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地方議会改革元年へ! 地方議員の「給料」全国ランキング

高橋亮平日本政治教育センター代表理事・メルカリ経営戦略室政策企画参事

2015年のトピックは、1万5千人以上の議員を選ぶ統一地方選挙

昨年末に衆議院総選挙が行われ、次の衆院選は早くとも2016年の参議院選挙に合わせての衆参同日選挙などと言われており、2015年は、大きな国政選挙のない年になる。

2015年の最も大きな政治トピックが、4年に1度の「統一地方選挙」という事になる。

4年前の2011年の統一地方選挙では、当時、議員や首長など37,302人の地方政治家がいたうち、42.5%に当たる15,841人が選ばれた。

2014年は、地方議員の数々の不祥事で、地方議会に注目の集まる1年だった。

東京都議会でのセクハラヤジに始まり、兵庫県議による政務活動費の不正利用疑惑、年末には、地元、市川市議会でも政務活動費での切手大量購入による不正利用疑惑がメディアで報じられるなど、後も留まることなく立て続けに起きている地方議会を取り巻く様々な疑惑や事件。多くの有権者にとっては、政治に対する不信感が積もり、広がるばかりだと言えたのではないだろうか。

しかし、逆に言えば、これまで表に出てくる事のなかった地方議会に注目が集まる事で、問題が明るみに出て、多くの国民に共有してもらえた事は、地方議会が悪しき伝統から決別し、大きく改革を進めていく可能性につながっていく様にも思う。

その意味でも4月の統一地方選挙は、4年に1回の地方議会を大きく変更するチャンスである。

有権者の皆さんには、是非、市民本位の議会への変革につながる様、国政以上に関心を持ってもらいたいと思う。

地方議員報酬が最も多いのは東京都議の月額102万円

そんな中、今回は、地方議会に関心を持ってもらうため、全国の自治体議員の報酬について紹介していきたいと思う。

議員報酬の月額について調べてみると、都道府県議会議員で最も多く報酬をもらっているのが、東京都の1,022,000円だった。次いで、2位は京都府の960,000円、3位は埼玉県の927,000円、4位は神奈川県の902,100円、5位は福岡県で890,000となる。

市や区で見ると、最も多かったのは神戸市(兵庫)の930,000円。次いで2位が京都市(京都)の864,000円、3位が札幌市(北海道)の860,000円、4位が横浜市(神奈川)の857,700円、5位が広島市(広島)の817,000だった。

逆に額が最も少なかったのは、都道府県では、大阪府で651,000円、46位は滋賀県で672,000円、45位は鳥取県で719,200円、44位は島根県で722,000円、43位は岩手県で731,500円。

市議会や区議会では、極めて報酬の少ない自治体もあり、最も少ないのは夕張市(北海道)で180,000円だった。ちなみに812自治体中、811位がにかほ市(秋田)の220,000円、810位が白岡市(埼玉)の222,000円、809位が歌志内市(北海道)で230,000円、808位が北秋田市(秋田)で232,000円となっている。

同じ地方議員でも自治体によって報酬も大きく違う事が分かってもらえたのではないかと思う。

議員の報酬は、実際にこの月額報酬に12をかけたもののほか、ボーナスに当たる部分もあるため、それなりの年額になる事も見えて来る。

市民一人当たりは負担が最も多い都道府県は徳島県

では、実際に、市民一人一人の負担はどれくらいなのかを見てみよう。

公表されている議員の報酬月額に議員定数をかけ、それをその自治体の人口で割った「市民一人当たり議員負担」を調査してみた。

47都道府県で「市民一人当たり議員負担」が最も多かったのは鳥取県で、市民一人当たり月額40.3円となった。

以下、2位は徳島県で37.8円、3位は高知県で37.2円、4位は島根県で35.4円、5位は佐賀県で34.7円、6位は福井県で32.7円、7位は山梨県で31.1円、8位は秋田県で29.6円、9位は和歌山県で29.4円、10位は香川県で29.3円、11位は石川県で27.5円、12位は大分県で27.2円、13位は山形県で27.1円、14位は富山県で27.1円、15位は山口県で26.2円、16位は岩手県で25.6円、17位は青森県で25.4円、18位は宮崎県で25.3円、19位は沖縄県で24.0円、20位は長崎県で23.7円、21位は奈良県で23.2円、22位は愛媛県で23.1円、23位は鹿児島県で22.5円、24位は滋賀県で21.3円、25位は福島県で21.1円、26位は岡山県で21.0円、27位は長野県で20.9円、28位は京都府で20.8円、29位は熊本県で20.1円、30位は三重県で20.0円、31位は宮城県で20.0円、32位は広島県で19.1円、33位は栃木県で18.8円、34位は群馬県で18.1円、35位は岐阜県で17.8円、36位は新潟県で16.6円、37位は北海道で16.2円、38位は茨城県で15.8円、39位は福岡県で14.6円、40位は静岡県で14.5円、41位は千葉県で13.1円、42位は兵庫県で12.9円、43位は愛知県で11.8円、44位は埼玉県で11.7円、45位は神奈川県で10.4円、46位は東京都で9.7円と並び、最も市民一人当たりの負担が少なかった47位は、大阪府で7.8円だった。

市で最も市民負担が大きいのは歌志内市(北海道)の月額一人当たり457.7円

都道府県同様に基礎自治体についても見てみる。全国812の市区の中で、最も市民一人当たりの月額負担が大きかったのは、歌志内市(北海道)の457.7円だった。

以下、2位は竹田市(大分)で310.7円、3位は尾花沢市(山形)で298.2円、4位は千代田区(東京)で297.9円、5位は熊野市(三重)で293.4円、6位は豊後高田市(大分)で290.8円、7位は美祢市(山口)で289.2円、8位は珠洲市(石川)で285.3円、9位は士別市(北海道)で280.5円、10位は三笠市(北海道)で278.7円、11位は紋別市(北海道)で269.6円、12位は多久市(佐賀)で265.3円、13位は陸前高田市(岩手)で262.6円、14位は勝浦市(千葉)262.0円、15位は串間市(宮崎)で259.7円、16位は尾鷲市(三重)で257.1円、17位は三好市(徳島)で256.9円、18位は宮津市(京都)で256.1円、19位は輪島市(石川)で254.4円、20位は垂水市(鹿児島)で250.1円となる。

基本的には、人口規模の小さい自治体の負担が大きくなる。地方の自治体が多い中、東京からも都心のど真ん中の千代田区がランクインしている。

逆に市民一人当たりの負担が小さい自治体には都市部の大都市が並ぶ。812自治体で市民一人当たりの負担が最も小さかったのは名古屋市(愛知)で16.9円だった。

次いで811位は横浜市(神奈川)で20.3円、810位は大阪市(大阪)で26.2円、809位は札幌市(北海道)で30.4円、808位は川崎市(神奈川)で33.0円、807位は福岡市(福岡)で33.9円、806位は世田谷区(東京)で36.0円、805位は浜松市(静岡)で36.1円、804位は広島市(広島)で37.9円、803位はさいたま市(埼玉)で39.2円、802位は熊本市(熊本)で41.9円、801位は江戸川区(東京)で41.9円、800位は千葉市(千葉)で42.0円、799位は八王子市(東京)で42.6円、798位は仙台市(宮城)で42.8円、797位は神戸市(兵庫)で42.9円、796位は足立区(東京)で43.0円、795位は京都市(京都)で43.2円、794位は大田区(東京)で43.6円、793位は練馬区(東京)で44.0円となっている。

今回は、地方議員の議員報酬に焦点を当てて紹介したが、実際には、この議員報酬以外にも話題になっている政務活動費など、さらには議員個人にいくものではないが、議会費として様々なコストがかかっている。

統一地方選挙の前に、一度、自分たちのまちの議会にはどのぐらいの税金が使われているのかを調べてみるのはどうだろうか。

特定非営利活動法人「万年野党」

事務局長 高橋亮平

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日本政治教育センター代表理事・メルカリ経営戦略室政策企画参事

元 中央大学特任准教授。一般社団法人生徒会活動支援協会理事長、神奈川県DX推進アドバイザー、事業創造大学院大学国際公共政策研究所研究員。26歳で市川市議、全国若手市議会議員の会会長、34歳で松戸市部長職、東京財団研究員、千葉市アドバイザー、内閣府事業の有識者委員、NPO法人万年野党事務局長、株式会社政策工房研究員、明治大学世代間政策研究所客員研究員等を歴任。AERA「日本を立て直す100人」に選ばれた他、テレビ朝日「朝まで生テレビ!」等多数メディアに出演。著書に『世代間格差ってなんだ』(PHP新書)、『20歳からの社会科』(日経プレミアシリーズ)、『18歳が政治を変える!』(現代人文社)ほか。

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