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野党「三ツ星議員」は「9勝3敗」と健闘! 有権者は「星獲得議員」を国会へ送り出せたか?

高橋亮平日本政治教育センター代表理事・メルカリ経営戦略室政策企画参事

三ツ星議員12人中9人が当選

図表1: 星獲得数ごとの総選挙結果一覧

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12月14日に行われた総選挙。「三ツ星議員」でも明暗がはっきりとした。

2012年12月に行われた前回の総選挙直後の182国会から今回の2014年12月に行われた総選挙直前の187国会までの間の国会議員の活動データを元に三ツ星で国会議員を評価。評価の対象としたのは、質問回数、質問時間、議員立法発議数、質問主意書提出数といった客観的なデータによる「量」的なものであり、この評価で三ツ星を獲得した議員は、12人だった。

今回の総選挙は、翌日の新聞各紙でも「自公勝利 3分の2維持」「自公圧勝325議席」「自公勝利3分の2維持」と報道されるなど、野党には厳しい結果となった。

NPO法人 万年野党(会長:田原総一朗)が行っているこの「国会議員三ツ星評価」では、今回の総選挙版では、結果的に、この「三ツ星議員」12人の全てが野党議員であり、その意味では今回の総選挙は、一般的には非常に厳しい選挙になったはずだ。

しかし、この「三ツ星国会議員」12人のうち、7人が選挙区で自民に競り勝っての当選。比例でも2人当選するなど、大きな結果を残した。

今回の総選挙、自公以外で小選挙区の議席を獲得したのは63人(無所属8人含む)。

うち約1/3に当たる20人が、星獲得議員だった。

選挙戦の広報物などにも、このNPO法人 万年野党の「三ツ星議員」「二ツ星議員」である事などを積極的に活用してくれている議員も多く、こうした評価の活用も含め、国会での活動は、一定の評価が得られる様になってきていると言えるのではないか。

図表2: 三ツ星国会議員政党別選挙結果割合

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選挙結果については、もちろん政党によっての影響もある。

今回の三ツ星議員、民主の中では、後藤祐一氏、階猛氏、玉木雄一郎氏、中島克仁氏、長妻昭氏、山井和則氏の6人が小選挙区、中根康浩氏、柚木道義氏の2人も比例復活と、全員が当選となった。

維新の三ツ星議員も1人、重徳和彦氏は小選挙区で当選したが、大熊利昭氏、小池政就氏の2人は、残念ながら落選。生活の畑浩治氏も落選となってしまった。

NPO法人 万年野党では、こうして国会活動に真剣に取り組んできた国会議員を客観的に評価する事で、国会議員たちがより積極的に国会活動を行う様になればと、この「国会議員三ツ星評価」を行ってきた。

その意味では、こうして評価してきた、国会で真剣に活動してきた議員が数人でも落選していくという事は、残念に思う。

図表3: 二ツ星国会議員政党別選挙結果割合

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二ツ星議員は、三ツ星議員と異なり、1/3を超える12人が落選という事になってしまった。

この背景には、今回の総選挙で2議席まで激減してしまった次世代の所属議員が3人、みんなの解党により無所属になってしまった3議員が、落選してしまった事なども影響している。

ちなみに民主の落選1人も元みんなだった。逆に言えば、それだけみんなの所属議員に「二ツ星議員」が多かったとも言えるが、今回の総選挙で無所属というは、比例復活がなくなってしまうため、非常に厳しいものになった。

また、維新もまた3人の「二ツ星議員」を落選させてしまっている。維新は今回の選挙で、「三ツ星議員」と合わせて5人が落選となった。維新は、前回の議席42から41と1議席しか減らしていないが、今回の選挙で元職7人、新人8人と入れ替わっている。

こうした結果を目の当たりにすると、もう少し国会での活動が選挙でプラスになる仕組みにできないものかと考えさせられもする。

図表4: 一ツ星国会議員政党別選挙結果割合

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「一ツ星議員」でも落選は次世代の2人が影響している。もう1人は維新の議員だった。

一方で、民主は、今回、星を獲得した23議員のうち半数近い10人が小選挙区での勝利、落選は直前にみんなから鞍替えした1人だけだった。

こうした結果を見ると、国会での活動を活発に活動する議員にスポットライトを当てるというこの「三ツ星評価」の試みにも、一定の効果はあったのではないかと思う。

図表5: 星獲得国会議員選挙結果一覧

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総選挙の結果については、あくまで結果であり、我々にとって重要なのは、むしろこれからの国会での活動にある。

NPO法人 万年野党の結党目的は、政府や野党の監視という本来、野党やマスコミが果たさなければならない機能が十分に機能していない部分を補完し、いわば「国会外の万年野党」として、政策監視を行っていく事だ。

いみじくも今回の選挙結果によって、また一段と与党、とくに自民の声が強くなる事が予想され、政府の推進する政策はより進みやすくなっていく事になり、こうしたNPO法人 万年野党の必要性は強まっていく事になるだろう。

もちろん行うべき改革は推進し、賛成すべきは賛成し進めて行ってもらわなければならない。

しかし一方で、状況によって政府や野党への政策監視や、場合によっては政府以上に革新的な改革の提案をしていく存在が必要である。

NPO法人 万年野党自身がその存在を担う事ももちろんだが、同時に、これまで以上にこうした国会での活動の評価を、国民の皆さんとともに行いながら、さらなる国会の活性化につなげていければと思う。

年明けには、こうした総選挙版の「国会議員三ツ星評価」も含め、最新の『187国会版 国会議員三ツ星データブック』を発行する。

Amazonや議員会館をはじめ書店でも販売するが、NPO法人 万年野党に入会していただくと、会員特典として少なくとも年2回こうしたデータブックを郵送する。定期的に行っている政策カフェの他、政策シンポジウムなども開催していく。政府や国会での政策監視を行っていく活動に共感いただき、NPO法人 万年野党(会長:田原総一朗)の活動を支えていただきたい。

日本政治教育センター代表理事・メルカリ経営戦略室政策企画参事

元 中央大学特任准教授。一般社団法人生徒会活動支援協会理事長、神奈川県DX推進アドバイザー、事業創造大学院大学国際公共政策研究所研究員。26歳で市川市議、全国若手市議会議員の会会長、34歳で松戸市部長職、東京財団研究員、千葉市アドバイザー、内閣府事業の有識者委員、NPO法人万年野党事務局長、株式会社政策工房研究員、明治大学世代間政策研究所客員研究員等を歴任。AERA「日本を立て直す100人」に選ばれた他、テレビ朝日「朝まで生テレビ!」等多数メディアに出演。著書に『世代間格差ってなんだ』(PHP新書)、『20歳からの社会科』(日経プレミアシリーズ)、『18歳が政治を変える!』(現代人文社)ほか。

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