確定拠出年金統計資料(2020年3月末 運営管理機関連絡協議会)によると、2020年3月末時点のiDeCo加入者数は約156万人。企業型確定拠出年金の加入者数725万人と合計しても900万人に満たない加入者数です。オンラインメディアやSNSを活用する世代には認知されてきた確定拠出年金制度ですが、加入者ベースで考えると自発的加入が多いと考えられるiDeCoは人口の1.23%ほど。加入者数が低調な理由の1つに自己責任による資産運用という側面があるかもしれません。

公的年金や従来の企業年金制度である確定給付型企業年金(DB)では、運用過程や運用結果を気にする必要はありませんでした。ところが、時代の流れとともに自己責任という言葉が謳われ、老後資金準備を自ら実践する時代に変わりました。iDeCoのような資産運用の制度を使いこなすには、どの程度の知識や経験が必要なのでしょうか。今回は、どんな商品が人気の投資先になっているのか確認しましょう。

iDeCoの一人あたり資産状況

iDeCoの一人あたり資産額は2020年3月末時点で98万円。掛け金は一人あたり17万円となっています。年間17万円の掛け金ですから、月額1.5万円程度の積立と考えるといいでしょう。

また、iDeCoの加入対象者が拡大したタイミングから、一人あたり資産額が171万円から減少しています。これは、平均とすることで加入したばかりの人たちに平均値が引っ張られたと考えられます。積立額は従来より16~18万円の間となっており、平均的な拠出額には変化は見られません。

iDeCoの加入年代では50代が46.5%とほぼ半数を占めます。ついで40代が25.6%、60代が17.0%となっています。老後資金ニーズが高い50代、60代で6割を超えており、老後資金準備に向けた行動スイッチが入らないと加入に至らないのだろうと想像できます。

尚、運用商品は大きく分けて、(1)預貯金、保険では(2)生保、(3)損保、投資信託等では(4)国内株式型、(5)国内債券型、(6)外国株式型、(7)外国債券型、(8)バランス型、(9)MMF、(10)その他、となっています。

第3位商品

iDeCoの人気商品として第3位にランクインしたのは保険の「損保」と投資信託等の「国内株式型」、投資信託等の「外国株式型」となりました。シェア率11.4%です。

正直「意外」でした。10の選択肢がある中で、3つ同率になるとは。ちなみに、損保は元本確保型商品の1つとなっており、安全志向が伺われます。その一方で、株式投資型が国内と外国で合わせれば22.8%というところで、積極運用型の投資信託が選ばれていることがわかります。

第2位商品

人気ランキング第2位は投資信託等の「バランス型」です。筆者の相談でもバランス型を初期設定に選ぶ人が多い印象ですので、この結果は納得でシェア率は13.0%でした。

バランス型の投資信託は、積極運用主体の株式投資信託が多め(7割など)のプラン、安定運用主体の債券投資信託が多め(7割)などのプラン、株式と債券の割合が5対5のプランなど細分化されています。

バランスファンド内のリスク許容度によって、成果が大きく変わってくるので、バランスファンドを選ぶ人は、商品内容を比較することをおすすめいたします。

第1位商品

人気ランキング第1位は「預貯金」となり、シェア率は35.9%となりました。3人に1人は加入している計算です。「よくわからないから預貯金にしておこう、節税効果もあるし。」といったところでしょうか。投資に関する知識も経験も不要。必要なことは制度に対する理解と行動だけです。

iDeCoの特徴は預貯金運用であっても所得税と住民税の税負担軽減効果で利益が出せてしまうところにあります。ちなみに、保険も元本確保型ですので、預貯金と保険を合計すると53.9%と半分超のシェアになります。従って、iDeCo加入者の半分は元本確保型に投資しているという事実があるのです。

年代別の商品選択割合は?

興味深いのは、年代別の商品選択割合です。60代は預貯金37.8%、保険27.4%と安全志向が目立ちます。60代については、受け取りまでの期間に財産を減らしたくはないでしょうから、安全資産を多めに選択しているのです。

預貯金の割合は、50代38.3%、40代32.9%、30代29.9%、20代30.5%と年齢が下がるごとにシェアがさがります。しかし、10代は56.3%と圧倒的に預貯金のシェアが高いのです。

また、保険のシェアは若くなるほど低下します。高い年代の方々には保険の安定感が魅力なのでしょう。一方で若い世代は保険に接する機会が少ないからかシェアの低下が著しく、10代に至っては2.2%となっています。

iDeCo開始からは右肩上がりの相場のみでしたから、20代、30代の人たちは積極運用で問題ないのでしょう。しかし、バブル、リーマン、東日本大震災と大暴落や相場下落を数回経験している50代、60代はつみたて投資であっても、時間が味方にならないケースを知っています。

全体的な課題としては、どこでリスクを減らしていくのか、どのタイミングでスイッチングするのか適切な判断は難しいでしょう。つみたて投資が相場下落に強いといっても受け取り直前にリーマン・ショックのように価格が激減してしまえば含み益は吹き飛びます。とりあえず投資している状態の人は、これから金融リテラシーを上げていくことが求められるでしょう。

どの商品が一番お金を増やしてくれているの?

残念ながら、資料では非開示となっていました。おそらく加入者、加入検討者が一番知りたい点がどのファンドを選べばいいのか、という点でしょう。

ちなみに、筆者は某社のiDeCoに2017年の途中から加入しています。当初iDeCoの仕組みを知るために加入したことと、ファンドが珍しい商品であったことから選択したという、職業あるあるの選定基準でした。ちなみに、ファンドはバランス型の中での積極運用タイプです。

4年弱の運用期間で運用利回りは投資額に対して+14%となっていました。単純な利回り計算とするなら、14%÷4年=3.5%/年となっています。

一方で、同じファンドの株式のみのファンドも別途購入しており、同じ期間の利回りですと+33.3%となっていましたから、33.3%÷4年=8.325%/年となります。

iDeCoの場合は、債券投資など安定運用型も含まれているので単純に比較はできないのですが、一括投資とつみたて投資の運用利回りの違いがはっきりと表れる結果となりました。

iDeCoは運用商品が運営管理機関によって異なります。商品数の多さだけでなく、特徴的な商品を選んでみるのも、iDeCoの楽しみ方と言えるかもしれません。