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<ガンバ大阪>首位・FC東京戦は今季2度目の『無失点』で勝点1を奪う。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

首位・FC東京を迎えたホーム戦。キャプテンDF三浦弦太が控えに回る中で、立ち上がりから攻守にバランス良く、試合のペースを握ったガンバ大阪だったが、FC東京の堅守もあり前半をスコアレスで折り返す。後半も流れは大きく変わらず、押し込む展開の中でゴールを目指したが、相手の堅守を上回るほどの崩しのアイデアは見られず、得点を奪えないまま0−0で試合を終えた。試合後のガンバ大阪監督、選手のコメントをお届けする。

●宮本恒靖監督

ー三浦選手を先発から外して、ヨングォン選手と菅沼選手でセンターバックを組ませましたが、その狙いと、実際にセンターバック二人のパフォーマンスの評価について聞かせてください。

弦太とは話をしましたが、前の試合のパフォーマンスがどうこうではなくて、最近の、ここ数試合のパフォーマンスが良くないという話をして、弦太もそれは自覚があり、今日はスタートではなくサブから行くと伝えました。弦太も自分の中でパフォーマンスをあげていく必要があると感じている、ということだったので、そこはしっかりやっていこうということを昨日話をしました。ヨングォンと俊哉は相手の最大の武器であるカウンターにもちゃんと対応していましたし、前半少し立ち上がり、ラインが深くなったところもありますが、そこのラインコントロールに関しても徐々に良くなっていったと思います。最後、ペナルティエリアの中でシュートを打たれるシーンもありましたがしっかり体も張れていましたし、お互いに持ち味をしっかり出してくれたと思います。

ーショック療法といいますか、よくないチーム状況にカツを入れるという意味でのチームへのメッセージだったところもありましたか。

やっぱり、名前でサッカーはできないと思いますし、現状、どういったパフォーマンスができるかしっかり分析をして、チームが勝つために、そのメンバー構成を考えていきたいと思っています。

ー後半、高選手にかえて今野選手を投入されました。神戸戦では同じく前半でイエローをもらいましたが交代させませんでしたが、今回は45分で交代しました。その意図を聞かせてください。

神戸戦の時点での今ちゃん(今野泰幸)のパフォーマンスが今と比べてあがっていなかったというところで、他の試合に関してもスタメンを選ぶ中で、高(宇洋)でいくのか、今ちゃんでいくのか考えた中で高でスタートしたという状態でした。その中でイエローをもらって、前半そのあともファウルをした時に、審判から「次もファウルをすると警告になるぞ」というようなコミュニケーションをとっているのも見えたので、それもあっての判断でした。

ー後半ですが、ビルドアップに人数をかけてサイドは攻略できましたが、その分、ゴール前の人数が手薄になっていたように見えましたが。後半の中でどういう風にゴールを奪いに行こうというプランだったのでしょうか。

右サイドにスペースができて、左で作って右に持って行ってそこからクロスというところで活路を見出すというか、残り10分、ヤット(遠藤保仁)をさげたりしながら、秋(倉田)への最後のパスもありましたけど、そうやって左サイドでの攻撃チャンスを作ると。ただ相手もしっかりとした守備を持っていますし、ディエゴ・オリヴェイラと永井謙佑のランとか、そこに久保が関わってくるというところであまり攻撃に重心が傾きすぎるとやられる、取り返されるという判断もあったので、すごく難しい展開だったと思います。中盤もあまり飛び出しすぎてバランスを失って、特に真ん中の秋とかのところで、クロスからセカンドボールを拾われてカウンターという形もあったので、そのスペースを埋める作業も必要だったので、すごく慎重な試合運びが続きました。ただ、クロスに対しての人の数は少ないと思うので。アデはそのへんが足りないので、求めていこうと思っています。

ーFC東京の久保建英選手にはどういう警戒をし、対策をして、今日の試合をどうご覧になられたのでしょうか。

彼がU-23の試合でプレーしていたときにこのスタジアムでのプレーを見ていますが、2年も立たない中で非常に成長をしていると感じました。その中で特徴であるドリブルのスピードやキレだったり、そこからのスルーパスやシュート、フィニッシュには十分に気をつけるようにと選手に伝えて入りました。もちろん、アデとオ・ジェソクだったり、カットインして行く中では秋だったり、ヤン(高宇洋)だったりがしっかりと対応できたところもありましたが、何度か危険なシーンも作られたとは思います。

ー首位のチームを相手に勝点1をとれた。監督が守備面で評価していることと、今日の試合は今後に向けていいきっかけになりそうか、聞かせてください。

守備面は最後、体を投げ出すとか、シュートコースに入っていくところが足りなかったのが、この失点の数につながっていると思うし、そういったところをみんなでもう一度確認してトレーニングに取り組んだことがゲームに出たと思います。首位のチームに対してこのくらいできるというところは、選手の自信になったところもあったと思いますが、攻撃面でも崩しきるとか、この試合のインテンシティの高さ、集中力の高さを継続していく必要があると思います。それをやれれば、少しずつチームは上向いていくんじゃないかと思います。

●MF倉田秋

今日は前の試合より球際も戦っていたし、気持ちも出していたし、良かったと思います。(イエローも多かったですが、今チームに足りていない戦う姿勢を出せた90分だったと思いますが)時にはイエロー覚悟のプレーも必要なこともあるので、もらうのはよくはないけど、ああいうプレーはどんどん出していきたいと思います。(勝てれば理想的だったと思いますが、首位の東京にこういう手応えが持てる戦いができたのは次に繋がる勝点1になりそうですか)そうですね。次に繋がると思うし、でもこういういい試合をした時に勝たないともったいないとも言えるので。こういう試合をものにしていかないと上にもいけないと思うのでもっと突き詰めていきたい。(川崎に勝つなど強い相手に対してこういう戦いができると考えれば波なくその戦いを続けていくことが理想ですか)今日は相手の監督が健太さん(長谷川監督)ということもあってみんなの気持ちが入っていたところもあったと思いますが、1試合1試合なので。毎試合これ以上のパフォーマンスを出せるように準備していきたい。(高選手との役割分担もうまくできていたと考えれば、中のクオリテォをあげれば引いた相手でも崩していけるのでは?)ぼくの役割より、今日はヤン(高宇洋)のカウンターのケアという役割が大きくて、それをうまくやってくれていたから僕が自由に動けたので。前半にイエローをもらっていたからおそらく交代になりましたけど、ヤンが悪いわけじゃなかったと思うし、いい関係ではできていたと思います。

●GK東口順昭

(体を張った守備ができた)攻守において今日の戦いを続けてやっていかないといけないという最低限のレベルの試合だったと思うので。ホーム戦なので勝点3が欲しかったですけど、後ろはゼロで終えられたので、後ろが安定したら戦いも安定してくると思うので、こういう試合を積み重ねてやっていければ、自分たちのペースになってくるんじゃないかなっていう手応えのある試合でした。(シュートを打たれる範囲というのは、失点が重なっているときと感覚みたいなものは違いましたか?)全然違いますね。結果として出ている通りで。最後のところで止めていますけど、それまでの過程がだいぶ相手のキッカーが打ちにくいというか、プレッシャーを感じていたはずだしそうやってチームで守っていくことが今日は特にできていたと思うので、続けていければと思います。(球際とか戦うとか、ベーシックなところも今日はできていたと思いますが)そうですね。最低限そういうところは個人でなんとかできるところだと思うので、それを当たり前にやっていかないと強いチームにはなれないと思いますし、そういうところを積み重ねていければまたいいチームになっていくんじゃないと思います。(疲れていた時間帯はどんなことを考えてコーチングしていましたか?)暑かったし、みんなハードワークをしていたので、もちろんホームで点を取りに行く姿勢もありますけど、あまり僕のところで攻撃を早くしてしまうと難しいなって思うところもあったので、僕が時間を作るところと、早く攻撃を仕掛けるところは後半は特に意識していました。(三浦選手がキャプテンでありながら今日の試合は外れた。その中でチームでなんとかしようという思いがあったりしたのでしょうか)それはもともとみんな持っているものだと思うし、やっぱり自分のパフォーマンスを出さないとあのピッチに立てないっていうのは、誰にでも言えることだと思うので、そういう中での今日はF東京戦で、勝つためのメンバーだったと思います。(ポジティブな要素も多い試合でしたか?)振り返ればポジティブな要素の方が多いですね。ただまた次に繋げるためには次の試合が大事になってくると思うので、いいところはまたしっかり次に繋げていきたいと思います。

●MF遠藤保仁

前の2トップに対するリスク管理をしっかりしておけばと思っていましたが、全体的にはいいバランスで戦えたと思います。個人的には仙台戦を踏まえて、攻め急がさないということと、ボールをしっかりとキープするということ。縦に早い攻撃ばかりが90分続くとこのあいだの2点目のようになってしまうので、うまくその辺のバランスをとりながらと思っていました。もちろん早く行くところは行くんですけど、緩急をつけてっていうのは考えていました。(首位のチームにゲームを支配できたところもあったと思いますが)相手が前からはめてこなかったのもあるでしょうし、もともと支配率はそんなに高くないチームなのでこういう展開になるだろうなっていうのは思っていました。ただビッグチャンスは作れていないので、クロスからはチャンスがありましたけど、ど真ん中で崩す攻撃をもう少し増やしていければと思います。(監督もおっしゃっていましたがクロスに入って行く人数が少ないという面も見られたかと思います)まあ、一番大事な部分なのでボックス内にどんどん入って行くことは全員が意識するべきですし、サイドから崩すところまでは行けているのでその辺をもう一度見直してやっていければと思います。(ホームで勝ちきりたかったですか?)アウェイでも勝たないといけないし、勝点3をどんどん積み上げていければと思うので次の試合しっかり勝って、いい流れを作りたいです。

●DF菅沼駿哉

失点が続いていたのでゼロでチームにいい流れをもたらしたいと思っていたので、とにかく今日はゼロでということを意識して入りました。(相手のカウンターへの対策という部分でも相手の特徴ある前線の選手にしっかり対応できていましたね)永井(謙佑)くんのプレースタイルは、一緒にやったことがあった分わかっていて、あの裏へのスピードと一度勝負してみたいなってところもあったので、できるだけ後ろに人数を残さないように、僕とヨングォンができるだけみて、あとはヤン(高宇洋)にカバーしてもらうっていうやり方を継続してできたので、前半は本当に自分たちの思うように守れたんじゃないかと思います。(点が取れれば理想的だったという感じですか?)少し後半、攻撃が単調になったというか、ゴールキックも簡単に蹴ってしまうというところで、アデ(アデミウソン)とかウィジョ(ファン)のストレスがかかっていたと思うのであそこでもう少しセンターバックがボールをもらう意識を持たないと、ウィジョもアデもヘディングするタイプじゃないので、そこを考えた時にもっと後ろから繋ぐスタイルを作っていかないと難しいかなって思います。(守備から崩れる試合が続いていた、それが崩れなかったのは収穫ですか)本当にゼロの試合がなかったので、ゼロに抑えられたというのはディフェンスラインとして自信になった部分なので、次の鳥栖戦はこの守備をベースに勝点3を取れるように頑張りたい。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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