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【NIKE AACレポート】ゲームメイクでは十分通用したバスケットボール元U16代表の司令塔、土家

青木崇Basketball Writer
大濠ではU19代表の中田と競争をしている土家 (C)Takashi Aoki

2015年11月、土家大輝は中学3年生ながらU16日本代表のメンバーに選ばれ、インドネシアのジャカルタで行われたアジア選手権に出場した経歴を持つ。福岡大附大濠に入学した後は、同じU16代表のメンバーだった中田嵩基との競争する日々を送っている。中田がU19代表としてワールドカップに出場するということで、土屋からしてみると少し先を行かれた感がするだろう。しかし、「思ったよりレベルが高くて、なんか各国のガードとか身体能力が高いし、自分にないところを持っているので、そういったことをたくさん吸収できるキャンプだと思います」と振り返ったように、NIKE ALL-ASIA CAMPは土家にとって新たなチャンスとも捉えられる。

キャンプ序盤にドリルや試合を見ていたあるNBAコーチは、ゲームメイクにおける決断力とスピードについていい評価をしていた。土家自身も通用したことについて、「ピックからセンターとの駆け引きや、ポジション別のスキルドリルでやってよくなった部分もあるし、ハードショウされた後の対応の仕方とかも、相手のディフェンス対応によってできるようになった」と語ったように、ゲームメイクで持ち味を十分発揮しているシーンは何度もあった。

しかし、U16アジア選手権を経験していたといえ、このキャンプでは210cm以上が6人、200cm以上が19人と、今までにない高さを体感。「周りを見て積極的にドライブに行き、シュート目的よりも味方にアシストできるようにするようにしていました」と、ちょっとしたズレを作ることができればレイアップに行ける日本と違いを思い知らされる。また、ドリルや試合ではジャンプシュートの精度がいまひとつという感は否めなかった。バディー・ヒールドと一緒にやったドリルを「すごく緊張しました。パスをもらったときに決めたいと思いましたけど、1本も入らなかったです」と振り返ったように、土家はジャンプシュートを着実に決めることができていれば、最終日に行われるオールスターゲームに出場できる20人に選ばれいたかもしれない。

自分をどうアピールするか? という点では、土家なりに工夫していた。173cmと身長が小さいため、ボールのないところがカギと認識。「自分は小さいから、他のポジションと運動量が一緒だったら魅力を感じないので、積極的にディフェンスをする。自分が使える英語を使ってコミュニケーションをとり、ディフェンスでは攻めるようにしています」と話したように、先頭を切って頑張ることによって、所属チームのコーチやチームメイトが”ナイス”と声をかけたり、ハイファイブしてくれたことに喜びを感じていた。言葉の壁に直面しながらも、なんとかコミュニケーションを図ろうとしていた姿勢は、このようなキャンプに今後参加したいと思う選手が参考にすべき要素と言える。

キャンプではヒールドと一緒にドリルできたことに加え、彼とデビン・ブッカー(フェニックス・サンズ)の2人が映像を見ながらのプレイ解説で、NBA選手の姿勢を知ることができたことも貴重な経験になった。「NBA選手でも細かいところ、基本をちゃんとしているから、自分がノーマークになったりしている。基本を大切にしているんだなということを学んだので、細かいところだけどそういうのをしっかりすると、自分もノーマークになれるし、味方にもパスができる。基本をちゃんとしなければならないと思いました」と語る土家が、より質の高い選手になるという意気込みを強くして福岡に戻ったのはまちがいない。

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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