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<ガンバ大阪>『宮本ガンバ』が初勝利。アディショナルタイムでFC東京を突き放す!

高村美砂フリーランス・スポーツライター

昨年まで5年間にわたりガンバ監督を務めた長谷川健太氏が率いるFC東京とのホーム戦。34分にセットプレーからのこぼれ球をDFファビオが押し込み先制点を奪う。後半は勢いを強めた相手にペースを握られる時間帯もありながら、GK東口順昭を中心に跳ね返していたが、86分に失点。だが、意向の時間帯も下を向く選手はなく、果敢に相手ゴールを目指す。そんな中ゴールが生まれたのは4分と表示されたアディショナルタイム。時計の針が4分をまわろうとする直前にFWアデミウソンの劇的なゴールがゴールネットを突き刺し、スタジアム全体が歓喜に沸く。そのまま勝ち切り『宮本ガンバ』としての初勝利を挙げた。試合後のガンバ大阪監督、選手のコメントをお届けする。

●宮本恒靖監督

前節、非常に悔しい負け方をしたので選手がどういうリアクションをみせてくれるのかな、というところでスタートしましたが、想像以上にしっかり入ってくれたと思います。立ち上がりいくつかピンチは作られましたが、それ以外の部分では、特に前節はボールへの守備っていうところが甘くなったのが失点につながったという反省があった中で、ファーストディフェンスの強さをしっかり見せてくれて、うまく試合を進めることができた前半でした。もっとも、バイタルに入れられたところでの守備は改善の余地があると思います。点を取ってから後半、受けているわけではなかったと思いますが、相手がしっかり攻勢に出てきた中で、守勢に回る時間もありました。ただ人を変えたり、配置を変えたりすることでうまく凌げていましたが、うまく個人技でやられた、と。そこはチームとして反省しなければいけないと思います。ただ、同点に追いつかれても、前回の試合には見られなかった、立ち向かうという姿勢をみせてくれたことがアデミウソンのゴールに繋がった。みんなが欲しかった勝利で、ハードワークが結果につながったと思いますし、サポーターに本当に勝利を届けたかったので今日はいい勝利だったと思います。ただ1試合しか勝っていないので次に向けてしっかりやっていかなければいけない、という気持ちでいます。

ー今日の試合を前に、攻撃面で選手たちに要求したことを教えてください。

一美(一美和成)が入ることによってしっかり前で起点をつくる、アデミウソンとコンビネーションを作るということをいかした攻撃の組み立てだったり、フィニッシュに関してもクロスボールへの入りだったり、ということを求めてチャンスを与えました。ボールを奪ってから出て行く際の切り替えの早さだったり、相手のサイドバックの攻め上がりがあるので、その背後にっていう話もしました。

ー一美選手はこれまで3試合、ベンチ入りをさせていましたが、今日がデビューになりました。彼の評価と、最後のシーンは高江麗央選手、高宇洋選手とボールを運んでゴールにつながりましたが、この3人の評価についてお願いします。

一美はJ3の試合だったり、トップの紅白戦をみていても…春先からずっと彼を見ていた中で、J1の選手相手でもできるんじゃないかというのはありました。そういう中で、前回までの3試合はどこかでタイミングがあれば、と思っていましたが、なかったと。でも今回ファン・ウィジョが抜けたというところで、FC東京のセンターバックの二人を考えた時に、フィジカルが強く、ボールを献身的におさめられる、またファーストディフェンダーとしてチームに献身的にプレーできる、というところで、チャンスを掴んで欲しいとピッチに送り込みました。ある程度、落ち着いてやっていましたし、ゴールに迫るシーンもあったので、今後も期待したいと思います。高江に関しては運動量が持ち味。守備の役割を与えていれましたが、1:1でも苦しい時間帯に出ていける、というあたり、途中出場でしたけど、そういうプレーがキーになったと思います。高については、もっとやってもらわないといけないと思いますし、守備だけじゃなくて最後こそ、楔のボールは入れましたが、あのへんの回数や質だったり、平面のパスだけじゃなくて空間に落とすボールというのを求めているところです。

ー右サイドバックに三浦弦太選手を置いた理由は?

東京のカウンターが攻撃の特徴の1つだと思っていたので、菅沼駿哉を入れて、少し守備の安定性を持たせるということが狙いの1つでした。また攻撃に関してはそこまで回数多く出て行く必要はないと伝えていましたけど、淳吾(藤本淳吾)が前でプレーすることで少し前に行く回数は多かったと思います。練習からいいクロスボールも見せていましたが、予想を上回るパフォーマンスだったと思います。最初にも言いましたが、対戦相手の性格、戦い方によって組み方を柔軟に変えていこうと思っていますが、ただ自分たちの軸になるようなものもしっかり備えながら今後はやっていきたいと思っています。

●FWアデミウソン

(ナイスゴールでした)ありがとうございます。(追いつかれてからの時間帯、どんなことを考えながらプレーしていましたか?)同点ゴールを決められた時に、間違いなければ85分くらいかなと思ったんです。それをみて少なくともあと8分くらいは攻めきる時間、点を取れる時間があると思ったので最後までやりきろうと思っていました。(ガンバをよく知っている監督が率いるチームが相手、で攻め急がない攻撃というか、特徴であるカウンターを受けないように無闇に攻めることなく緩急のある攻撃を心掛けていましたね)これは対戦相手によるというよりは直近の2試合で、ジュビロに先制しながら同点に追いつかれてしまった。あるいは名古屋戦は2点をリードしながらひっくり返されてしまった、と。そういうことがあったのでリードしたあとに闇雲に攻め急ぐというのはよくないというか、ゲームをコントロールするということを学んでいかなければいけないというところで、リードしたあとは少しゲームを落ち着かせるということは今日は見られたと思います。ただ同点に追いつかれてからはホームゲームなので勝利を目指さなければいけないということで、最後のパワーを出そうとみんながやったと思います。(一美選手と2トップを組んだ。そんなに合わせる時間はなかったですが手応えは?)彼は若いですが、デビュー戦であるにも関わらずのびのびとプレーしていて、必要以上に硬くなることは全くなかったなと感じました。試合前に僕の方から彼に話しましたが「僕は常に彼のサポートができる距離にいるけれど、僕が目に入ったからといってボールを出す必要はない。自分が勝負すべきだと思えばドリブルを仕掛けてもいいし、シュートを打ってもいい」と伝えていました。また「いつもU-23でやっているプレーを若いチームメイトとやっているようにやればいい。僕に必要以上に気を使わないでいつも通りにやってほしい」とも話しました。それを彼はそのまま、普段通りのプレーをしてくれたと思います。彼からいいパスが一度きて、それを僕がトラップミスをしてしまったシーンもありましたが、僕の欲しいタイミングで出してくれますし、そういう意味ではやりやすさもあったし、若いながらこれだけのプレーがデビュー戦でできるのは素晴らしいことだったと思います。

●DF三浦弦太

(最後の最後みんなの気持ちが切れなかったことがゴールに繋がりましたね)見ていた方は、一瞬またかということを思ったかもしれませんが、最後まで諦めずに戦えたからこそのゴールだったと思いますし、それが結果に繋がってよかったです。(右サイドバックとしてのプレーは清水エスパルス時代以来ですか?)いや、去年少しだけやりました。(監督は守備の安定感を求めたということですが)もちろんそれもありましたし、淳吾さん(藤本淳吾)との関係性を築きながら…やったことがあった分、楽しんでやれました。(監督は藤本選手が前にいる中で思ったより攻撃の回数が多かったという話もありましたが、藤本選手とはどういうコミュニケーションがあったのか、また自分は守備と攻撃のバランスをどう考えていましたか?)淳吾さんが相手の間、間に立ってくれるので、自分が高い位置をとることでセンターバックもスペースをあけれるし、それは普段、逆でやっているからこそのやりやすさもありました。守備も攻撃もポジショニングは一番意識していたところでした。(連戦が続いていましたが、今週は久しぶりに週1回の試合で、チームを熟成させる時間があった。チームとしてというところが見えてきたことは多かったですか?)そうですね。でもいろいろポジションが変わったり、いろんなメンバーを試している中で、全員がそういう意識で練習に取り組めましたし、ポジション争いも含めてチーム全員が同じ方向を向いて戦えたり、練習に向かえたのはよかったと思います。(前節の先行した流れを踏まえて意識したことは?)ハーフタイムの時点で先制していましたけど、残りの時間帯もズルズル下がらないことは全員で意識していたし、前にという意識を持ちながらできたシーンもあったとは思います。(最後は勝ちきるために攻めに出た)そうですね。全員が勝ちきりたいという思いがあって最後ああいう攻撃に繋がったのかなと思います。いい相手に勝てましたし、ここから連勝してどんどんあがっていけるように、チームとして自信を持って戦っていけたらいいなと思います。(最後の円陣で監督からはどんな言葉を?)ここからいくぞ、みんなでここから上がっていこうということです。

●FW一美和成

起点となるプレーを、と試合前から言われていたのでそこはできたかなと思いますが、ゴールの部分は何本かチャンスはあったんですけど、もう少し落ち着きを持ってプレーできればよかったなと思います。(先発を言われたのはいつですか?)昨日くらいにスタメンの方で練習をしていました。なんとなく先発かなと、分かっていたところもありましたけどはっきり言われるまではどうなるか分からないのでしっかり準備をしようということだけ考えて準備していました。最初は少し緊張したんですけど、ファーストプレーがうまくいったので、いい感じで入れました。(ここ3試合ベンチにいて、どういう風に試合を見ていて、出たらどういう風に変えたいと思っていましたか?)外から見ていてもどかしい気持ちもあったし、試合に出たらこうしてやる、っていう気持ちもあったので…得点をとることはできませんでしたが、自分のいいところは出せたと思います。(ファーストディフェンダーとしての意識も高かった)そうですね。ディフェンスもいわれていたので、ファーストにいくっていうのとハードワークは言われていたので意識的にやりました。(若い選手に見られた意識でしたが、それはU-23で培ったものをみんなで出そうという感じだったのでしょうか?)そうですね。やってきたことを出せたのでよかったと思います。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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