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<ガンバ大阪>多くの若手選手を起用したルヴァンカップは4−1で快勝。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

ジュビロ磐田とのルヴァンカップ第4節。リーグ戦で勝ちきれない試合が続くガンバ大阪は、Jリーグ特別指定選手であるDF黒川圭介を初先発させるなど、メンバーを大きく変えて試合に臨む。前半、いい入りを見せたガンバは相手の背後を狙った動きあら再三にわたり得点チャンスを見出し、先制点を掴む。その後も、MF田中達也にJ1リーグ初ゴールが生まれるなど、攻撃が躍動する中で2−0で折り返す。後半も、やや運動量が落ち、マークが甘くなった時間帯に1失点こそ喫したが、その後、途中出場でピッチに立った選手も含めて運動量、走力の部分でも息を吹き返し、79分にはMF食野亮太郎が、アディショナルタイムにはMF中村敬斗が加点するなど最後まで狙いの感じられる展開で4-1で勝利した。試合後のガンバ大阪監督、選手のコメントをお届けする。

●宮本恒靖監督

ー週末の試合がある中で、ウィジョ選手を起用された意図は?また黒川選手は初先発でしたが、監督の評価を聞かせてください。

ウィジョに関してはこのあいだの試合も言いましたが、リフレッシュさせたいという思いもあった中で点を取れない悩みを抱えていたので、そう言った部分を今日の試合で解消してもらいたいという思いから、45分ないしは60分の想定で出しました。若い選手もいい連携を見せて、いいプレーがみられましたし、何より、狙っていたい点が取れたのはよかったと思います。黒川はキャンプから一緒にプレーをしていますが、随所でいろいろな良さをみせてくれていた中で、でも試合に出るタイミングがなくて、どれくらいのパフォーマンスを出せるかなと期待を込めて送り出しました。期待以上にやれていた部分もあったと思います。週末の試合に呼べたらいいですが、彼の場合は、関大のサッカー部としての活動もあるので、そこのバランスも見ながらかなと思います。

ー初先発でここまでやれたあたりに、彼のポテンシャルが垣間見えました。今日の試合で一番良かった点は?

物怖じしないハートの強さはあるのかなと感じました。彼は今22歳ですが、それを早く持てるかはプロとして活躍できるかというところに関わってくると思うので、そういう意味では非常にいい印象を受けました。

ー若い選手が躍動した試合だったと思いますが、リーグ戦に向けてもプラスになるような材料が多かったのではないですか。

いま、リーグ戦で足りていない運動量というか、ただの運動量ではなく、背後を突く動きだったり、自分がボールを受けられなかったとしても味方を生かすための動きだったり、しっかりと相手ボールに対して体を寄せる動きだったり、本当にハングリーなものがプレーに現れた結果、こういったスコアや彼らのパフォーマンス、というものにつながったんじゃないかと思います。若い選手だけではなく、例えばキャプテンマークを巻いた米倉(米倉恒貴)も守備の部分でいい部分を見せてくれました。今日のミーティングで伝えたのは今のトップチームに足りないものはこういうものだから、それを出していこうと。それを期待しているということを伝えて、それは見られたと思いますし、彼らがまたリーグ戦のメンバーに入ってくることで、チームはより活性化していくんじゃないかと思っています。

●MF田中達也

(左MFとしてのプレーは意外でしたが)よく色んな人に言われるんですけど、僕はもともとプロに入った時は左だったので別に自分としてはそんなに違和感なくて。去年右でうまくフィットできたんですけど、むしろ右のほうが苦手だったのを得意になって、という感じだったので、左に違和感はそんなにないので。でも点が取れて良かったです。(矢島慎也選手から絶妙なパスが出た。ためらわずに仕掛けましたね)慎也は本当に見てくれるし、背後への飛び出しを練習中も、慎也からのボールで抜け出せることがたくさんあったので、信じて走っていいボールを出してくれたので良かったです。慎也に入ったら背後に走ろうと…いいボールを蹴れるので、いい関係性が出来ていると思うので迷わず走れて良かったです。(このあいだのリーグ戦は役割としても守備に追われることも多くてなかなか持ち味が出なかったけど、今回は持ち味がたくさん出せた)その時々で毎回、仕事の内容というか、多少違ってきますけど、どんな試合でも自分の良さを出さないといけないと思っているので、そう考えると、今までの試合でいうと難しい状況もあって、出しきれずに悔しいところあったので、今回結果につながったというか、チームの結果につながったのは良かったです。ただ、僕が交代する前の10分くらいの時間帯は少しバタバタしてしまっている時間もあったので。ああいうところで、いくところ、いかないところの判断というのはもう少しやっていかないとな、って思いました。(純粋にJ1初ゴールは嬉しいですか?)嬉しいですね。あと、移籍して結果を出すまではきつい時間もあったので、嬉しいのとホッとしたのと両方あります。(チームとしてもなかなか白星がない中で結果が出せた)そうですね。これをリーグ戦に繋げられるようにしたいし、個人的にはまた自分の出番が来た時にできることをしっかりやるというのが大事かなと思います。

●MF食野亮太郎

(チームを勝たせる大きなゴールを決めた)得点を取れたり、結果を残せたのは良かったですけど、ボールがおさまらなかったり、ミスもあったしてチームに迷惑をかけたので、それはなくしていかないとリーグ戦でも出番がまわってこないのかなと思うので、そこの精度はしっかりと、与えられた場所でしっかり改善していければと思っています。(トップではこれまでサイドハーフが多かった中で今日はFWでプレーした)今年、仁志さん(森下仁志U-23監督)にFWで使ってもらってから、サイドハーフは作りであったりポジショニングを考えないといけない分なかなかゴールを第一優先に考えるプレースタイルじゃなかったんですけど、今年に入ってッシンプルにゴールに向かうことを必要とされているので、やりやすいというか、明確になったので、そこはFWとして鍛えてくれている仁志さんに感謝したいです。

●DF米倉恒貴

(90分走りきって気持ちを見せた試合でした)本当に勝てて良かったです。(早い段階で点が入って、共通意識を攻守に持って戦えましたね)そうですね。でも今日は戦術云々より『戦う』っていうことをみんなが意識して試合に入ったと思うので、それはみせられたかなと思います。(キャプテンマークを巻いていることもあって、球際だとか、チームを引っ張っていこうという意識が強く見られました)そうですね。気持ちを見せられて、本当に良かったですね。ただリーグじゃないので、これをリーグの勝ち点につなげなければいけないと思うので、個々はそれぞれにしっかりアピールできたと思いますけど、リーグでまたしっかりと結果を残せるようにやっていきたいです。(戦うとか、走るという姿勢は今のガンバに足りないものでもある。その姿勢を示せたのは良かった)そうですね。今日は若手がいい感じで試合に入れたし、若手がああやって勢いに乗れれば躍動感も出るので、そういう意味ではいい試合だったと思います。

●DF青山直晃

トップチームで初めてこのピッチでやれて、最初は緊張しましたけど、試合は楽しいなって思いました。(監督から求められたことは)今やれることを、ヘディングだったり、そういうところはしっかりやれたと思います。(公式戦なかなかチャンスがなかった中で、ガンバのサッカーの中での自分をイメージすることがなかなかできなかったかもしれない。今日試合に出て見て自分の役割として感じたところはありますか?)1つはヘディングだったり、守備の面だったりっていう持ち味しか僕にはないので、練習から少しずつアピールして、少しずつはよくなっていると思うので、これを続けて、練習からもっともっとやっていきたい。(若い選手が多かった中で、早い段階で得点が入ったことは、試合を落ち着いて運ぶ力になったところもあったと思いますが)そうですね。前半、だいぶ動けていたんですけど、後半は体力的にも運動量が落ちて、大事な場面で弾けなかったりしたのでそういう部分は課題だったのかなと思います。イエローもらったシーンも…止めたかったですけどね。ちょっと無理に行きすぎました。(Jリーグでの試合感ということではなかなか積む機会も少なかったですが、これまでの経験も武器になったところも多かったのかなと思いました)でもまだまだしんどいですね。タイのサッカーとは全然違うので。細かいし、ラインアップの上下運動がすごく多いので、それに慣れるように頑張っていきたいと思います。

●DF黒川圭介

試合に出る前も言いましたけど、自分ができるストロングポイントを出すことだけを考えてプレーした結果、チームの勝利につながったので、それは良かったと思います。(緊張はありましたか?)最初のアップに入った時に、スタジアムの雰囲気はすごいなって思いましたけど緊張はそんなにしないタイプなのでしなかったです。(相手の裏を狙ったり、チームとしてやろうとしていることの中でしっかり持ち味を出せましたね)そうですね。チームとしてやるべきことがあって、その中で特徴を出していくっていことが自分がしっかりやっていかなきゃいけないことなのでそれはできたので良かったです。ただクロスボールとか何本かあげましたけどまだまだ中に合わせられていない、得点につながっていないので、もっともっと精度高くあわせていけるようにしたいと思います。(藤春選手が怪我で離脱している。ガンバにとっては痛手ですが、黒川選手にとってはチャンスでもある)藤春選手はガンバでずっと試合に出続けているすごい選手で、お手本にしている部分はすごくあるしそういうのを見習いながら自分もステップアップできるように頑張って行きたいです。

●MF矢島慎也

(試合前に言っていたダイナミックな展開が慎也を起点に序盤から出せていましたね)前半はうまいこと、いい展開で進められたんですけど、後半は少し相手の展開になったし、相手の裏が空いているのはわかっているんですけど、全部がそればかりになって攻撃が早くなって、行ったり来たりの状況になったところもあった。それによって相手がボールを持つ時間が長くなったところもあったし、自分が相手からボールを取って守備から攻撃に切り替わった時にもう一回ポジションをとらなきゃいけないこともあったし、とったとしてもボールが出てこなかったりもしたので、そこはもっと要求しないといけないと思いました。今日の試合は4−1ですけど、正直紙一重だったと思うし、亮太郎(食野)が決めた得点の前も少しごちゃごちゃしたところもあって、勝って満足していられないな、まだまだやるべきことがあるなって思った試合でした。(途中から出た時とは違って、久しぶりにスタートから出た中で持ち味もたくさん出た)そうですね。一発で裏に出すボールとかはあったので、ただもっとボールをもらってさばいて、っていうのを自分中心に呼び込んでやっていかないと、それはできる自信があるのでもっとやらないといけないと思いました。あと点を決めたかったです。(勝ってない流れで結果を出せた)勝つのは大事ですよね。勝ってリズムに乗っていけたらいいし、でもさっき言ったみたいにこれで満足するようでは、とも思ったのでまだまだもっといろんなことを意識してやっていきたいです。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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