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<ガンバ大阪>拮抗した展開をものにできず、『宮本ガンバ』初のJ1リーグ3連敗。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

ここまでのJ1リーグ戦においてホーム戦では勝ちがない状況で、今日こそはと気持ちを揃えて臨んだJ1リーグ7節の浦和レッズ戦。立ち上がりから互いの良さを消し合いながら、拮抗した展開に。ただしガンバは前半終了間際に左サイドで勢いを示していたDF藤春廣輝が左肩を痛めて負傷交代となってしまう。それでも途中出場のDF米倉恒貴も含め、チーム全体が集中力を切らさずに戦えていたが、試合終盤の86分に浦和にセットプレーからゴールを許し0−1。『宮本ガンバ』としては初のJ1リーグ3連敗となった。試合後のガンバ大阪監督、選手のコメントをお届けする。

●宮本恒靖監督

ー強度の高い試合、1点を先に取っていればという展開でした。惜しいところまでいっても得点が入らなかったことをどうご覧になられましたか。

相手も人数をかけてゴール前を固めている中で、最後の崩しの一工夫だったり、質が足りなかったと思います。

ー高江選手を投入したのは攻撃面での変化を与えるためでしょうか。

どちらかというと中盤が間延びしてきましたし、そこでこぼれ球を拾う部分だったり、もちろん攻めに転じた時に、高江の運動量だったり、ゴール前に入って行く、またミドルシュートも打てるということも考えた中で起用しました。

彼自身の、最近のパフォーマンスもいいので、そういった勢いもチームには必要だと起用したところもあります。

ー今日、ルヴァンに続いて三浦選手を真ん中に戻しました。今日の守備ラインはどうご覧になられましたか。

ルヴァンから4人で組んでいた中でバランスだったり、守備だけではなくて、攻撃にいくと、我々は攻撃に行くチームだということを選手と再度確認した中でゲームを進めたんですが、そういう中で、サイドバックが攻めることで厚みを出すというところは守備というよりも…もう少し深いところでいければ理想でしたけど、厚みをもたせることは、できた部分はあると思いますし。もちろん、弦太を右サイドに据えて、ルヴァンの松本戦や川崎フロンターレ戦とある程度形はありましたが、本来、自分たちは攻めるチームだということで、今一度やっていきたいと思っています。

ー2トップでアデミウソンとウィジョが組んだ。ウィジョが落ちてきて、アデミウソンが前で仕事をすることが多かったのは、対浦和戦ということでの指示があったのか。また藤春選手の負傷交代のアクシデントでなかなか後半、機能していた左サイドからの攻撃が絡めなかったように感じましたが、監督はどんな印象を受けましたか。

左サイドの攻めの部分ですが、確かにそこに三人目のヤット(遠藤保仁)やアデ(アデミウソン)が関わってくる崩しというのは強みなので彼が抜けたのは、大きなマイナスにはなりました。ただオ・ジェソクにしても途中から入った米倉(恒貴)にしてもしっかりと彼らの仕事はこなしていたと思います。また、ウィジョに関しては前半の途中までは少しボールが欲しいということで彼自身の判断で降りてきた部分だと思います。そこは前半途中からもう少し我慢するように言いました。

ーダブルボランチを今日は今野選手と遠藤選手を据えました。その狙いと評価を教えてください。

今ちゃん(今野泰幸)も今シーズンまだ足首の調子が100%ではなかったり、色々と話をしている中で、彼から「いける」という答えが返ってくることがなかったりしたこともあり、高(宇洋)や矢島(慎也)を起用しながら戦ってきましたが、前回のルヴァンでしっかりとしたパフォーマンスを90分間、見せましたし、コンディション面も大丈夫ということで今日はヤットと組んでもらいました。レッズという相手に対して彼らが持つコンビネーションや経験によって中盤を支配できればというところで、そこはうまく出たところはあったと思うし、相手が少し攻勢に出てくるなかで、受けに回るような時間帯もありましたけど、でもそのポジションに関しては今に始まったことではなくて、ガンバがここ数年抱えている、どうしていくんだという部分だと思うので。もちろん彼らが万全で、パフォーマンスが良い状態であれば起用していきたいと思いますが、いろんなことも加味しながらやっていかないといけないと思います。

●DFキム・ヨングォン

前節、うまく試合を展開できずに、失点数も多かったこともあって、選手全員が守備に対する意識も強く臨めたと思います。前から後ろまで全員がしっかりと守備に対しての意識を持って戦えた試合でした。(相手の攻撃の良さを消すこともできていましたが、結果的に敗れた。最後結果を分けたものはなんだと思いますか?)サッカーというのはゴールが入って勝敗が決まるものなので。攻撃陣だけではなくて自分たち守備陣も含めてもっとゴールに対する意欲だとか、意識を突き詰めていかなければいけないと思います。(今日の試合はどの部分に意識して入ったのでしょうか)先ずはディフェンスラインが頑張ることによっていい守備からいい攻撃につながるという認識があったので、まずは守備を第一に頑張ろうということをお互いに話し合っていました。(その部分については満足のいく戦いはできたけれど、最後攻撃のところで足りなかった、ということですか?)攻撃と言っても、いろんなチャンスがあった中で、単に前で崩すということだけではなくて、セットプレーのチャンスもあったと思うので、前だけじゃなくて僕たち後ろの選手も含めて得点ということを意識していかなければいけないと思っています。僕自身もコーナー、フリーキックを含めてもっとそういうチャンスをいかせるように練習を積み重ねないといけないと思います。

●MF遠藤保仁

(拮抗した展開で攻撃の部分では、もう一つ変化が欲しかったのかなと感じましたが)そうですね。相手も中はしっかり締めていますし、もう一工夫必要だと思うので、いい形でサイドを割ればクロスというのもいいと思いますが、一度流れが止まってしまったりした時に、ゆっくり回して相手の隙を見つけたりってことも必要ですし、今はどちらかというと早い攻撃が多いですが、もう少しうまく使い分けて、緩急つけないと相手にも読まれてしまいますし、攻撃も単発に終わる感じになってしまうので、その辺はもう少しコミュニケーションをとりながらやっていかないといけないなと感じました。(セットプレーでの得点チャンスも多かったですが)この試合に関しては狙い通りというか、もう少しうまく中とのタイミングもあっていたと思いますし、セットプレーからももう少しチャンスは増やしていきたいと思うので、もう少し噛み合えばとは思います。僕自身は集中して、中とのタイミングをあわせていければと思います。(リーグ3連敗ですがこの試合で手応えみたいなものを掴めましたか?)広島戦は少し相手の思うようにやられてしまいましたが、神戸戦、浦和戦と勝ってもおかしくない試合をしていたし、結果として負けてしまったということは反省しなければいけないですが、いい攻撃もたくさん出ていたと思うので、それは続けていきながら、順位的にも前に進んでいかないといけない。そのためにも、チームとして引き続き、勝ち点3に対して強気な姿勢をみせていきたいなと思います。

●DF三浦弦太

(拮抗した展開が長く続いた中で悔しい失点もありましたが、全体的には気持ちを感じた試合でしたが)そうですね。最後にああいう形で負けたのは非常に悔しいですけど、広島戦に比べたらみんな戦えていたと思うし、そういった部分は良かった部分だと思いますが、数多くチャンスを作っても点を取れなければ、また、ワンチャンスでも決められてしまったらこういう結果になってしまうので。いいサッカーができたから、とか、戦えたから、といっても、結果、負けていたら意味がない。もちろん、いい内容で、いいサッカーをできればベストですけど、結果を求めてやっていかなければいけないと思っています。(その結果を引き寄せるには何が足りなかったと思いますか?)あの時間帯、全員が油断していたわけではないし、集中もしていたんですけど、ああやってフリーでゴール前でシュートを打たれると何が起きるかわからないし、逆に浦和は、うちがシュートを打つ時に必ずシュートを打つ選手に対して体を張って守っていたので、そういう最後の細かいところの差が結果につながったところもあったのかな、と。そういったところを…良くはなってきているとは思いますけど、もっとやっていかなければいけないし、今日ももっと数多くのチャンスも作らなければいけないと思うので、そのためにも普段からいい練習からやっていきたいです。(点を取られたことが問題というより、いい時間帯に点を取りきれなかったことの方が問題ですか?)結果的に見れば、ですけど、今シーズン、うちのチームは点は取れていたので、粘り強くという意識はありましたし、前半ゼロで帰ろうという意識もあったので、そういう意味では試合運びは悪くなかったと思います。ただ、結果的に負けていますし、チャンスも数多く点を取れている時に比べると、今日はそんなに多くなかったので、もう少しチャンスメイクの部分を増やしていかなければいけないなというのは感じました。(リーグ戦で久しぶりにセンターバックをやって気をつけたことや4人の関係性で意識したことは?)ゴール前、しっかりとボールに寄せるとか、甘さの部分だったり、入りは気をつけましたし、あとは相手にいいパスを出せる選手もいるし、抜け出すのがうまい選手もいたので、そういった部分は気をつけていました。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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