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【NIKE AACレポート:三谷桂司朗】より成長するために積極的に自分を出すことの大事さを実感

青木崇Basketball Writer
ナイキ・オールアジア・キャンプでは積極性とフィジカル面で学ぶことが多かった三谷

 三谷桂司朗を初めて見たのは、昨年夏のインターハイ準々決勝の福岡第一戦。2年生からレギュラーの3年生4人と一緒にスターターを務め、1年生と思えない賢さと非凡なスキルを見せたのが印象的だった。アンダー・カテゴリーの日本代表コーチを務めるトーステン・ロイブルは、三谷のプレー映像を見てすぐに合宿に呼ぶことを決断。4月に中国で行われたU16アジア選手権では、控えのフォワードながらもチームに欠かせない存在として奮闘していた。

 インドで開催されたNBA主催のバスケットボール・ウィズアウト・ボーダーズ、ナイキ・オールアジア・キャンプと立て続けに国際イベントに参加する機会を得たのは、三谷が将来を嘱望された選手であることを示すもの。広島皆実の藤井貴康コーチから中国に行く話を聞かされた際、「月バス(月刊バスケットボール)とかに載っていて、それを毎回見る側だった。最初は参加させてもらえると思っていなかったし、すごい驚きがありました」と話す。

 藤井コーチから「積極的に挑戦し、どんどん成長してこい」というアドバイスをもらったものの、性格が消極的と自認する三谷は、キャンプの序盤では試合でなかなかボールをもらえず、プレーに絡めないシーンも多かった。しかし、自分をアピールすることの難しさを体感しながらも、周りの選手を見て徐々に積極性を増していったのはプラス材料。それをチームに戻ってから生かしたいという気持が生まれたのは、「今のチームでスタートするのが2年生4人。本当は3年生2人なんですけど、一人ケガをしていてインターハイ予選決勝は2年生4人でした。2年生の中でも自分が引っ張らなければならないという話になって、引っ張る場面でもっと自分を出さなければいけないんだなと思ったので、こういったキャンプで鍛えられたのがいい経験になりました」というコメントからも明らかだ。

 キャンプでの学べた点としては、スキルトレーニングの際にボールをもらう際の足の使い方など、細かい部分までコーチングしてもらえたことをあげる。基本の大事さを改めて実感する一方で、「ミドルショットを打った時は結構入った」と話したように、シュート力については自信のレベルを上げられたのが収穫だった。また、U16アジア選手権で経験したように、国際試合での三谷は身長の小さいフォワードになる。プレーの幅を広げる必要性からすれば、課題を「ハンドリング力をもっとつけてプレーできるようにならなければいけないと思いました」と語るのも当然。キャンプできつかったことを「コンタクトの激しさ、特にリバウンドの時ですね」という言葉どおり、フィジカルな攻防で負けない強靭な身体を作らなければならない。

 17歳になって間もない高校2年生ながら、三谷は8月にタイで行われるU18アジア選手権に出場する日本代表候補の一人になっている。ナイキ・オールアジア・キャンプに参加してよかった点として、「日本で全然経験できない高さやスピードがたくさんあるので、そういったことを経験できたのはよかったと思います」と話す。U16アジア選手権の準々決勝でフィリピンに負けた際、止める術のなかったカイ・ソットとプレーする機会があったのは、三谷にとって大きなプラス。「18で必ずリベンジできるように頑張りたい」というコメントからは、U16で味わった悔しさとナイキ・オールアジア・キャンプを糧に、ハードワークの日々を過ごす覚悟が感じられた。

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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