【皐月賞】未対決が多く難解、混戦を制するのは?

2019年皐月賞を制したサートゥルナーリア(写真:中原義史/アフロ)

 18日、中山競馬場で第81回皐月賞(GI、芝2000m)が行われる。2歳王者の実績を持つダノンザキッドと3戦無敗のエフフォーリアが1番人気を争っているが、以下は人気がかなり割れており買い目が絞りにくくなっている。

 近年、このあとに控える日本ダービーへの余力を考慮するため、早い段階から皐月賞へ出走できるだけの賞金を確保して直行するのがトレンドとなっている。そのため、皐月賞で初めて顔を合わせる馬が多いことも出走馬の力差を測りにくい一因となっている。

 結果、オッズが割れており大混戦ムードだ。ゆえに、この一戦が終われば各馬やレースの力差が明確になり、日本ダービーの時点では"混戦"の見出しが消えている可能性も少なくない。

第81回皐月賞(GI)枠順 筆者作成
第81回皐月賞(GI)枠順 筆者作成

前日オッズは4番人気から10番人気のオッズがひしめきあう

 さて、まず前日オッズをみてみよう。

 単勝1倍台は3頭。昨年のJRA最優秀2歳牡馬のダノンザキッドが3.3倍、続いて共同通信杯を勝ち3戦3勝のエフフォーリアが3.4倍。と、この2頭がその後も入れ替わりながら交互に1番人気と2番人気になっている。

 もう1頭のアドマイヤハダルは9.7倍でかなり開きがあるので、最終的な1番人気はダノンザキッドかエフフォーリアとなるだろう。

 続く10倍台が実に混戦。前日オッズではヴィクティファルスが10.9倍、ラーゴムが14.2倍、グラティアスが15.1倍、ステラヴェローチェが15.4倍、ディープモンスターが17.7倍の5頭なのだが、皐月賞当日午前のオッズをみるとこれらにタイトルホルダー、レッドベルオーブの2頭が加わり計7頭が10倍台にひしめいている。

 つまり半数以上が単勝10倍台でオッズを分け合っているのだ。いまのところ抜けた評価の馬がいない今年の皐月賞らしいオッズの分散が見受けられる。

師弟でクラシックへ挑むダノンザキッド

 ダノンザキッドは、前哨戦である弥生賞は勝馬有利の展開もあり負けてしまった。しかし、持ち味である上がりの脚はメンバー中最速(34秒2)であり、管理する安田隆行師も「内容は悪くなかった」と評している。

 これまでのレースぶりからは手前がうまく変えられない印象は否めないが、そのあたりはこの中間の調教で厩舎サイドが調整している。人気だが、中山芝2000mならしっかりと結果を出せるのではないか。

 管理する安田隆行厩舎は短距離路線でのGI制覇は幾度となくあるが、クラシック系のGIは勝利をおさめたことがない。初のクラシック制覇を弟子である川田将雅騎手と挑むのは、なかなかドラマチックだ。

 安田隆行調教師といえば、自身もクラシック有力馬への騎乗チャンスはなかなかなかったが、1991年にトウカイテイオーとのコンビで圧倒的な人気を背負いながら皐月賞、日本ダービーを優勝している。過去、クラシックとはあまり縁がなかったところへ突如1番人気を争うような有力馬を任された経緯は当時とダブるものがある。トウカイテイオーでしっかりチャンスをものにした安田隆行師だけに、今回もしっかりとチャンスを掴み取って不思議ないと筆者は思う。鞍上の川田将雅騎手は17日、ホウオウアマゾンでアーリントンCを制し4週連続JRA重賞制覇を決めてノリに乗っており、皐月賞でも信頼したくなる。

3戦無敗のエフフォーリアは豪快なフットワークが魅力

 エフフォーリアは3戦3勝。札幌でデビューし、その後の2戦は広い東京コースでのものだ。トビがきれいで大きく、豪快なフットワークが魅力。それゆえに、中山コースが合うかは疑問だが札幌コースで小回り自体は経験している。レースが上手なので、そのセンスの高さで中山芝2000mというコースも難なくこなす可能性はじゅうぶんある。

 前述のとおり、近年は日本ダービーへの余力も考慮して皐月賞へは余裕をもったローテーションで挑むのがトレンドであり、エフフォーリアもその道を歩んでいる。

 鞍上は次世代のJRAを背負って立つであろう横山武史騎手だ。その手綱捌きにも注目したい。

調教師と騎手が年子の兄弟、ヴィクティファルス

 ダノンザキッドが師弟での挑戦なら、ヴィクティファルスは年子の兄弟が力を合わせる。ヴィクティファルスを管理する池添学調教師は池添謙一騎手の1つ下の弟である。この兄弟、なかなかレースで力を合わせるチャンスがなかったが、弟の学師が調教師試験に合格した際、兄・謙一騎手は「弟の馬でGIを勝つ、という夢ができた」と話していた。ようやく、その夢に挑むチャンスがやってきたのだ。

 まだ精神的に幼い面をみせるなど、かなりの伸びしろを感じさせる。

ラーゴムは陣営が力みをおさえる工夫を画策

 オルフェーヴル産駒のラーゴムは闘争心が力みに繋がりがちなのが難点だった。この中間、陣営は気持ちが入り過ぎてしまう点をコントロールしていた。ラーゴムに限らず、この時期の3歳馬はまだ手探りをしながらの調整が少なくない。どの陣営も最善を信じて日々調整しているが、それが吉と出るか凶と出るかは結果を見てみないとわからない。

 だが、ラーゴムの闘争心の強さをもってすれば一気に"ON"モードに入り、結果として"ON"と"OFF"がうまく使い分けできるようになるのではないか、とみている。

自分でレースをつくれるアドマイヤハダルに注目

 筆者が一番気にしているのはアドマイヤハダルだ。デビュー当初は気難しい面もみられたと聞くが、今ではすっかり解消され、ほどよい前進気勢がみられるそうだ。

 コントロールが効きやすく脚質に自在性がある。自分からレースをつくれるタイプで展開に左右されないのもいい。

 ほかにも、大物感のあるディープモンスター、長くいい脚が使えるヨーホーレイクなど気になる馬はたくさんいて候補を絞るのに苦労する。コロナ禍で実際に馬やレースを見る機会が減っている点も予想を難しくしている要素のひとつだと実感する。

 改めて、早く以前のように多くのファンが競馬場へ足を運べる日々が戻ることを祈る。