iDeCoもNISAも!「つみたて投資の不都合な真実!」

写真はイメージです(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

前回の記事、「お金持ちが「つみたてNISA」を使わない本当の理由」は多くの方に読んで頂くことができました。一般的に得であるとされている非課税制度は本当に得なのかの検証に賛否あったようです。課税ありの一括投資(税引き後)と非課税の積立投資の比較のように「本当はどうなの?」という検証はあまりみかけません。その意味で、検証が大切であるということを伝える役目は果たしたのだと思います。

机上の計算では納得出来ない人たちの意見

SNSでは、積立による時間分散の効果に触れていないという指摘がありました。従って、今回はより実務に即して具体的に検証するために、過去の価格を用いて、一括投資と積立投資を比較してみることにします。今回は、時間分散を通じてリスクを抑えた結果、リターンはどのくらい変化したかが確認できます

なお、時間分散は「高値づかみをしない」ことは期待されますが、投資効果を著しく高めるものではないと考えます。極端ですが、時間分散は大した効果がないという楽天証券の記事もあります。

他にも800万円なんて投資できないから比較すること自体がナンセンス、という指摘もありましたが、ネタ元は筆者のお客様の実例です。自己資金が豊富にあるにもかかわらず、真剣につみたてNISAに投資するという意思決定となりそうなことがありました。おそらく、同じような事例がたくさんあるでしょうから、注意を促したいと記事にしたのです。お客様自身が自分事になると客観視できなくなるという見本になると思っております。

そして、今回はパンドラの箱を開いてしまいました。一括投資と積立投資を過去の市場価格で検証したのです。結果は一括投資が4勝、積み立て投資が1勝です。「つみたて最強」という夢を壊すようで申し訳ありませんが、検証経過を御覧ください。

つみたて投資の検証にあたって

今回は、日経平均株価の終値を一括購入した場合と、毎月1,000円で積み立て・長期・分散投資した場合の比較となります。データの出所は日経平均プロファイルの月次データとなります。

毎月1000円でその月の日経平均株価の終値相当の株式指数を買ったものとして計算します。日経平均のインデックス投信を1000円ずつ積み立てたと考えていただくとイメージしやすいかもしれません。

2001年以降、投資におけるいろいろなターニングポイントがありました。(1)2001年10月の確定拠出年金スタート、(2)2012年末の民主党から自民党への政権交代のタイミング、(3)2013年日本銀行の金融緩和が加速したタイミング、(4)2017年1月のiDeCoの対象が拡大したタイミング、(5)2018年4月のつみたてNISAが始まったタイミングです。5つそれぞれのタイミングをスタート地点として、2021年4月まで積み立てたものとしています。

つみたて投資の1勝4敗。いま出ている成果はラッキーだったの?

今回は毎月1000円を日経平均株価に投資したと仮定して期間比較しています。積み立ての最後は、2021年4月となります。毎月1000円の拠出ですと、20年積み立てても投資総額24万円弱ですから、つみたてNISAの投資上限のように800万円も必要ありません。従って、お金持ちでなくても1時間分の時給で誰でも投資できる金額でシミュレーションしています。

(1)確定拠出年金スタート時点から積み立てた場合

日本で本格的な積み立て投資がスタートしたのは、確定拠出年金がスタートした2001年10月からです。20年間の積立投資の成果を検証しました。

一括投資は235,000円、つみたて投資は毎月1000円を継続し、累計235,000円を投じています。2001年10月から2021年4月までの成果比較です。

【結果】勝者 一括投資(1勝目)

投資開始時点の日経平均株価 10,366.34円

投資終了時点の日経平均株価 28,812.63円

投資元本 235,000円

積立投資 511,349円 利回り117.60%

一括投資 653,169円 利回り177.94%

(2)民主党から自民党に政権交代となったタイミングからの積み立て

アベノミクス3本の矢を期待して株価が上昇に転じたタイミングからの積み立てた場合です。一括投資は101,000円、つみたて投資は累計101,000円を投じています。2012年12月から2021年4月までの成果比較です。

【結果】勝者 一括投資(2勝目)

投資開始時点の日経平均株価 10,395.18円

投資終了時点の日経平均株価 28,812.63円

投資元本 101,000円

積立投資 156,914円 利回り 55.36%

一括投資 279,945円 利回り177.17%

(3)日銀の大規模金融緩和がスタートしてからの積み立て

一括投資は97,000円、つみたて投資は累計97,000円を投じています。2013年4月から2021年4月までの成果比較です。

【結果】勝者 一括投資(3勝目)

投資開始時点の日経平均株価 13,860.86円

投資終了時点の日経平均株価 28,812.63円

投資元本 97,000円

積立投資 146,739円 利回り 51.28%

一括投資 201,634円 利回り107.87%

(4)iDeCoの対象者が拡大してからの積み立て

一括投資は52,000円、つみたて投資は累計52,000円を投じています。2017年1月から2021年4月までの成果比較です。

【結果】勝者 一括投資(4勝目)

投資開始時点の日経平均株価 19,041.34円

投資終了時点の日経平均株価 28,812.63円

投資元本 52,000円

積立投資 67,966円 利回り30.70%

一括投資 78,684円 利回り51.32%

(5)つみたてNISAがスタートしてからの積み立て

一括投資は40,000円、つみたて投資は累計40,000円を投じています。2018年4月から2021年4月までの成果比較です。

【結果】勝者 つみたて投資(4敗のち1勝目)

投資開始時点の日経平均株価 23,098.29円

投資終了時点の日経平均株価 28,812.63円

投資元本 40,000円

積立投資 50,846円 利回り27.12%

一括投資 49,896円 利回り24.74%

いかがでしょうか。直近3年はつみたて投資が優位でしたが年換算で1%弱の違い。一方で、他の4パターンは一括投資の勝利です。2001年からの積み立てはリーマンショックもあり、ドルコスト平均法の効果がでるのかと思いきや、一括投資の方が得であるという結果です。

積み立て投資は下落時にたくさん買えて有利という理屈ですが、今のような官製相場とも言える右肩上がりの状況ですと、一括投資が有利であることがわかります。つまり、知識がある人はかなり利益を上げているということです。

現状では、一括と積み立てを比較せずに積立投資が最強だと思っている人が多そうなので、私達一般の人たちが情報格差を利用されて機会損失となっているようで筆者としては納得がいきません。今回の記事をきっかけに、つみたて投資が全てじゃないということに気づいていただければ幸いです。

次回は今回の結果をどのように理解すべきか解説する予定です。