしても人間としても尊敬するデイブ・ヤナイコーチが、NCAAの名将に送られるジョン・R・ウッデン・アワードの「コーチングの伝説」の受賞者として、2021年4月に表彰されることになったからだ。

 これはコーチとしての成績だけでなく、誠実さや高潔さを持った人に贈られる賞。NCAAトーナメントで優勝した経験のあるマイク・シャシェフスキー(デューク大)、ディーン・スミス(ノースカロライナ大といった名将たちが過去の受賞者として名を連ねる中、ヤナイコーチがディビジョン2から初めて選ばれたことは正に快挙と言うしかない。カリフォルニア・ステイト大ロサンジェルス校のウェブサイトで、ヤナイコーチは次のようなコメントを残している。

「光栄だと言うのは控え目な表現です。この名誉に心から謙虚になり、私の恩師であるピート・ニューウェルとジョン・ウッデンから始まったこの旅を通して、多くの人々に恵まれたことを幸運に思います。 また、この賞を受賞した最初のディビジョン2コーチである私がふさわしい受賞者であること、選手たちもこの素晴らしい38年間の旅を私と同じように楽しんだことを願っています」

2000-01シーズンのカリフォルニア・ステイト大ロサンジェルス校のチームガイドにアシスタントコーチとして掲載された陸川コーチ 写真提供/陸川章
2000-01シーズンのカリフォルニア・ステイト大ロサンジェルス校のチームガイドにアシスタントコーチとして掲載された陸川コーチ 写真提供/陸川章

 ヤナイは第2次世界大戦中に強制収容所で生まれた日系2世。38年のコーチ歴を持ち、28年間はNCAAディビジョン2所属のカリフォルニア・ステイト大ドミンゲス・ヒルズ校とカリフォルニア・ステイト大ロサンジェルス校でヘッドコーチを務めた。通算勝利数が400を超えただけでなく、ロサンジェルスのバスケットボール界に数多くの貢献をしてきた人物である。また、日本との縁も非常に深く、多くの現役コーチがヤナイから学び、東海大学を率いる陸川章コーチにとっては恩師。アメリカに留学したその日に言われた言葉、「選手は機会じゃありません。人間です」「バスケットボールを通して、人生を教えてあげなさい」は、陸川にとってコーチングの原点なのだ。

 陸川だけでなく、現在能代工を率いる小野秀二コーチ、拓殖大の池内泰明コーチも、ヤナイの指導を受けた経験がある。また、福岡第一高の井手口孝コーチや飛龍高の原田裕作コーチも、ヤナイから多くを学んだ指揮官。家族ぐるみで親交があるという井手口コーチは、「バスケットボールだけではなく、人生についても教えていただいた私の師匠。ヤナイさんとの出会いなしに今の私はなかったです」と話す。

ヤナイコーチと昨年久々に再会したという井手口コーチ。左は東山コーチ。写真提供/東山真
ヤナイコーチと昨年久々に再会したという井手口コーチ。左は東山コーチ。写真提供/東山真

 宮崎の小林高を卒業した後にカルフォルニア・ステイト大ロサンジェルス校に留学し、ヤナイの下でプレーした経歴を持つ三遠ネオフェニックスの北郷謙二郎社長は、「びっくりしました。誇らしいですし、うれしい限りです。細かいところまで指導される方で、理にかなっていて、みんなが納得できるまで説明するコーチでした。高3の夏に小林の合宿に来ていただいた時は、バスケットボールの概念を変えるくらい衝撃的でした」とコメント。また、ロングビーチ・ステイト大への留学で渡米し、現在ロサンジェルス・ハーバー・カレッジでアシスタントコーチを務める東山真も、「来た当初とても厳しいお言葉をいただきましたが、今思えば親身になってくださっていたからこそのお言葉だと思います。今ではとても感謝しています」と、現在も交流が続くヤナイコーチを尊敬している。

2000-01シーズンのチームには陸川コーチだけでなく、北郷が選手として在籍 写真提供/陸川章
2000-01シーズンのチームには陸川コーチだけでなく、北郷が選手として在籍 写真提供/陸川章

 ジョン・R・ウッデン・アワード受賞者ということだけでなく、ヤナイコーチが長年日本のバスケットボール界に多大なる貢献してきたことに疑いの余地はない。日本バスケットボール協会は、早急に何らかの形で彼に対する感謝の意を示すべきはないだろうか…。