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【秋華賞】コース適性の高いソダシか、エアグルーヴの孫や三冠牝馬の娘などの良血馬か 傾向とポイント

花岡貴子ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家
白毛ソダシの2021年桜花賞のゴール前写真、(写真:日刊スポーツ/アフロ)

ソダシは桜花賞と同じ2枠4番

 17日、阪神競馬場で秋華賞が行われる。

 今年の秋華賞は初めての阪神競馬場での開催となる。これまで実施されてきた京都競馬場が改修工事中のため、阪神競馬場の芝2000m(内まわり)で行われる。

 このコースはゴール前にある坂を2回(スタート直後とゴール直前)走らなければならない。最初の坂はスタート直後だが、ここで先行のポジション争いが行われるが坂の影響でそれほどはやくはなりにくい。最後の坂についてはこれに堪えられず失速する馬もいるが直線も外回りに比べると短いこともあり、比較的、逃げと先行が決まりやすい傾向がある。

 桜花賞も阪神競馬場で行われているが、こちらは外回りの芝1600m戦。3、4コーナーは大きくゆったりと周回できるのに対し、内回りの芝2000mはコーナーもきつい。オークスが行われる東京競馬場の直線は広く長い。このように春のクラシック2戦と比べると、やや紛れやコース適性を問われる可能性がある。

2021年秋華賞枠順(筆者作成)
2021年秋華賞枠順(筆者作成)

今年のコースはソダシには有利

 今年の秋華賞が内回りの阪神芝2000mで行われるのはソダシにとっては朗報だ。明らかな先行馬で白毛でよりマークされやすいが、その点はコース適性の高さでカバーできそうだ。オークスでは勝負どころでおかれて直線では他馬に比べると伸びを欠いたように2000mを超えると長い印象は否めない。従来行われてきてた京都での開催ならば不安はあったが、内回りの阪神芝2000mならじゅうぶんこなせるだろう。

 2歳時から完成度が高かったため、成長力という点で他馬には見劣るが、札幌記念では古馬一線級を相手に重賞を制しており、安定度はレースを重ねるごとに増していく印象がある。

 筆者はアイドル的な人気も手伝ったオッズを理由に敬遠するが、多くのファンの期待に応えるシーンは十二分にあるだろう。

■2020年阪神ジュベナイルフィリーズ(GI) 優勝馬ソダシ

■2021年桜花賞 優勝馬ソダシ

■2021年札幌記念(GII) 優勝馬ソダシ

金子オーナーは秋華賞3頭出し

 今年の秋華賞でソダシを所有する金子真人オーナーは、アパパネの仔であるアカイトリノムスメ、ダービー馬・ワグネリアンの全妹であるミスフィガロの3頭を出走させるが、いずれも有力候補だ。

 アカイトリノムスメは、成長力が母・アパパネと比べると緩やかであるため、春の時点で陣営は"伸びしろ"を考慮しながら調整してきた。春頃は国枝師も母との比較については消極的だったが、秋は違う。ひと夏越しての成長力を強調しているし、「馬体重こそ大きく変わらないけれど、力強さが出てパワーアップしてきた」(国枝師)としている。

■2021年クイーンカップ(GIII) 優勝馬アカイトリノムスメ

 ミスフィガロは先週の京都大賞典で5年ぶりに勝利をあげた2016年のダービー馬・マカヒキと同オーナー・同厩舎・同ジョッキ―で挑む。大外の8枠16番だが、今年の秋華賞はフルゲートが16頭。枠による有利不利の差は少ないコースでもあるので大きなマイナス材料にはならないだろう。ひじょうにバネの強い馬で、落ち着きもある。

 今回、金子オーナーが出走させる3頭はどれが勝っても不思議ない。

筆者の注目はエアグルーヴの孫・アンドヴァラナウト

 今回、筆者が最も注目しているのは未だ連対を外したことがないアンドヴァラナウトだ。いまノリに乗ってる福永祐一騎手は紫苑Sを制したファインルージュではなく、デビュー戦から他に手綱を譲らずローズSを成長途上で制したアンドヴァラナウトだった。祖母はエアグルーヴ。まだまだ成長途上で本当に良くなるのは来年以降だろうが、それでここまで結果を出しているのだ。馬場も問わないし、キャリア6戦の中で出てきた新しい課題はレースごとにクリアしている器用さもある。今回は初のGI参戦だが、案外あっさりというシーンもあるのでは、と筆者は考える。

■2021年ローズS(GII) 優勝馬アンドヴァラナウト

 オークス馬のユーバーレーベンは夏場に脚部不安を発症した影響もあり、ぶっつけ本番となった。追い切りの本数は重ねているがようやく間に合った印象なのと、戦法が差し一辺倒しかないのにコース特性は逃げ・先行有利と厳しい条件がそろっている点が気がかりだ。

■2021年オークス(GI) 優勝馬ユーバーレーベン

 ファインルージュはルメール騎手が手綱をとるが、同騎手は早い段階から秋華賞はサトノレイナスに騎乗予定だった。しかし、サトノレイナスは右後肢骨折により9月上旬に戦線離脱を表明し、その時点から秋華賞の騎乗馬を探すことになった。ルメール騎手はオークスで騎乗したアカイトリノムスメ、紫苑S2着のスルーセブンシーズ、未勝利戦で騎乗したミスフィガロらにも騎乗したことがあるが、その中からファインルージュを選んだ訳ではない点が気になる。

■2021年紫苑ステークス(GIII) 優勝馬ファインルージュ

エイシンヒテンとソダシの"行った行った"はあるか!?

 人気がない馬で面白そうなのは逃げ馬のエイシンヒテン。前述のとおり、前にいる馬が残りやすいコース形状だし、鞍上の松若騎手は逃げ戦法が上手い。向こう正面でエイシンヒテンとソダシが逃げるシーンが脳裏に浮かぶが、そのまま、あれよあれよと逃げる可能性もあるとみた。この2頭がどれだけ残れるかは、秋華賞までに馬場がどれだけ回復するかもカギになるだろう。

■2020年秋華賞(GI) 優勝馬デアリングタクト

ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家

競馬の主役は競走馬ですが、彼らは言葉を話せない。だからこそ、競走馬の知られぬ努力、ふと見せる優しさ、そして並外れた心身の強靭さなどの素晴らしさを伝えてたいです。ディープインパクト、ブエナビスタ、アグネスタキオン等数々の名馬に密着。栗東・美浦トレセン、海外等にいます。競艇・オートレースも含めた執筆歴:Number/夕刊フジ/週刊競馬ブック等。ライターの前職は汎用機SEだった縁で「Evernoteを使いこなす」等IT単行本を執筆。創作はドラマ脚本「史上最悪のデート(NTV)」、漫画原作「おっぱいジョッキー(PN:チャーリー☆正)」等も書くマルチライター。グッズのデザインやプロデュースもしてます。

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