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<ガンバ大阪>清水エスパルス戦は矢島慎也に初ゴールが生まれ1−0勝利。ファン・ウィジョの胴上げも。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

前節のFC東京戦では7試合ぶりに黒星を喫したガンバ大阪。その悔しさを断ち切るためにも、また順位的にも近い相手だと考えても勝利が欲しい一戦だったが、0−0で迎えた後半は押し込む展開となる中で88分に相手DFのクリアボールを拾ったMF矢島慎也がコースをついたゴールを決め1-0で勝利。試合後にはホームサポーターの前でヨーロッパへの移籍間近となっているFWファン・ウィジョがチームメイトに胴上げをされるシーンも見られた。試合後のガンバ大阪監督、選手のコメントをお届けする。

●宮本恒靖監督

ー後半、内容も圧倒して最後こじあけた。良くなった部分をどんな風にご覧になられましたか。

前半守備のところで早くラインを下げすぎて、簡単に相手にボールを持たれる時間が続いたので、その部分の修正と、あともう少し、攻撃に時間をかけるというところ。早く攻撃をしきるというところも狙いの1つとしてありましたが、それだけではなく、相手を揺さぶるというところもできていなかったので、ハーフタイムにはそこの修正を求めました。後半になってボールを持てるようになって、勝負どころでヤット(遠藤保仁)をいれて、なんとか点を取りきるという形にもっていった、と。なかなか点が入らなかったですが、気持ちで最後はねじ込んだゴールかなと思います。

ー1−0で無失点で抑えたことが勝利につながったと思います。ドウグラス選手をいかに抑えるかがポイントの1つだったと思いますが、今日の守備の評価をお願いします。

ドウグラスにボールが集まったあとの相手のカウンターだったりクロスボールのこぼれだったり、に関して、みんなが集中力を持って対応できていたこともあるし、シュートを打たれるようなシーンでも最後体を投げ出したり、脚を伸ばすことで東口の正面にボールが飛ぶというシーンもたくさんあったと思います。この試合の前にみんなに伝えたのは、セレッソ戦からシステムを変えてやってきた中で、6試合2失点しかしていなかったチームが、前節の東京戦では3失点していると。それを踏まえてもう一回守備の粘り強さや厳しさに立ち返ろうという話をして臨みました。最初は少し押し込まれましたが徐々に集中力も高まり、ゲームを通してはいいところも見られたかなと思います。

●FWファン・ウィジョ

(まだ発表がされていないですが…いい形で終われたというのが率直な思いですか?)今日の試合に臨むにあたってガンバに来た時から、今日までの日々を振り返ってみましたが、最初と最後、いい形で試合に勝てて良かったです。デビュー戦も『大阪ダービー』でゴールを決められましたし、今日はゴールは決められなかったけど最後、勝利することができて良かったです。(決めようという気持ちがプレーにみなぎっていましたが、最後という思いも強かったのでしょうか)ゴールは決めたかったですし、周りの選手たちも僕がゴールを決められるようにたくさん手助けしてくれましたが、決められずに悔しく思っています。ずっと言ってますがガンバ大阪というチームは常に上位にいなければいけないチームだと思うので、これからもっともっと上位にいくことを願っています。(ポストに当てたシーンもありましたが、サポーターの声援を聞いて少し感傷的になることもあったのでしょうか)ポストに当たったシュートは自分でも決まったと思っていたのですが、惜しいという気持ちが大きいですが、それでもサポーターの方たちが応援してくださったので、そこは感謝の気持ちでいっぱいです。(外に出て行く選手に対してサポーターの方が快く送り出してくれるということはあまりないことだと思いますが)自分が韓国人選手であるにもかかわらずこれだけの方が応援してくださったのは感謝してもしきれないという気持ちでいっぱいです。(去年は苦しい時期にチームを救うゴールをたくさん決めた。何か印象に残っているゴールがあれば教えてください)今まで決めたゴールは全部記憶していますし、こういう素晴らしいスタジアムで決められたゴールは、1つ1つしっかりと覚えています。(仲間からの胴上げについては?)韓国でもそういう経験がなかったのでとても驚きました。これまで自分がやってこれたのも周りの選手のおかげなので感謝しています。(ヨーロッパでの目標は?)自分はFWなのでたくさんのゴールを記録したいと思っています。自分も頑張るのでガンバの選手にももっともっと頑張って上にいけるように願っています。

●DF三浦弦太

ちょっと危ないシーンもあったけど勝ちきれて良かったです。前半はこれまでの連戦の時に比べると攻撃のテンポがあまり出ずに、僕らがボールを持ってもパスコースもあまりない感じがあって、ちょっと攻撃が速かったのもあって失うこともあって、相手も縦のボールだったり楔のボールを狙って来ていたので。でも焦れずにボールを動かしたことで相手も後半はバテて、時間を作れたと思うし、それは続けていきたいです。(前節3失点したなかで今日は仕切り直しの意味もあった)そうですね。負けずにきていて負けたあとの試合というのはすごく難しい試合になると思うんですけど、勝ちきれたのはすごく自信につながると思うし、チームもだんだん良くはなって来ていると思うので。ただ今日のゲームもまだまだ修正すべき点はいっぱいあったと思うので、それを次に向けて、また1週間、あくのでしっかり準備していけたらいいなと思います。(勝ち点で競っている相手にしっかり勝てたことについて)長い目で見てもすごく大事な試合になったと思うので、勝ちきれて良かったです。

●MF矢島慎也

前半から2トップを動かして、亮太郎(食野)が間で受けて、相手の外国人のボランチが良く食いついてくれたので、そこで相手のボランチ一人で中盤を埋めている感じだったので、あそこがあいてくるのはわかっていた。そこをうまく使いながら…亮太郎が前を向いてスピードアップする時点で、結構あいていた分、いききっちゃってシュートで終わったり、自分たちのミスで終わっていることが多かったのであまり押し込めてない印象があったかもしれないけど、僕は前半も動かし方はそんなに悪くないと思ったし、自分を経由して間でとか、もできていたので。でもそこに後半、ヤットさん(遠藤保仁)が入ってもっとテンポが良くなって、僕と秋くん(倉田)と中盤の3枚で動かしながらうまくはまっていたし、後半は相手はあまり出てこれなかったのもあったと思います。(ゴールはやっとという感じですか?)まあ、アンカーで出ていたら結構遠目の位置からのシュートになるしでも最近はインサイドハーフでも使われだしたことで結構、点を取れそうな気はしていたので。ただ去年はあまりガンバで試合に出ていなかったからようやく、ってうふうに思われるかもしれないけど、点を取れたことによって少しホッとした部分はあります。(コースについては?)全然イメージしていなくて。でも2列目になってからは点を取らなきゃいけないっていうのは思っていて、もっと2列目の選手が点を取るべきだとも思うし、ただ、考えるとあまりうまくいかなかったので、結構何も考えずに振り抜いたらボテボテでしたけどいいコースに飛んでいってくれました。なので狙ってはいません。

●MF中村敬斗

(前半は我慢の時間帯も長かったけど、後半は自分たちの時間帯も長く作れて前に行く回数も増えました)前半はあまりさわれなかったので。少し…どうしても右回りの攻撃が多かった気もするし、後半ももっと左に欲しかったというのは正直な気持ちですが、右利きの選手が多いから右にいきやすいというのと、高尾選手が高い位置をとることで、高尾選手自身はもともとサイドバックっていうのもあって右が多いというのもあると思うんですけど、倉田選手とはもう少し左の展開も欲しいねって話をしていて…でも前半は我慢の時間が続いていたので、そこで失点しなかったのは良かったと思います。(遠藤選手が入って、中村選手を使ってもらうシーンも増えた)そうですね。ヤットさん(遠藤保仁)がいるとやっぱり攻撃にテンポが生まれるので。ちょっとした隙間の、間のスペースにもパスをだしてくれるので、待って待ってヨシ、ではなく、トン、パン、と止めて蹴ってくれるので、受ける側からしたら全然違うし、状況も。待って待ってだとこっちも相手に詰められてしまうので、改めてヤットさんが入ると違うし、やっぱり別格だなって改めて感じました。(前線からの守備の貢献も特に後半は高かった)ウイングバックをやるなかで、直接結果に結びつけることがなかなかできていなくて、歯がゆいところもありますが、これがサッカーだし、チームとして求められているのはいま勝つことなので、走ってしっかり戦って、守備に貢献して、自分の武器を最大限出して、相手に「この選手いやだな」って思わせるような存在感を出して、最後仕留めるっていうことが大事だと思うので、それができなかったのは課題です。

●MF倉田秋

前の東京戦のときはこられて、逃げて蹴っていたけど、今日は前半から無理してでも繋いで行くという意識で、それで相手もバテていたと思うので。それが後半の得点や支配率にもつながったと思う。後半の途中くらいから今、僕らが目指しているサッカーというか、気持ちも出せていい感じでやれていたので、その時間をこれからもっと勝つために増やして行く必要はあると思います。(後ろの守備ももちろん、前線もハードワークして奪われても奪い返すということを続けられていた。その辺も結果につながる要素だったように思いますが)なんでこれを毎試合みんながやれないのかっていうところは問題だし、これだけできるのなら…今日はウィジョが最後っていうのもあってみんなの気合いが入っていたのもあったと思うし、今日の試合も次も一緒なので、次もこういう気持ちで戦えるようにしたい。(勝ち点としては競っている相手から勝ち点3を奪えたのは大きいですね)本当に、こういう試合を勝っていけば流れも来るし、強いチームにも戻っていけると思うので、今日の勝ちは本当に大きいです。

●MF遠藤保仁

(あの時間から入ってどういう変化を与えようと思っていましたか?)特に…入ったなりに展開を見てやろうと思っていましたし、あまり何も考えずにできれば優位に試合を運べるようにっていうことは考えていました。(縦に狙うボールも多かった)相手の足が止まりつつありましたし、積極的に前へっていうところと、相手を走らせながら、っていうところは意識しながらやっていました。(こういう試合で結果がとれたことについて)勝ち点3がとれたのは非常にいいことだと思いますし、全員の力だと思うし、落としたらかなり厳しくなっていたので。また連勝できれば順位もあがっていけると思うので、苦しい試合が続いていますけど勝ち点3がとれたのはよかったです。(中村選手にいい形でつけることも多かったですが)前半でなかなか敬斗(中村)のところをうまく使えていなかったので。彼の最大の武器は攻撃なので、彼が前を向いて1:1で仕掛けるというシーンを数多く作らないとあいつがあそこにいる意味は全くないので、できればそういう形をたくさんとりたいなっていうのは思っていました。まあ、相手が少し引いたのもありますけど、あそこで積極的にどんどんトライして欲しいと思います。(いきなりそこにボールをつけるのではなく、倉田選手などもうまく使ってボールを支配しながら、ということは意識していたのですか)どうしても早い攻撃になりがちなので、押し込んだ中で相手に取られてもすぐに取り返すという形はとりたいなと思っていたし、秋(倉田)もタイミンングよく顔を出してくれていたので、もう少しああいう形が増えればいいかなとは思います。

●FW食野亮太郎

(決めたいなと思うシーンはいくつかあったと思いますが)ありましたね。チャンスは作れているからそんな悲観的になる必要はないと思うんですけど、あとは落ち着いてシュートを相手に当てずに枠に飛ばすところと、思い切りも必要なのかなと思います。後半のシュートシーンも持ち替えずに1タッチで打っても良かったのかなって思うので。そういうところも含めてまた1週間準備します。(エリアの中に密集していてもゴリゴリ入っていけたり、エリアの中でチャンスを作り出せていることについては?)まあ得意なところでもあるので、どの相手に対してもそれができるというのは…先週の東京戦は硬くてなかなかブロックを割らせてもらえなかったですけどそういうところで周りの人もうまく使えて、自分もしっかり入っていけるようになっているし、コミュニケーションだったり、自分の成長ということももっと求めてまたしっかりやりたいです。(前半は押し込まれた時間帯も守備が耐えて、前線も含めて守備を頑張ってという我慢が後半にもつながった)そうですね。あのフォーメーションになって、そういう時間帯、そういう試合も増えている中で、負けなかったところが、ああいう時間帯も耐えられる要因になっていると思うので。やっぱり耐えて、しっかり自分たちの時間が来るのを待つという意思的なものがチームで統一できてるのでそこは前向きに捉えたい。欲を言えば、自分が点を取って勝つことが理想ですけどまずはチームの勝利だと思うし、勝てばまた自分のチャンスにもつながると思うので、そこはしっかり意識して続けていきたいです。

●DF高尾瑠

東京戦で3失点してしまっていたので、今日は絶対にゼロでいったうえで点も取れればと思っていました。(相手の2トップへのケアは?)ドウグラス選手がやっぱり強くて、一人で守れないなっていうのはあったので、ただ飛び込まずにやらせるところはやらせて、でも最後はやらせないようにっていうことを考えていました。その辺は試合を重ねるごとに我慢ができるようになってきているし、前節はミスがらみで失点していましたけど、ミスがなければ失点しないという自信は膨らんでいるので、そこは今日も自信を持ってやりました。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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