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<ガンバ大阪U-23>ギラヴァンツ北九州戦は立ち上がりの10分に泣き、白星を奪えず。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

ここまでのJ3リーグ、2試合をいい内容で試合を進めながら勝ちきれない試合が続いているガンバU-23は、ホームにギラヴァンツ北九州を迎える。立ち上がりの「入り」に注意していたはずのガンバU-23だったが、12分にFKによるセットプレーで失点を喫しビハインドを負う展開に。その後は引いた相手に対して、果敢にゴールを攻め立てたが1点が奪えず、0-1で試合を終えた。試合後のガンバU-23監督、選手のコメントをお届けする。

●森下仁志U-23監督

今日も1270人という、たくさんの人に来ていただいて感謝しています。ゲームに関しては最初の10分だけが受け身になってしまい、セットプレーでやられましたが、全体を通してみればよくやったと思います。チャンスがあっても決めきれないと、なかなか…隙のない相手だと難しくなるので、最初の10分、特に守備の入りのところが受け身になったのはもったいなかったと思います。

ー監督がおっしゃるように内容も悪くなく、相手に走り負けたとは思わないし、シュート数でも大きく上回った。となると、結果を分けたものを挙げるならなんだと思いますか?

結果論でいうと、やはり最初の10分ですね。これは言い訳になるかもしれませんが、僕らは人数も少なくて、なかなかセットプレーの練習もやれていないのに、実戦で集中力を上げて守備をしなくちゃいけない、と。そのセットプレーの守備を含めて最初の立ち上がりの10分の守備のメンタリティが受け身になった分、コーナーキックとかも生まれてしまいますし、フリーキックも生まれると。そのあと一発殴られてから、自分たちから仕掛ける、ということになると。でもそれはずっと言っていることで、攻守に自分たちから仕掛けようと。それを今日は93分のうちの10分だけできなかった。あとは攻撃のところで、もっともっと、最初のファーストタッチ、ファーストアクションのポジショニング然り、そこからのアクション然り、細かい部分を突き詰めるしかない。僕らがやろうとしているサッカー、ガンバのサッカーからするとそういうクオリティを上げていかないと、チャンスを作っても難しいチャンスになってしまうので、もっともっとシンプルなチャンスを作れるようにやっていきたいと思います。

ー高江選手をボランチで起用しましたが、北九州の堅い守備をこじあけるための起用だったのか、狙いと評価を聞かせてください。

少ない人数の中での競争というのもありますし、前節の試合からの判断もありますし、あとは福田湧矢がすごくモチベーション高くやっているので。また麗央(高江麗央)もボランチとしてやっていける要素はたくさんもっているので、誰よりも走れますしね。まだまだシンプルなミスは多いですけど、可能性のある選手なので。敬斗(中村敬斗)を途中から前にもっていったのもそうですが、僕らはただ試合をやるだけじゃなくて、選手の適性というか、可能性を広げる作業をしなければいけないので。だからこそ敬斗も左サイドだけではダメだし、麗央も前だけではダメだし、という中で、公式戦の場を与えてもらっているからこそ、この場を有効に活かして選手の幅をより広げさせたいなという狙いはありました。

●FW高木彰人

(決定機があっただけに悔やまれますか)間違いないです。いや、もう本当に決めたかった。もう少しGKを見る余裕があればよかったんですけど、オフサイドにならないように動き出して、そのときにGKを見れなかったので、もう少し落ち着いてシュートを打てたらよかった。チャンスを作れていただけにしっかり決めきりたかったです。(監督もおっしゃっていましたが、入りの10分だけが課題だったと)そうですね。自分も簡単なミスをしてしまいましたし、チームとしてしっかり試合に入ろうと言っていた中で後手になってしまったので。もっと全体で意識してやらなくちゃいけなかった。(後半は相手の守備も堅くなっていた中でどういうアイデアでこじ開けようと思っていましたか?)まず分析でも守備が堅いチームだということはわかっていたので、最初に先制点を奪えたら自分たちのペースで進められたはずだし、そこで失点から入ってしまって相手の思う壺になってしまったというか。あとは守ってカウンターという感じだったので、試合前から言われていてわかっていたことができなかったことが全てで、まだまだ自分たちの意識が足りなかったということだと思います。(いまストライカータイプのFWがいない中で高木選手や食野亮太郎選手でいかに点を取って行くかはチームとしても課題にしているところだと思いますが)今日とかもチャンスは作れていたので、そこで決めきらないと、そう言われてしまいますし、逆に決めきれたら、そういうことも言われないと思うので、自分が点を決められるようにやっていきたいと思います。(体はキレているし調子はいいように見受けますが)それはいい練習ができているからで、体やコンディションのところは僕だけじゃなくてみんないいと思うので、あとは最後のゴール前の質や決めきるところの精度を上げていけたらと思います。(チームとしてここ3つ、悪い内容ではないと思いますが、結果が取れないことについて)僕が点を決めないといけなかったです、今日は本当に。それだけでした。(高江選手からパスがくるイメージは持てていた?)はい。ああいうトラップをしてほしいなって動き出す前、麗央(高江麗央)に入る前から思っていたので、とりあえず右足に蹴るところにボールを置いてくれたらああいう動き出しができるんじゃないかなって思いながら待っていたので、動き出しがよかっただけに最後しっかり決めたかったです。

●GK田尻健

(昨日の練習試合と今日と二日続けてのフル出場でした)そうですね。一昨日、それを言われて、2試合いけるか?と言われて、はい、と。かといって配分するでもなく戦いました。でもGKは全然できるんで…フィールドに比べたら疲労もそこまでではないし、僕ももっともっと試合をしたいのでマイナスには捉えていなかったです。(ガンバに復帰後初めてのパナスタでしたが?)そうですね。ロッカーに入ってもそうだし、いい意味で変わっていないなって思ったし、帰ってきたなって改めて思いましたし、J3ですけどこのピッチでできることが嬉しいというか、喜びはすごく感じました。(監督もおっしゃっていましたが人数が少ない分、セットプレーのトレーニングをするのが難しいという中で、セットプレーでの失点でした)でもそれを言い訳にしたくないしもっと意思疎通ができていたら、僕が弾いたあとも…セカンドの処理が少し甘かったので、そこもみんなで共通理解をちゃんと持って、セカンドボールにいくってことをもっと突き詰めてやっていけば、なんともないシーンだったと思います。もちろん練習でやっていたとしても、セットプレーとかって同じ現象が起きることはないので難しいんですけど、でも、そういう意識の部分は日頃から言い合っていけばできるところなので、これをいい経験にして、やっていきたいと思います。(DFラインは若い選手も多いだけに、コーチングも含めて後ろから存在感を示したいというのはありますか?)そうですね。やっぱりもっとうるさく言っていこうと思っていますし、でも逆に言い過ぎて、僕発信じゃないと動けないというのではダメだと思うので、そこは様子を見ながらですけど、でも歳も上だし、みんなよりは経験もあるのでまた気づいたことは言っていけたら、と思っています。(それ以外のシーンはほぼ危ないシーンも作られなかった)そうですね。だからこそなおさらもったいない失点だったし、でもこれもサッカーなので。ずっと攻めているけど、前半、少し自分たちのミスが多くて失点して、そのまま引かれて守られて終わっちゃうというのもサッカーなので。いかに立ち上がりが大事なのかを痛感させられた試合でした。(後半のような、一方的に押し込んだ状況の時はGKは後ろからどんな心境でみていたんですか?)ぶっちゃけ、早く点を決めろ、シュートを打てよって思っていました。あと、これは何も全てを否定するわけじゃないけど、後ろからみていて綺麗にやりすぎちゃっていたところがあったなとは思います。「このタイミングで打てたのでは?」ってシーンでも、パスをつないでしまってガチャガチャっとなって取られてしまったりもっとシュートを打ってゴールを貪欲に目指せばいいのになっていうのは感じました。綺麗な形でシュートまで持っていきがちというか…どんな形であれGKの立場からするとシュートを打たれる方が怖いはずで、実際に僕なら「こんなタイミングでも打ってくるんだ」って思うはずなので。今はまだみんなあまりそこに意識がいっていない気がしたので、もっと練習から言っていけたらなって思いました。(高江選手から高木選手に決定的なボールが出たシーンももったいなかったですね)そうですね、あそこでなんで落ち着けないの?っていうのは思いましたけど、周りも言ってあげたらよかったなと。「フリーやぞ!」とか一言かけてあげたら、そこでまた状況も変わったと思う。落ち着くところで少し慌てるのはまだまだ若さもあるはずで、そこは経験を積めば改善されていく部分でもありますが、もっとお互いに声を掛け合うことも大事だと思います。

●MF福田湧矢

入り方次第で今日の結果は違ったはずなので、あの入り方が全てだったと思います。特に相手は堅いチームだったので、ああやって先制されると難しい試合になるということは言っていたのに、ああいう入り方になってしまったので。この3試合ずっと入り方のことは言われていて、なのに今日もまたああいう入り方になってしまったのは反省しなきゃいけないなって思います。それ以外の部分では自分たちのやりたいサッカーはできたんですけど、最後の決定力はまだまだ低いので、そこももっとチームで求めていきたいです。(後半は特に相手の守備も硬くなっていましたが、崩すイメージはどういう風に描いていたのですか?)背後を狙っていたんですけど、そういうシーンはなくて…麗央くん(高江麗央)から彰人くん(高木彰人)っていうシーンがありましたけど、ああいうイメージをもっとみんなの中で共有されていたらもっと違ったのかなと。どうしても足元、足元になって、同サイドで崩してっていう感じで、なかなかそれでは崩せないので。ああいうシーンをもっと増やせていたら違う結果になっていたのかなとは感じました。(前節もそうですが、ガンバはボールを持てる分、回せるけど、相手が引いていたらこじあけるのは難しくなる、そこでもう少し縦に早くとか、そういう工夫をしていかないと崩せないのでは?)僕もそれは今日の試合で感じました。(今年は森下仁志監督が就任し、かなり練習試合でも最初の頃は厳しく求められていました。ですがそれによって、自分に変化を感じられることも多いんじゃないですか?)それはすごくあります。森下監督のおかげで学べることも多いし、守備も、攻撃もこれまではポジショニングをとっているような雰囲気を出していたけど、実際は全然いいポジショニングが取れていなくて、でもそれを森下監督になって修正してもらって、相手のハメ方とか、一人で3人を見る方法を教わって、そこは自分にとってすごくプラスになっているなっていうのは感じます。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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