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<ガンバ大阪>ホームでのJ1開幕戦は横浜Fマリノスに敗れ、黒星発進。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

相手のミスからMF小野瀬康介が開始39秒でゴールを捉え、幸先のいいスタートを切ったガンバだったが、15分過ぎくらいから横浜Fマリノスのスピードのある攻撃に翻弄され、3点を失ってしまう。仕切り直した後半も、思うようにボールを奪えず押し込まれる展開に。それでも、交代カードを切りながら終盤には盛り返し、果敢にゴールを目指したが、追加点は88分にDF藤春廣輝が挙げたゴールにとどまり、2-3で敗戦。11年以来となる開幕白星はかなわなかった。試合後のガンバ監督、選手のコメントをお届けする。

●宮本恒靖監督(注:今シーズンより、監督会見は質疑応答からスタート)

ー準備してきたことはあまり出せなかった試合になったのかなと思います。この試合にどんな狙いで入り、それに対しての評価を聞かせてください。

マリノスの独特なボールの動かし方に対して、できるだけ高い位置でボールを奪おうというのがあり、1点目はそういう形が1つハマったのかなとは思います。あと、ボールを奪って早く攻めようというのは狙いの1つでした。ただ、試合前からゆっくり攻めるところと、早く攻めるところの使い分けというところは伝えていた中で、その部分で少し…ゆっくりすべきところで少し早すぎてボールを失うシーンもありましたし、それが今日の試合の反省点の1つなのかな、と。今年は立ち上がりから、早く攻める時は早く攻めようという話はしてきて、そこがまだみんなの中で共通したものがないなと感じました。

ー新加入のヨングォン選手を含めた守備についての手応えはいかがでしたか。

例えば相手からプレッシャーを受けてもかわすテクニックだったり、パスの力がある部分は今日も見せてくれたと思います。ただ、3失点してしまった前半のところでは少し、全体が後ろに重たかったところがありましたし、そのへんのラインコントロールだったり、前の選手がプレッシャーにいっている中でそこをあげきれなくて、中盤が間延びしていてセカンドボールを拾えないところもあったので、そういう部分は改善していきたいと思っています。

ー高宇洋選手をボランチで起用されましたが、今野泰幸選手の状態がいまひとつあがらないというところでの高選手という判断だったのかっていうことと、今日のパフォーマンスについての評価を教えてください。

今ちゃん(今野)のコンディションが本人とも話している中でまだ100%の状態でないというのもあったので、今日のような、長い距離を中盤でカバーする力が必要というところで、そのパワーをヤン(高)には期待して起用しました。(持ち味も出た反面サイドにつり出された時の守備の弱さも出た。トータル的な評価は?)彼にとっては今日で13試合目のJ1リーグなので、多くのことを求めるのは難しいと思うのですが、彼が成長して行く上で、局面の強さだったり、勝負所をやられないとか、ああいう試合の流れの中でしっかりボールを動かす力だったりを、より伸ばしていってもらいたいな、と。ただ、こぼれ球を拾ったりいいところもあったと思います。

ー遠藤選手が20年続けて開幕戦でスタメンで出ている。彼の凄さや状態、今日の評価を聞かせてください。

プレシーズンからヤット(遠藤)なりの調整方法で、開幕に向けて仕上げてきたと思います。試合に関しても、ボールを持たれて、相手が押し込んできた中では散らす部分と、送り込むというようなシーンもあったと思います。ただ先ほども言ったように前半のサッカーが早く展開された中で、ヤットの持ち味が出るようなシーンがチームとして少なかったのかなとは思っています。

●MF倉田秋

自分も含めて前半から動けていなかったというか、自分自身が一番イージーミスもしていたと思うし、ちょっとふわっと入った感じはありました。(マリノスのやり方は去年から大きく変わっていない中で今週どういう対策をしてきたのでしょうか)相手のシャドーが少し流動的に中に入ってきたり外に開いたりしてくるのはわかっていたので、それに対するトレーニングはして、その受け渡しはうまくできましたけど、単純に1:1で負けていたところもあったし、切り替えの早さも、球際の激しさも向こうの方があったので戦術というより、前半は特に普通に1:1とかで負けてしまったことが敗因だと思います。(相手を受けたところもあったと?)相手もまわすのがうまいので、全部(プレッシャーに)行けばいいというものでもないですが、後半の途中くらいからみんなが危機感をもって行きだしてからはずっとこっちのペースでサッカーをしていたので、あれがガンバのサッカーだと思うので。相手をずっとへばりつかせて圧倒して、とられてもすぐに取り返してっていう…そういうことをもっとやっていかないとなっていうことは思いました。今日、できなかったことが明確というか、技術とかそういうことじゃなくて単に戦えていなかったというのがあったので、後半の最後みたいにみんなが気持ちを出せるような準備をまた次の試合に向けてしていきたいと思います。

●GK東口順昭

少し相手を受けてしまったというのが前半は良くなかったなと。回し方が相手は独特なので、少しリスペクトしすぎたかなとも思いますし、もっと思い切って前からしっかり勢いを持っていく、っていうところは前半はなかなかできていなかったので。後半は修正できたと思いますけど、あれを前半からしっかりやっていけるようにやっていければいいなと思います。(個人的には3失点したとはいえ、ビッグセーブもたくさんあった。個人的にはいい入りをできたところもあったのでは?)いい部分もありましたし、でも3失点しているので、もっともっと上げていかないと行けない部分もあると思うので、そこはこれからもっと上げていけたらと思います。(ヨングォンが加わった守備ということへの手応えは?)力強さはありますし、ビルドアップのところでも左利きということで、出す幅というのが増えてきているので、それはチームとしてもっと生かしていければいいと思います。(後ろから見ていて高宇洋選手はどうみえましたか)おそらくいろんなことを考えながらプレーしていたと思いますけど、周りがもっと気持ちよく彼の特徴である守備を出せるようにして上げたら彼自身ももっと乗って行けたと思いますけど、少しそこが出せなかったのかなとは感じました。そういう意味ではヤン(高)に限らず、みんな前半はそんな感じで気持ちよく守備ができていなかったし、その中の3失点なので修正どころはいっぱいあると思います。(東口選手のスーパーセーブがなければ決定機の数からしてももっと失ってもおかしくない試合だったようにも見えました)そうですね。まあ、前からいかない守備で、あそこからいかれているので、もっともっと守備の形というか、相手にあわせすぎずに、自分たちの特徴が出るような守備をやっていければ、停滞感はないので修正次第でどんどんよくなるかなって思います。

●MF高宇洋

相手を捕まえるのが難しくて、途中でやっとさん(遠藤保仁)とかとも話しましたが、1つのサイドに多くの選手が集まってきた中でなかなか…個々の選手もうまいので、そこで捕まえきれなかったというのは多く見られたと思います。(ボール奪取を期待されていたと思いますが)そうですね。監督からもそれは言われていて、今まで以上に負担はかかるけどしっかり押し上げて、っていうことは言われていたので、その期待に応えられなかったのは残念です。(試合前にも遠藤選手と長く話していました。どんな内容のことを話していたのですか?)守備の時のポジショニングと、攻撃で相手のシャドーが自分たちをみにくるので、その時に縦関係を作りながらっていう部分で、試合中もやっとさんがちょっと落ちて、自分が前に入ってということはあったんですが、少し距離感も悪くてバタバタしてしまった。(マリノスの両サイドバックへの対応については?)自分と小野瀬(康介)選手とローテーションしながら捕まえるというところで。ファーストディフェンスの徹底はある程度、決まっていたことだったのでいけていましたが、チーム全体としてはハーフタイムにも監督にも言われた通りで、球際とか、そういう部分で少し出足が遅れてしまったところはありました。(攻撃ではいいところも出せた反面、失点に絡んだところもある。個人的な手応えとか修正が必要だと感じたところは?)3回くらい、いい形でボールを奪えた時は、ガッといけるような距離感も掴めていましたけど、ただ自分の周りにシャドーが2枚とか、サイドバックとか、入ってきた時に3〜4人、相手の方が多い部分もあったので、そういう時はおさめきれなかったし、迷った時はついていくのが遅れたり、失点につながったりしてしまったのでそこは自分の力不足だと思います。(存在感を出すには結果を出したいという思いも強かったと思いますが)開幕戦ですごくいい雰囲気の中で結果が出せなくて…本当にまだまだということを突きつけられたので、でもここで下向いていても変わらないので、しっかりまたやっていこうと思います。

●MF矢島慎也

(どういうことを改善しようという意識でピッチに入りましたか)後ろのことは考えずに前で守備をはめに入っていました。あと、ウィジョとかはずっと裏を狙っていたんですけど、前半はそこにボールが通っていなくて。相手の切り替えが早いとか、うちの切り替えが遅いっていうのもあったと思うんですけど、とって、とられての繰り返しだったので。つなごうとするけど蹴って、セカンドボールを拾えないというのもありましたしね。だからできるだけ秋くんとのバランスを見ながら…ボランチで組むのは初めてでしたけど前に、前に行く選手なので、そのバランスをみつつ、みんなも前のめりになっていたので、裏に流し込んで、二次攻撃、三次攻撃を狙ってというか、本当に点を取りに行くための、勝ちに行くためのプレーをしようと思っていました。(短い時間でしたけど、流れを変えたり勢いをもたらせたことはポジティブに考えられますか)自分が入って1点入ったのは良かったけど、何本か裏に通したところで、1本あわせられればウィジョだったら1点取れるっていうシーンが何シーンかあったのでそこはちゃんと通さないといけないし、最後、セットプレーも2本チャンスがあったので、インスイングの時は結構いいキックが蹴れましたけど、アウトスイングの時は引っかかっちゃったので、ああいうところではセットプレーも大事になってくると思うので、自分の出た時間で考えたらそこだな、って思います。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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