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<ガンバ大阪>J1リーグ3節の名古屋グランパス戦は2-3で敗戦。開始早々の失点が流れを狂わせる。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

ホームでの今季初勝利を目指して臨んだJ1リーグ3節の名古屋グランパス戦だったが、開始1分に元ガンバのFW赤崎秀平に得点を許し、いきなりビハインドを負った戦いを強いられる。それでも36分にはMF小野瀬康介の右からのクロスボールが相手のオウンゴールを誘い同点に。だが、その直後には再びセットプレーから失点し1-2で前半を折り返す。後半、ホームサポーターの後押しを受ける中、ペナルティエリア内でアデミウソンが倒されPKを得ると、アデミウソン自らキッカーに立ちゴール左上を捉えて2-2の同点に追いつく。このまま試合が終わるかと思われた87分。ゴールをこじ開けたのは名古屋。途中出場のFW相馬勇紀にガンバの右サイドを攻略され、シュート性の強いクロスからオウンゴールを奪われて万事休す。2−3で敗れた。試合後のガンバ監督、選手のコメントをお届けする。

●宮本恒靖監督

ー1プレー目の失点が試合を難しくしたように思います。守りのプランをどう考えていたのでしょうか。

ミーティングでも試合直前のタイミングでも言いましたが、しっかりとしたディフェンスから入ろう、ファーストディフェンスやコンタクトの強さはしっかり出していこうという話をしてたのですが、1点目の失点のところはいただけない、というか、あってはならない失点だったと思います。

ー相手のハイライン、ハイプレスの展開にガチンコでぶつかりあったことで消耗したことが、後半の失点につながったように見えましたが、そのへんのゲームプランというか、相手の良さを消すというよりはやりあうことを考えていらっしゃったのでしょうか?

相手の良さは認めた中で、でも我々もしっかりとボールを握る展開にしたいというのもありました。また、奪って早く攻めるというプランもあった中で、ラインをできるだけ高く保ちながら、相手の中盤あたりでボールを奪うシーンはたくさんあったように思います。もちろん、消耗したところはありましたが、どちらに転んでもおかしくない試合だったと思いますし、でも3失点をしてしまっているとなかなか勝ちきるのは難しいなとは思っています。

ー開幕から失点が続いていますが、キム・ヨングォン選手以外に大きく顔ぶれが変わっていない。去年の良かった時期の失点の少なさと現状の違いはどこにあるのか。また、失点は最終ラインというより、中盤のフィルターがかかっていないというか、今野(泰幸)選手のコンディションを含めてどうかな、とも感じましたが監督はどのように考えますか。

まず、2つめの質問の答えですが、チーム全体として前線から10人+GKというところで、もう少し強硬な守備陣形というか、局面を切り取ってもチャレンジ&カバーの強さ、速さだったりは、もっと必要だと思います。また、去年との比較ですが、シーズンとの終盤と、シーズン立ち上がりの、どのチームもパワー持っている今とではなかなか比較できないところですが、開始早々の失点が…清水でも先に点を与えていますし、マリノス戦も開始3分くらいでとられたという意味では、試合の入りとか、試合を進めるリズムはまだまだチーム全体として改善の余地はあるなと思います。そういうところが失点というか危ない状況をどんどん作られてしまうことにつながっているのかなとは感じます。得点したあと、1対1になったあとのすぐにFKからの失点をみても、試合のリズムという部分は気になりました。

ーいい時のガンバは今野選手が奪ったあとそこでスイッチを入れるというようなハーフカウンターの形が多かった。今年はそれがなかなか出てこないのは今野選手自身のコンデイションがあがってこないことが一因ですか?

相手が奪ってからの速い攻めを警戒しているところもありますが、ただあまり僕は、そのフィルターをかけたあとスムーズに攻撃が作れていないという印象は受けていません。どちらかというとボール奪ってから少し失うシーンが多かったなとは思っていましたが。

ー2−2になったあと、交代カードを悩まれたと思いますが、3選手をどういうイメージで交代カードをきったのか、教えてください。

2−2になってから相手の選手もパワーを持って得点を奪いにきた中で、もう少し中盤の守備というか、中盤の真ん中にスペースができていたので、そこを引き締めるという意味で矢島(慎也)を使いました。サイドに関してはジェソクが少し消耗していているのが見えてきていた中で相手の相馬勇紀選手も入ってきたので、そこへのケアをしながら攻めるという意味で米倉(恒貴)を入れました。(渡邉)千真はセットプレーもありますし、得点力も期待しながら、秋が少し戻りきれなくなっているのが見られたので3枚目の交代カードを切りました。

ー遠藤保仁選手は前半ミスもたくさんありましたけど、やっぱり最後のところに絡んでいるシーンは多かったと思います。そこは守備面でのスタミナの消耗を優先したということですか?

どちらをとるか、ですね。もちろん前線に出て行っての効果的なパスもありましたし、ヤット(遠藤保仁)自身の判断で、少し前にプレッシャーをかけたり、ボールを受けてからトップ下のようなポジションを取りながら効果的なプレーは多かったと思います。ただ、先ほどの話ですが、試合をどういうバランスをしていくか、ということでした。

●DF三浦弦太

(失点が続いている状況について)DF陣からしたらもどかしいというか、なんか失点してしまうという感じがあるので、今日の試合にしても立ち上がりの失点はもったいなかったし、追いついた後のセットプレーも準備が遅くてもったいなかったし、そういった詰めの甘さが出てしまった。後ろから繋いでいく意識はあったので、後ろがどうにか剥がして繋ぎたいというのはあったんですけど、それが後ろだけになってなかなか前と連動しなかったというか、センターバック、ボランチは動いているけど前は待っていて、とか、そういう感じもあったので、それをチームが全員で、つなぐ意識だったり、つなぐ中でのポジショニングや受ける意識は、もう少し改善の余地があるかな、とは思います。(良かった時のガンバに比べるとチームとしての守備もうまくいっていない)今日は結構相手に、2枚、3枚と残っている選手が多かったので、そこで失い方が悪かったりするとカウンターを受けましたし、いい時というのは攻撃も守備も距離感がいいのでボールも回るし、守備も失ってからすぐに奪い返せるということが、攻守ともに連動してできていたと思うので。それが今日は攻撃においても守備においても距離感がよくなかったので、いい時のガンバのサッカーができなかったのかなとは感じました。(立ち上がりの失点についての改善点は?)全員が立ち上がりから集中して入るという意識は持っていたと思いますけど、続いているので、そこをもう一回全員で見直すこともそうだし球際だったり、っていうのもしっかり負けないことも大事だし、いろんな要素があるのでそこはチームとしてやっていきたいです。(攻守の歯車がまだ噛み合っていない感は強い?)そうですね。去年勝っていた時は前半我慢して後半、っていう試合が多かったので、そのぶん、今シーズンは少し前半で失点している試合が多いので、そこをもう一度良かった時の意識に立ち返るというか、前半多少ボールを持たれても我慢して、後半、しっかりといい守備をしてから自分たちのサッカーという意識を持ってもいいのかな、とは思います。

●DF藤春廣輝

50秒くらいで相手にゴールを決められて厳しい試合になってしまったし、もったいなかったなっていうのはあります。攻撃にかかるところで失ったりってことも多かったし、切り替えもまだまだ遅いので、そういうところから見直さないといけないと思います。

●GK東口順昭

(入りの悪さが戦いを苦しくした印象もありました)そうですね。監督も入りには気をつけろと言っていた中であの失点はありえないし、もっと局面での強さっていうのは…3失点目もそうだけど、あれだけ、取りに行って入れ替わられたらピンチになるのは当たり前のことで、そういう大事なところでしっかり対応できるようにやっていかないと厳しいとは思います。(3試合、複数失点が続いている。要因は?)あまりこれという理由がわからないんですけど、でも結構な数のシュートを打たれているのは事実だし、それは最後のシュートのところの1対1が甘いから打たれているので、そこはもっと詰めていかないといけないですけど、逆に攻撃でもっとボールを持てれば、守備をする時間も少なくなるはずなので。攻撃でボールを持てるような練習すも必要かなとは思います。(攻撃の2トップに頼りすぎて縦に、縦にと狙いすぎて、そこでミスが出ると逆にピンチにさらされることが増えている)2トップはうちの強さだと思うので生かすべきだし、自然とそうなるのは仕方がないと思いますが、ただ、それがあかんかった時の攻撃の仕方というのはもっと一人一人が考えていかないといけないし、遅攻でなかなか崩せなくて、っていうところはあるので、そこはもっと精度を上げていかないと二人だのみと言われても仕方がないかな、とは思います。(失点は守備陣の問題というより守備陣が苦しい対応をせざるをえない状況まで運ばれてしまっていると考えれば、チームとしての守備が機能していないようにも見える)でも僕自身、そこまで手応えは悪くないので。本当に最後の何かがあえば失点は減っていくと思いますし、自分自身も失点はしているので、もっとゼロで抑えられるように止めていかないといけないと思います。(逆に攻守における収穫をあげるなら?)点は取れているので、その部分と、後ろのつなぎっていうのは少しずつ増えてきているイメージはあるので、そこから前をどうするかっていうのはまだまだ課題ですけど、そこさえスムーズにいけばもっと脅威になるんじゃないかと思います。

●FWアデミウソン

(ゲームの入りでチームとしてもプランが狂ってしまったのかなと思いますが)今日の試合も開始早々に失点から始まってしまい、自分たちでゲームを難しくしてしまいました。今年3試合続けて、失点からスタートしていて、自分たちが後手を踏んでからのゲームになってしまっている。今回、早い時間で同点には追いつけましたが、どの試合もそれができるかといえばそうじゃないので、やっぱりゲームのスタートの時間帯はチームとしてさらに集中して入らなければいけないと思いますし、前線の選手も含めてマークのところの確認や守備の役割をきっちりやっていくべきだと感じました。(前半と後半とではアデミウソン選手のポジショニングが変わって、前半は下がって受けることも多かったのに対して、後半は前に張ることが多かった。それは監督の指示ですか?)ハーフタイムに監督から指示をされたわけではなくて、試合に入る前から背後を突く動きというのは前線の選手が狙っていくようにという指示はされていました。ですが、前半、自分たちのプラン通りのゲーム展開にならなかったこともあり、ウィジョ(ファン・ウィジョ)が相手の背後を突く動きを増やして…実際に、それによって何シーンかうまくボールを奪えたシーンもあったと思うのですが、それを僕が一緒にやるよりは、少し後ろの選手との距離感があったので、そこのつなぎ目を僕が補った方がいいのかなと思ってプレーしていました。ですが後半に入ってからは、前線と最終ラインのところとの距離感がだいぶ詰まってきて、コンパクトに保てるようになってきたので、自分が前線で後ろに抜けることを意識したプレーをしました。(PKのシーン。相手は背も高くリーチも長い。どういうことを意識して蹴りましたか)今のJリーグは、どのGKも結構身長があるし、今日僕が蹴った方のゴール裏は相手サポーターがいた方で、プレッシャーもすごくあったんですが、平常心で蹴ることを意識しました。相手のGKの動きはもちろん確認しましたが自分がどこに蹴れば確実にゴールを捉えられるとわかっていたので、落ち着いて蹴りました。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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