バスケットボールU18日本代表:4Qで3Pシュートが爆発し、バーレーンに大逆転勝利!

4Qで4本の3Pを決めるなど、33点と爆発した富永(C)FIBA.com

 オーストラリアに敗れてワールドカップの夢が断たれた日本は、ホテルに戻って選手だけでミーティングを行った。家庭の事情でドイツへの帰国を強いられたトーステン・ロイブルコーチに恩返しをするためにも、5~8位決定戦のバーレーン戦を負けるわけにはいかなかった。

 しかし、試合は終始バーレーンのペースで進んでしまう。チャイニーズ・タイペイを破る原動力となったガードコンビ、ムスタファ・ラシドとバケール・アリが得点機会を何度もクリエイト。身体能力の高いムザミル・ハモダもオールラウンドなプレーを見せ、フィジカルの強いカリム・アブークウオラはインサイドで日本に何度もダメージを与えた。3Qまで主導権を握り続けたバーレーンは、最大で16点のリードを奪う。

「こちらもあの手この手とやったんだけど、なかなかうまく機能しないのを向こうのガード陣が落ち着いて、(ディフェンスが)出てきたらインサイド、ダメだったらアウトサイドという正しいバスケットをできていた」

 吉田裕司ヘッドコーチがこう語ったように、リバウンドを奪ってからのトランジションゲームができず、ハーフコートの展開が多くなっていた日本。前半のFG成功率はわずか27%で、富永啓生(桜丘高3年)が積極的にゴールへアタックして10点を奪ったものの、ほかの選手の放つオープンショットがリムを弾き続ける展開は3Q終盤まで続く。そんな重い展開の流れを変えたのは、4Q開始早々にチームリーダーである中田嵩基(福岡大附大濠高3年)が3Pシュートを2本連続で決め、8点差になったところからだった。

 ハモダのバスケット・カウントとなるドライブと3Pシュートで再び15点差とされたが、ここから前半で決まらななかった富永の3Pシュートに火がつく。中村拓人(中部大第一高3年)と河村勇輝(福岡第一高2年)が何度も仕掛け、そこからのボールムーブからオープンで打たせる形ができた。「負けていて後がない状態だったので、怖がらずに強気で行こうとした」と語った富永が4分強の間に4本決めたことで、日本は3点差に詰め寄った。さらに、試合開始早々に2本のシュートを成功させるなど、「昨日からシュートタッチがよかった。自分が最後出たときは、動いてフリーになって3Pを打とうと決めていた」と言う三谷桂司朗(広島皆実高2年)が、2分1秒に同点の3Pシュート。次のオフェンスでは河村のアシストから再び3Pシュートを決め、日本は残り1分15秒で勝ち越した。

4Q終盤で同点と逆転の3Pを決めるなど、22点を奪った三谷(C)FIBA.com
4Q終盤で同点と逆転の3Pを決めるなど、22点を奪った三谷(C)FIBA.com

 バーレーンのエース、ラシドが直後に3Pシュートを入れ返したことで、試合は延長に突入。しかし、怒涛の3Pシュート攻勢で自信をつかんだ日本は、フルコートのマンツーマンプレスを使い、運動量の落ちたバーレーンからターンオーバーを誘発する。スティールから河村が決めたレイアップで84対82と勝ち越すと、中村のスティールから富永が7本目となる3Pシュートが見事にネットの間を通過。リードを5点に広げた時点で、バーレーンに反撃の余力は残っていなかった。吉田コーチは逆転劇を次のように振り返る。

「開き直ったわけじゃないけど、決断よく物事ができたかなと。向こうのルースなディフェンスをうまくアタックしきれなかった。(ボールの)動かし方や人を変えたりしたけど、思い切ってシュートも打てなかったし、ドライブも決められなかった。選手たちに決断よくやりなさいとコーチ陣が言ったことで、最後ギアを上げてくれたのが富永だったなと。あのシュートから三谷へのつながり、高校の試合ではあのくらい思い切りよくできているわけだけど、ここへ来てから思い切りのよさが出ていなかった。最後に出たガード陣のディフェンスも前から激しく当たって、相手のミスを誘うという彼らのよさがよく出てくれたと思います」

ベンチ陣もディフェンスコールなど積極的に声を出してコート上の5人をサポートしていた日本 (C)FIBA.com
ベンチ陣もディフェンスコールなど積極的に声を出してコート上の5人をサポートしていた日本 (C)FIBA.com

 

 日本のカムバックはディフェンスでアジャストし、バーレーンをスローダウンさせたことが大きい。本来はトラップからのゾーン・ディフェンスでミスを誘発させたかったが、ラシドを中心に落ち着いて対応されたことに加え、タイミングよくセンターのアブークオラにパスを通された後にゴール下から失点。また、ミスショットのリバウンドを奪われ、セカンド・チャンスからシュートを決められてしまうシーンも、3Qまでは非常に多かった。マンツーマンに徹底し、ダブルチーム後のローテーションとリバウンドの対応も時間の経過とともによくなっていた。

 富永の33点という爆発は10アシストを記録した中村を筆頭に、アタックしてボールを動かそうという意識が強い選手がいたことに尽きる。4Qの猛追が始まる前に貴重な3Pシュート2本を入れた中田も、5アシストを記録。河村はアシストこそ4本だったが、チーム最多タイの6リバウンドを奪い、そのまま一気に攻め込むシーンも多かった。高さを恐れることなく、アグレッシブに攻め続けることの重要性が、バーレーン戦で改めて証明されたと言っていい。

 U18FIBAアジア選手権のラストゲームは、グループ戦で痛恨の敗戦を喫したイラン。「本当に悔しい負けだったし、3Qの最初で勝負がついてしまったので、明日は粘って最後に突き放せるように頑張りたいです」と三谷が語るように、ワールドカップ出場を逃した日本にとっては悔いの残る試合だった。その雪辱を果たすべく、40分間アグレッシブかつ粘り強く戦う覚悟がある。バーレーン戦の大逆転劇は、イラン戦のプロローグでしかない…。