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【2戦2勝の5頭に注目】ホープフルSみどころ解説 来春クラシックの有力候補もこの中に

花岡貴子ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家
2019年ホープフルS優勝のコントレイル(写真:伊藤 康夫/アフロ)

来春の皐月賞を強く意識した一戦

 12月26日、中山競馬場で2歳のGIレースであるホープフルステークス(以下、ホープフルSと略)が行われる。

 ホープフルSの舞台となる中山・芝2000mはクラシック第一弾の皐月賞と同コースである。そして、同じ2歳GIの朝日杯フューチュリティステークス(以下、朝日杯FSと略)と比べると400m長い。牡馬が出走できる2歳GIが同時期に東西で行われるが、この2つのGIは似て非なるものである。JRAのレースに出走する競走馬は普段は東は茨城県の美浦トレセン、西は滋賀県の栗東トレセンに滞在するが、近くで行われるGIに参戦しているわけではないケースが大半だ。来春のクラシックを強く意識する陣営ほどこのホープフルSを選び、距離適性が短そうな馬の陣営やホープフルSに出走するメンバーを戦いたくない陣営が朝日杯FSを選ぶケースは少なくないように見受けられる。

■2019年ホープフルS 優勝馬コントレイル

 実際、ホープフルSは出世レースとして名高い。1着賞金が3200万円のオープン特別だった時代からその傾向はあったが、2014年から1着賞金6500万円のGIIレースに昇格してその傾向は強まった。2013年優勝のワンアンドオンリー、2016年優勝のレイデオロは後のダービー馬となっている。さらにGIに昇格した2017年からは1着賞金は7000万円にアップ。2018年優勝のサートゥルナーリアは翌年の皐月賞馬となっているし、昨2019年優勝のコントレイルのその後の活躍は周知のとおりだ。

 昨年のホープフルSのレース前にコントレイルを管理する矢作師は「正直なところ、中山の2000mは(コントレイルに)合っていないと思う。けれども、皐月賞から逃げるわけにはいかない」と、あえて来春の準備も兼ねてこのレースに挑んだ経緯がある。

 今年揃った面々も、明らかに来春を意識している陣営が多い。このコースは2000mという距離ながらコーナーを4回まわる。日本ダービーが行われる広い東京コースと比べると少々トリッキーな印象は否めないが、この舞台を克服しなければ皐月賞は勝てない。経験の浅い2歳馬たちが、このレースでの経験を糧にして来春に結果を出すためにも、重要な意味を持つ一戦なのだ。

■2018年ホープフルS 優勝馬サートゥルナーリア

前走はノーステッキで重賞制覇 スケールの大きいダノンザキッド

 ある意味、来春へ向けての"練習"を兼ねたGIなのだが、そのわりに人気になった馬は裏切らない傾向が強い。1番人気に推された馬はGII時代も含めると4連勝中だ。

 今回は2戦2勝の馬が5頭出走するが、今年1番人気をは背負う馬がこの中にいるのは間違いない。

 前日の最終オッズではランドオブリバティ(牡2、鹿戸厩舎)が一番人気に推されており、二番人気がダノンザキッド(牡2、安田隆厩舎)、三番人気がオーソクレース(牡2、久保田厩舎)と続いている。しかし、最終的な人気は入れ替わるのではないか、とみている。

 筆者が最終的に1番人気になるであろう、と予想しているのはダノンザキッドだ。

 ダノンザキッドはまだまだ完成途上でありながら壮大なスケールを感じさせる。特に2戦目の東京スポーツ杯2歳Sでは、ジョッキ―がステッキを入れずに楽に抜けだして優勝している点が目をひいた。5か月ぶりの実戦で馬体重を24キロ増やしており、筋肉質な馬体がさらにパワーアップした印象を受けた。しかし、まだまだ伸びしろを感じさせる。走るフォームがダイナミックで中山が向いているとは考えにくいが、こなしてくれるはずだ。

■2017年ホープフルS 優勝馬タイムフライヤー

ルメール騎乗 母はマリアナイトのオーソクレース

 残る2戦2勝の4頭は、ルメール騎乗の1枠1番オーソクレース、ディープインパクト産駒で2枠の両頭ヨーホーレイク、ランドオブリバティ、ダービー馬ロジユニヴァースの弟にあたる7枠12番のアドマイヤザーゲだ。

 オーソクレースを除く3頭は新馬から2000mの特別戦、オーソクレースは新馬から1800mの特別戦を勝ち上がっての参戦となる。

 この4頭の中でルメール騎手はアドマイヤザーゲとオーソクレースに騎乗経験があるが、このレースではオーソクレースに騎乗している。オーソクレースの母であるマリアライトは、2015年エリザベス女王杯と2016年宝塚記念の優勝馬だった。とくに宝塚記念は僅差ながらもキタサンブラックやドゥラメンテ、ラブリーデイらを負かしている。オーソクレースも2戦目のアイビーSではクビの僅差勝ち。レースは後方一気で抜け出し、ラストは外から追い上げてきた馬の追撃を凌ぐという粗削りな内容だったが、今後の伸びしろは強く感じさせた。マリアライトも晩成型だったので、筆者は将来性を期待しつつ馬券は応援程度にとどめておこうと考えている。

■2016年宝塚記念 優勝馬マリアライト

 ヨーホーレイクは長くいい脚が使えるタイプ。芝1800mの新馬戦、芝2000mの紫菊賞を勝っているが2戦とも重馬場だった。良馬場でどのような走りを見せるのか、注目したい。

 ランドオブリバティが2勝目をあげた芙蓉Sの舞台はホープフルSと同じ中山芝2000m。姉のリバティハイツは早期に完成し3歳3月にフィリーズレビュー(GII)を制しているし、ランドオブリバティ自身も完成度が高い点は高評価だ。

 アドマイヤザーゲは2戦目の黄菊賞のゲート裏でテンションが上がってしまい出遅れたのが気になる。観客数が少ないとはいえ雰囲気がヒートアップしやすいGIレースだし、競走馬はレースを知るごとに自分が何をしなければならないかを理解していくので気持ちが入りやすくなっていくものだ。そのあたりの気持ちの折り合いをいかにつけるのかを気にして見守りたい。

 同じ2歳GIでも、先の阪神ジュベナイルフィリーズや朝日杯フューチュリティステークスでは完成度の高さを重視したが、このホープフルSについては完成度も大事だがその馬のスケールを重要視したい。

 来春、クラシックの有力候補となる馬は必ずこのレースの中にいる。ホープフルSでの結果も大事だが、ここでのレース内容を注視しておくことをおすすめしたい。

2020年ホープフルS枠順 (表:筆者作成)
2020年ホープフルS枠順 (表:筆者作成)

【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】

ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家

競馬の主役は競走馬ですが、彼らは言葉を話せない。だからこそ、競走馬の知られぬ努力、ふと見せる優しさ、そして並外れた心身の強靭さなどの素晴らしさを伝えてたいです。ディープインパクト、ブエナビスタ、アグネスタキオン等数々の名馬に密着。栗東・美浦トレセン、海外等にいます。競艇・オートレースも含めた執筆歴:Number/夕刊フジ/週刊競馬ブック等。ライターの前職は汎用機SEだった縁で「Evernoteを使いこなす」等IT単行本を執筆。創作はドラマ脚本「史上最悪のデート(NTV)」、漫画原作「おっぱいジョッキー(PN:チャーリー☆正)」等も書くマルチライター。グッズのデザインやプロデュースもしてます。

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